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溶ける糸の仕組みは?

■千葉県・桜井桃子(さくらいももこ)さん(中2)からの質問(朝日新聞社発行 2013年11月23日付be)

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 ◇ののちゃん この間(あいだ)、お母(かあ)さんが手術(しゅじゅつ)をしたんだけど、縫(ぬ)い合(あ)わせる時(とき)に溶(と)ける糸(いと)を使(つか)ったんだって。

 ◆藤原先生 吸収糸(きゅうしゅうし)と呼(よ)ばれる手術用(しゅじゅつよう)の糸ね。体(からだ)にもともとある素材(そざい)でつくられているのよ。分解(ぶんかい)されてバラバラになり、最後(さいご)には全(すべ)て体に吸収(きゅうしゅう)されるの。手術(しゅじゅつ)の後(あと)に抜糸(ばっし)の必要(ひつよう)がないのがいいところね。1970年代(ねんだい)にアメリカで開発(かいはつ)されて、国内(こくない)では80年代(ねんだい)ごろから使(つか)われてきたそうよ。

 ◇のの 体(からだ)にもともとあるものっていったい何(なに)なの?

 ◆先生 よく使(つか)われているのは乳酸(にゅうさん)ね。ヨーグルトに入っている乳酸菌(にゅうさんきん)がつくる物質(ぶっしつ)。急激(きゅうげき)な運動(うんどう)をすると筋肉(きんにく)にたまるとも言(い)われているものよ。人間(にんげん)の体(からだ)には、もともと乳酸(にゅうさん)があるから、害(がい)にはならないの。

 ◇のの 乳酸(にゅうさん)で糸(いと)ができるの?

 ◆先生 乳酸(にゅうさん)を鎖(くさり)のようにどんどんつなげていくの。そしてその鎖(くさり)を集(あつ)めて糸(いと)にしているのよ。

 ◇のの なぜ溶(と)けるの?

 ◆先生 溶(と)けるのは、乳酸(にゅうさん)の鎖(くさり)が水(みず)と反応(はんのう)するからよ。縫(ぬ)い合(あ)わせると、体(からだ)の中(なか)にある水(みず)と反応(はんのう)して鎖(くさり)が少(すこ)しずつ切(き)れて、バラバラになっていくの。鎖(くさり)が切れてしまうと、見(み)た目(め)には糸(いと)の形(かたち)をしていても、強度(きょうど)がなくなってしまうそうよ。溶(と)けるまでの時間(じかん)は製品(せいひん)によって、2週間(しゅうかん)から200日(にち)くらいの幅(はば)があるそうよ。この時間(じかん)は、糸(いと)に使(つか)う鎖(くさり)の長(なが)さを変(か)えることで調節(ちょうせつ)しているの。患者(かんじゃ)さんの年齢(ねんれい)や縫(ぬ)い合(あ)わせる部位(ぶい)などで、くっつきやすさに差(さ)があるので使(つか)い分(わ)けるそうよ。

 ◇のの へえ。どんな手術(しゅじゅつ)でも使(つか)えるの?

 ◆先生 使(つか)えない場合(ばあい)もあるわ。代表的(だいひょうてき)なのは、動脈(どうみゃく)などの血管(けっかん)をつなぐ手術(しゅじゅつ)。血圧(けつあつ)がかかるし、万(まん)が一(いち)、きっちりとくっつく前(まえ)に溶(と)けたりしたら大変(たいへん)なことになるでしょう。

 ◇のの 大出血(だいしゅっけつ)が起(お)きちゃう。

 ◆先生 そう。そういう危険性(きけんせい)は避(さ)けないといけないの。例(たと)えば高齢(こうれい)になると、皮膚(ひふ)がくっつくまでに時間(じかん)がかかることもあるから、いろいろ手術(しゅじゅつ)の前(まえ)に検討(けんとう)するそうよ。

 ◇のの 溶(と)けて分解(ぶんかい)するものって、ほかには何(なに)に使(つか)われてるの?

 ◆先生 園芸(えんげい)の肥料(ひりょう)があるわね。水(みず)に溶(と)ける樹脂(じゅし)の膜(まく)で、肥料(ひりょう)がくるまれているの。水(みず)をまくと樹脂(じゅし)がそのたびに溶(と)けていって、中(なか)から少(すこ)しずつ肥料(ひりょう)が出(で)てくる仕組(しく)み。長期間(ちょうきかん)にわたって肥料(ひりょう)が出続(でつづ)けるところが強(つよ)みね。

 ◇のの へえ。ほかには?

 ◆先生 バクテリアが分解(ぶんかい)できる釣(つ)り糸(いと)というのもあるわね。環境(かんきょう)に優(やさ)しい釣(つ)り糸(いと)というわけね。こちらは何年(なんねん)もかけてゆっくりと分解(ぶんかい)するの。だからと言(い)って釣(つ)り糸(いと)を捨(す)てちゃダメよ。

 ◇のの はーい。

  (取材協力=ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社、グローブライドほか、構成=木村俊介)

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