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震災の漂流物はどこいった?

山口県・長田桃佳(ながたももか)さん(中2)からの質問(朝日新聞社発行 2013年2月23日付be)

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 ●太平洋(たいへいよう)を回(まわ)って戻(もど)ってきてるの

 ◇ののちゃん もうすぐ東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)から2年(ねん)だね。津波(つなみ)で海(うみ)に流(なが)された物(もの)は、どこへ行(い)ったんだろう。

 ◆藤原先生 全部(ぜんぶ)で150万(まん)トンも漂流(ひょうりゅう)しているそうよ。壊(こわ)れた橋(はし)などが北米大陸(ほくべいたいりく)の西海岸(にしかいがん)に流れ着(つ)いたという話(はなし)も聞(き)いたけど、すべて同(おな)じように移動(いどう)するわけでもないのね。

 ◇のの 波が運(はこ)んでいくんだよね。

 ◆先生 太平洋(たいへいよう)のように大(おお)きな海では、一定方向(いっていほうこう)に水(みず)が動(うご)く海流(かいりゅう)という流れがあるの。浅(あさ)いところの海流は、主(おも)に風(かぜ)の力(ちから)で起(お)きるの。波にさらわれた物は、海流と風そのものの力の両方(りょうほう)に押(お)され沖合(おきあい)を流れるの。

 ◇のの 海流と風の力とどっちが大きいのかな。

 ◆先生 物の浮(う)き方(かた)によるわ。海水(かいすい)などを吸(す)って海面(かいめん)より下(した)に沈(しず)んでいる木(き)などなら、風はほとんど関係(かんけい)しないわね。でも、ボールやポリタンクや壊(こわ)れた船(ふね)といった海の上(うえ)に浮いている部分(ぶぶん)が多(おお)いものは、風の影響(えいきょう)を強(つよ)く受(う)けるわね。

 ◇のの 風はどう吹(ふ)いているの?

 ◆先生 日本がある北半球(きたはんきゅう)の中(ちゅう)ぐらいの緯度(いど)では、偏西風(へんせいふう)という風が西(にし)から東(ひがし)に吹いているの。海流も基本的(きほんてき)に東に向(む)かって流れているのよ。

 ◇のの どういう物が速(はや)く流れていくんだろう。

 ◆先生 風は1秒間(びょうかん)に何(なん)メートルもの速さで吹くでしょ。でも水は、空気(くうき)と違(ちが)ってゆっくり動(うご)くの。海の表面(ひょうめん)近(ちか)くだと、せいぜい毎(まい)秒1〜2メートルほどと言(い)われているわ。だから、浮きやすい物ほど速く東のほうへ動くの。

 ◇のの みんな東にいくのなら、米国(べいこく)やカナダの太平洋岸(がん)にやがて全部打(う)ち上げられちゃうのかな?

 ◆先生 確(たし)かに、北米大陸に近づいた時(とき)に吹く風によって南北(なんぼく)方向に広(ひろ)がり、アラスカからカリフォルニアあたりの海岸に流れ着いたものもあるわ。だけど、海をぐるっと巡(めぐ)って西に向け帰(かえ)ってくる物もあると、環境省(かんきょうしょう)は予測(よそく)しているのよ。

 ◇のの えーっ、戻(もど)ってくるの?

 ◆先生 日本より赤道(せきどう)に近い東南(とうなん)アジアの国々(くにぐに)に近づいているわ。

 ◇のの どうしてそうなるの?

 ◆先生 低(てい)緯度の北半球では貿易風(ぼうえきふう)が東から西に吹いていて、海流も西に向け流れるの。そのほかに地球(ちきゅう)の自転(じてん)による作用(さよう)もあって、緯度の高(たか)いところは海水は南(みなみ)へ、緯度の低(ひく)いところでは北(きた)へ運(はこ)ばれようとするのよ。その結果(けっか)、北太平洋の海には時計回(とけいまわ)りの海流ができるの。亜熱帯循環(あねったいじゅんかん)というのよ。

 ◇のの 震災の漂流物(ぶつ)は、今(いま)どのあたりまで戻って来(き)ているの?

 ◆先生 津波で流された中(なか)で最(もっと)も多いのは、海中(かいちゅう)と海上(かいじょう)にみえる部分が同じくらいの体積(たいせき)で浮いている物だけど、それらの一部はハワイの北の方を通(とお)り越(こ)したらしいわ。6月(がつ)にはフィリピンに近づくし、沖縄(おきなわ)にも来るかもしれないわ。

 (取材協力=山中吾郎・気象研究所海洋研究部第1研究室長ほか、構成=森治文)

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