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トカゲの尾はどう切れる?

 兵庫県・井上奈知香(いのうえなちか)さん(小2)からの質問(朝日新聞社発行 2011年7月9日付be)

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 ●切(き)れ目(め)で、自分(じぶん)で切ってるの

 ◇ののちゃん この前、山に登(のぼ)ったとき足元にトカゲがいたよ。捕(つか)まえようと尻尾(しっぽ)を踏(ふ)んづけたけど、尻尾が切れて見事(みごと)に逃(に)げられちゃった。

 ◆藤原先生 トカゲが逃げるための作戦(さくせん)ね。昔の人にも印象的(いんしょうてき)だったみたいで、「トカゲの尻尾切り」ということわざにもなっているね。

 ◇のの どういう意味(いみ)?

 ◆先生 責任(せきにん)を下の人にかぶせて自分(じぶん)は逃(に)げること。ののちゃんは、そんなひきょうな大人(おとな)にならないでね。尻尾切りは、両生類(りょうせいるい)のサンショウウオの一部、爬虫(はちゅう)類のトカゲと、ヘビの一部などがするの。特にトカゲの仲間(なかま)では、ヤモリやカナヘビもふくめ幅(はば)広く見られるわ。動物(どうぶつ)学では尾の「自切(じせつ)」と呼んでいるわ。

 ◇のの 自切って、トカゲが自分で切るってこと? 私に尾を踏まれたまま前へ逃げたから「千切(ちぎ)れた」のかと思ってたけど……。

 ◆先生 自分で切っているの。だから、触(さわ)った所で切れるとも限(かぎ)らないのよ。尾の先に触っても付け根近くで切れることもあるし、触る前に切れちゃうこともあるんだって。

 ◇のの へえぇ。

 ◆先生 動物の体で硬(かた)いのは骨(ほね)でしょ。尾の中にも骨がとおってるから、尾を切るには、何とかしてこれを断(た)ち切らないとね。

 ◇のの わあ、なんか痛そう。

 ◆先生 ところが、トカゲの尾の骨には、わざと切れやすくなっている所が何カ所も用意されてるのよ。尾の骨は、曲げられるように椎骨(ついこつ)という小さな骨がビーズのように連(つら)なってできているの。この椎骨に自切面(じせつめん)という切れ目が入ってるのね。ここを尾の中の筋肉(きんにく)で綱引(つなひ)きみたいに前後に引っぱって切り離(はな)すらしいよ。

 ◇のの 紙にミシン目を入れた「切り取り線」みたいだね。

 ◆先生 そうね。尾の骨をとり巻(ま)く筋肉なども、自切面のところで節(ふし)のような構造(こうぞう)になっているので、骨といっしょに切れやすいし、出血も少なくてすむ、と見られているわ。

 ◇のの 尾が切れた後はどうなるの。尾がなくても困(こま)らないの?

 ◆先生 トカゲの尾は、また生えてくるのよ。「再生(さいせい)」というの。尾には、体のバランスをとる役目(やくめ)や、栄養(えいよう)をたくわえる役目があるからね。

 ◇のの 再生って便利(べんり)だね。

 ◆先生 ただ、再生は数カ月がかりで、それも完全(かんぜん)には元にもどらないの。ふつうの骨はできず、かわりにやわらかい軟骨(なんこつ)が尾の芯(しん)になるのよ。それから、サンショウウオの仲間でも尾は再生するけど、ヘビでは再生しないわ。

 ◇のの 再生した尾は、また自切できるの?

 ◆先生 切れた尾が再生し、その先でまた切れて、またまた再生というぐあいに再生の跡(あと)が2段階(だんかい)あるトカゲがときどきいるの。だから、再生した尾も自切できるらしいわ。

 (取材協力=京都大・疋田努教授、構成=武居克明)

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