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 降水確率はどう決めるの? ★学習のポイント★
  元公立中学教員・日本NIE学会理事 有馬進一
 (朝日新聞社発行 2016年6月4日付be)


 梅雨本番。すっきりしない空模様が続き、出かけるときに傘を持って行くべきかどうか悩みます。そんなときに役立つのが今回のテーマである「降水確率」です。
 この原稿を書いている私は現在(2016年6月9日午後3時)、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスにいます。神奈川県東部12:00~18:00の降水確率は、50%と発表されていますが、ここから見渡せる範囲の学生さんたちは、柄の長い傘をほとんど持っていません。折りたたみ傘をカバンに忍ばせているのでしょうか。
 「降水確率50%」に対して、傘を持ち歩くかどうかは各自の判断ですが、私はぬれてはいけないパソコンや本を持っているので、今日は折りたたみ傘を持ち歩いています。

 ◎学習のポイント◎

 (1)「降水確率」を考えるときに欠かせないキーワードをまとめてみましょう。

 重要な用語をしっかりとチェックしておかないと、理解があいまいになり判断を間違えることになります。まずは文字通り、「降水」と「確率」ですね。梅雨のこの時期には、降水は雨ですが、寒い季節には「雪」も含まれます。
 「確率」は中学2年生の数学の学習内容ですから、小学生の皆さんにとっては、ちょっと難しいかもしれません。ここではひとまず「確率=あることが起きる可能性はどのぐらいか」であると理解しておきましょう。もっと正確に知りたければ、これを機会に確率について調べてみてはどうでしょう。
 さらに「6時間」という時間、「1㎜以上」という降水量も重要なキーワードになります。

 (2)「降水確率」とは何か、わかりやすく簡潔にまとめてみましょう。

 (1)で調べたキーワードを用いて、降水確率とは何かを、わかりやすく簡潔に表現してみましょう。
 降水確率という数字だけではわからないことがあります。例えば雨が降る強さです。どしゃ降りなのか、しとしとと降るのかはわからないのです。降る雨の量にしても、わかっているのは「1㎜以上降る」ということだけです。降水確率20%でもどしゃ降りかもしれないし、80%でも小雨かもしれないのです。また、どのくらいの時間雨が降るのかもまったくわかりません。
 降水確率の意味をより正確に理解するためにも、降水確率からは読み取れないことについてもまとめてみましょう。

 (3)ある日の降水確率が「午前50%・午後50%」であるとします。1日を通して外で活動する場合、あなたなら傘を持って出かけますか。

 降水確率が午前(6:00~12:00)、午後(12:00~18:00)ともに50%だから、「降られるかどうかは運次第」と考えて傘は持たない。いや、「降られたら心配だ」と考えて傘を持っていく人もいると思います。ここでは、確率論の視点から「降る・降らない」を冷静に考えてみましょう。
 「午前午後ともに降水確率50%」について、起こりうるすべての場合を書き出してみましょう。①午前降る・午後降らない、②午前降らない・午後降る、③午前も午後も降る、④午前も午後も降らない。この4通りが考えられます。
 「降水確率」が午前午後ともに同じ数字ですから、①②③④の起こりやすさは同じであると考えられます。従って、それぞれ1/4ということになり、それぞれ25%の確率となります。雨が降るのは①②③の場合なので、雨が降る確率は75%ということになります。
 それでは、中学生レベルの問題です。
 「降水確率が午前30%・午後30%の場合、1日を通して雨が降る確率は何%になるでしょう?」
 先ほどのように単純にはいきません。どのような計算をすればよいでしょう。

  <参考図書>『菊川怜の数学生活のススメ』菊川怜著(日本文芸社)
         第3章 磨こう!「数学センス」確率編

 (4)詳細な降水情報には、どのようなものがあるのか調べてみましょう。

 降水確率が示す、降るか降らないかの情報だけではなく、降水量や雨の降り方、その時間などを知る方法を、気象庁や気象会社のホームページで調べてみましょう。
 気象庁の場合には、「降水短時間予報」や「降水ナウキャスト」が挙げられます。降水短時間予報は、「今後6時間の1時間ごとの降水量分布を1km四方の細かさで予測したもの」です。降水ナウキャストは、より迅速な情報として「5分間隔で発表され、1時間先までの5分毎の降水の強さを予報」しています。とりわけ、「高解像度ナウキャスト」は、250mの解像度であることから、防災気象情報として役立てることが可能です。

  <参考>
  降水短時間予報や降水ナウキャスト(気象庁)
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/kotan_nowcast.html
  高解像度ナウキャスト(気象庁)
  http://www.jma.go.jp/jp/highresorad/

 ◎発展学習◎

 「今日は傘が必要だ」と判断するのは、降水確率でいうと何%からでしょう。周りの人にアンケート調査をしてみると、降水確率と傘に関するおもしろいデータが得られるかもしれません。
 雨の対策をするかしないか。どのような規準で判断したらよいか参考になるのが「コストロスモデル」という考え方です。損失を防ぐためにかかった費用が「コスト」、何もしなかったことによる損失が「ロス」です。
 たとえば、傘を持っていく手間をコスト(例えば傘を持っていく労力を300円)、傘を持たずにぬれることによるクリーニング代1000円などと考え、どっちが得か比べるのです。詳しくは、下記のホームページを参照してください。

  <参考>
  コストロスモデル(気象庁)
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kisetsu_riyou/explain/cost_loss.html

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