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海の動物は真水いらず?

東京都・布能雄二(ふのうゆうじ)さん(78)からの質問(朝日新聞社発行 2013年2月9日付be)

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 ●エサから得(え)て塩分(えんぶん)を捨(す)ててるの

 ◇ののちゃん 海の事故(じこ)で救命(きゅうめい)ボートで漂流(ひょうりゅう)中に救助(きゅうじょ)といったニュースでは、必(かなら)ず、水や食べ物をどうやって得(え)ていたかが紹介(しょうかい)されるね。

 ◆藤原先生 特(とく)に水がないとすぐにピンチよ。いくら海水がいっぱいあっても、それを飲(の)むと逆(ぎゃく)に体の中の水分が奪(うば)われちゃうの。人間は薄(うす)いオシッコしかできないから。

 ◇のの 薄いオシッコ?

 ◆先生 体の中のゴミを水で流(なが)し出す尿(にょう)は、いわば下水。尿を濃(こ)くすれば節水(せっすい)はできるけど、濃縮(のうしゅく)にはエネルギーがいるのでやり過(す)ぎは損(そん)よ。人など哺乳類(ほにゅうるい)の多くは「海水より薄い水」を得られる場所で生きているから、濃い尿をつくる働(はたら)きは持ってないの。だから海水を飲んでも、差(さ)し引きでは、それを体内の水でわざわざ薄めて尿をつくることになって、かえって脱水(だっすい)されちゃうの。

 ◇のの なるほど。でも海にいるクジラやアザラシ、ラッコも哺乳類だって聞いたよ。なぜ平気なの?

 ◆先生 エサとして食べる動植物の中に、2種類(しゅるい)の「薄い水」があるのよ。一つは水分そのもの。イルカなどのエサになる魚も水分たっぷりだし、海の魚は体に入った塩分を排出(はいしゅつ)できる特別な細胞(さいぼう)をエラに持っているから、お刺(さ)し身で食べたって別にしょっぱくはないでしょ。

 ◇のの そう言えばそうだね。

 ◆先生 もう一つは、エサに含(ふく)まれる養分(ようぶん)。養分は、元の元をたどれば、植物が炭酸(たんさん)ガスと水から太陽(たいよう)の光のエネルギーでつくったもの。だから、養分からエネルギーを取り出すと、また炭酸ガスと水に戻(もど)るの。そして、海ではこの2種類以外(いがい)には「薄い水」を得にくいから、海の哺乳類は節水のため、大きな腎臓(じんぞう)で尿を濃縮してから捨(す)てているの。

 ◇のの 節水は大事だけど、エサといっしょに海水を飲み込(こ)んだりして、どうしても塩分が体の中に入っちゃうでしょ。それはどうするの?

 ◆先生 濃い尿の中に塩分をたっぷり出して捨ててるから、差し引きでは海水から真水(まみず)を漉(こ)し取れるのよ。

 ◇のの 爬虫(はちゅう)類の海亀(うみがめ)とか、カモメのような海鳥(うみどり)はどうしてるの?

 ◆先生 爬虫類や鳥の腎臓は、そもそも哺乳類ほど高性能(せいのう)じゃないけど、ほかにも体から水分を出す仕組(しく)みはあるのよ。といっても、彼(かれ)らは汗(あせ)はかかないけど、しょっぱい涙(なみだ)や鼻(はな)水を流すの。

 ◇のの え、なんのこっちゃ?

 ◆先生 目や鼻の穴(あな)をうるおし、きれいに保(たも)つために、涙腺(るいせん)や鼻腺(びせん)が涙や鼻水を出してるんだけど、海亀や海鳥は、それをすごく濃くすることで塩分を体外に捨てているの。

 ◇のの 哺乳類は濃いオシッコをし、爬虫類や鳥は濃い涙や鼻水を流すという、とっても内容(ないよう)の濃いお話でした。ちょっとまとめ過(す)ぎかな?

 (取材協力=山田格・国立科学博物館グループ長、出口智広・山階鳥類研究所研究員、浦野明央・北海道大名誉教授、構成=武居克明)

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