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くちびるは、なぜ赤い?

長崎県・田川知香(たがわちか)さん(22)からの質問(朝日新聞社発行 2012年4月21日付be)

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 ●皮膚(ひふ)の造(つく)りが普通(ふつう)の肌(はだ)と違(ちが)うのよ

 ◇ののちゃん お母(かあ)さんが唇(くちびる)が荒(あ)れて口紅(くちべに)を塗(ぬ)れないって言っていたよ。でも、唇(くちびる)って塗らなくても、もともと赤いよね。なぜなのかな。

 ◆藤原先生 それを理解(りかい)するには、まず皮膚(ひふ)のことを勉強(べんきょう)しないとね。

 ◇のの どういうこと?

 ◆先生 唇の皮膚は、ほおなどの普通(ふつう)の肌(はだ)の皮膚と構造(こうぞう)が違うのよ。皮膚はその表面から順に、角質細胞(かくしつさいぼう)という細胞(さいぼう)がれんがのように積(つ)み重(かさ)なっている表皮(ひょうひ)と、神経(しんけい)や毛細血管(もうさいけっかん)が走(はし)っている真皮(しんぴ)、さらにその下(した)の皮下組織(ひかそしき)(皮下脂肪〈ひかしぼう〉)という3層からできているの。この構成(こうせい)は唇も、ほかの肌の皮膚も同じなのね。

 ◇のの じゃあ、どこが違うの?

 ◆先生 皮膚の一番上(いちばんうえ)にある、細胞がれんがのように積み重なる角層(かくそう)という部分が、唇はとても薄(うす)いの。それに脂成分(あぶらせいぶん)がクリーム状(じょう)になった皮脂膜(ひしまく)という膜が普通の皮膚では表皮の上を覆(おお)っているけど、唇の場合は、この膜がないのよ。

 ◇のの 何でないの?

 ◆先生 この皮脂膜というのは、毛穴の奥にある皮脂腺(ひしせん)というところから出てくる脂肪分と、汗(あせ)が混(ま)ざり合(あ)ってできているの。でも唇には毛穴がなく、汗の出る穴もほとんどないわ。だから、皮脂膜もないのよ。

 ◇のの 確かに唇に毛はないよね。

 ◆先生 角層は、外からの光(ひかり)を反射(はんしゃ)して、あまり中(なか)に入らないようにもしているの。けれど、唇はこの層が薄いから、その下の真皮にある毛細血管の中を流れている血液の色が反映(はんえい)して赤く見えているわけなのよ。

 ◇のの 同じ唇でもおばあちゃんになるほど、赤い色が薄くなってくる気がするけど、あれはなぜなの?

 ◆先生 お年寄りになると、真皮の血管も細くなって血流も悪くなるからよ。逆に赤ちゃんの唇が赤くてきれいなのは、血液の流れもいいから。プールなんかで寒(さむ)いと唇が紫色(むらさき)になってくるのも、血管が縮(ちじ)まって血流が悪(わるく)くなるからよ。

 ◇ののちゃん 唇って、敏感(びんかん)ですぐ荒(あ)れちゃうよね。

 ◆先生 そのことも唇には、皮脂膜がなくて、角層が薄いということと関係(かんけい)しているの。表面の角層の細胞が古くなると「あか」となって落ちていくの。普通の皮膚の角層の細胞は、1カ月ほどで全部(ぜんぶ)入れ替わるけど、唇の場合は、数日で入れ替わってしまうのよ。

 ◇のの 唇は、そんなに早いんだ。

 ◆先生 唇には皮脂膜がないから、水分(すいぶん)を保(たも)つ機能も悪くて乾燥(かんそう)しやすいの。乾燥すると、表面の角層の細胞のはがれ落(お)ち方も、大きく皮がむけたようになりやすいの。唇は、体調(たいちょう)を崩(くず)したときなどの影響(えいきょう)がすぐ反映(はんえい)して、荒れとして目立ちやすいのよ。でも、治るのもその分早いけどね。唇の状態(じょうたい)は肌に比(くら)べてはっきりわかりやすいので、健康(けんこう)のバロメーターにもなるのよ。

 (取材協力=東京工科大教授・柴田雅史さん、構成=本多昭彦)

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