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落ちてくる隕石はなぜ光る?

東京都・森島栞里(もりしましおり)さん(高1)からの質問(朝日新聞社発行 2013年3月9日付be)

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 ●摩擦(まさつ)より、空気(くうき)の圧縮(あっしゅく)で光(ひか)るの

 ◇ののちゃん ロシアに隕石(いんせき)が落(お)ちたよね。すごい光(ひかり)だったね。

 ◆藤原先生 あれは隕石そのものより、周(まわ)りの空気(くうき)が光(ひか)っていたのよ。

 ◇のの ええ! まさつとか?

 ◆先生 摩擦(まさつ)が起(お)きるのは確(たし)かだけど、光るほど熱(あつ)くはならないの。

 ◇のの じゃ、なんでだろう?

 ◆先生 ののちゃんは、自転車(じてんしゃ)のタイヤに空気を入れたことはある?

 ◇のの あるよ。

 ◆先生 プニャプニャのタイヤにパンパンになるまで空気を入(い)れると、タイヤが熱(あつ)くなってきたでしょ。中(なか)の空気がタイヤを暖(あたた)めるからなの。

 ◇のの どうして熱くなるの?

 ◆先生 それはね、空気に押(お)し縮(ちぢ)められると温度(おんど)が上(あ)がる、という性質(せいしつ)があるからなの。難(むずか)しい言葉(ことば)でいうと「断熱圧縮(だんねつあっしゅく)」という現象(げんしょう)。たとえば20度(ど)の空気を圧縮して体積(たいせき)を半分(はんぶん)にすると、100度以上になるの。

 ◇のの 100度以上(いじょう)。びっくり。

 ◆先生 今回(こんかい)のように秒速(びょうそく)18キロでゆっくり落ちてきた隕石でも、表面(ひょうめん)は数百(すうひゃく)万(まん)分の1に圧縮された高温(こうおん)の空気にさらされて数万度になるのよ。

 ◇のの 小惑星(しょうわくせい)イトカワから帰(かえ)ってきた「はやぶさ」も光ってたよね。

 ◆先生 「はやぶさ」のときは、秒速12キロで圧縮率(りつ)は数(すう)十万分の1。大気圏突入(たいきけんとつにゅう)までマイナス50度くらいだったはやぶさの周りの大気は、瞬間的(しゅんかんてき)に6万度まで上がったそうよ。だから、特殊(とくしゅ)な断熱材(だんねつざい)で守(まも)られたカプセル以外(いがい)は燃(も)え尽(つ)きてしまったの。

 ◇のの でも、隕石はどうやって空気を圧縮するのかな?

 ◆先生 隕石の周りにできる衝撃波(しょうげきは)が空気入れの筒(つつ)で、隕石がピストンね。衝撃波に囲(かこ)まれた空気を隕石が押し、空気が高温に加熱(かねつ)されるの。

 ◇のの 衝撃波って?

 ◆先生 お風呂(ふろ)におもちゃを浮(う)かべて前(まえ)に速(はや)く引(ひ)っ張(ぱ)ってみて。水紋(すいもん)が進行方向(しんこうほうこう)に連続(れんぞく)して重(かさ)なり合(あ)って一つの大(おお)きな波(なみ)ができるはずよ。

 ◇のの 隕石の衝撃波は、水(みず)の代(か)わりに空気にできる波ってこと?

 ◆先生 その通(とお)り! 隕石が音速(おんそく)以上の速さで大気圏に突入すると、空気の波が一つの連続した波へと重なって衝撃波となるの。あの時(とき)に聞(き)こえたドーンという音は衝撃波が人(ひと)や物(もの)に届(とど)いた音なの。

 ◇のの なんか、すごそうだね。

 ◆先生 もう一つ、断熱圧縮以外にも空気を熱くするしくみがあるの。

 ◇のの まだ、あるの?

 ◆先生 大きくて高速の隕石では断熱圧縮の効果(こうか)は大きくて、何千(なんぜん)、何万(なんまん)度にもなるの。そうなると、空気自体(じたい)が「放射(ほうしゃ)」といって光を出(だ)すの。熱が伝(つた)わる範囲(はんい)も広(ひろ)くなるわ。はやぶさの放射は月明(つきあ)かりくらいだったけど、今回の隕石は放射の割合(わりあい)がはるかに大きかったわね。

 ◇のの なるほど。それで太陽(たいよう)みたいに明るく光っていたんだね。

 (取材協力=宇宙航空研究開発機構の藤田和央〈かずひさ〉主幹研究員、東京大の鈴木真二教授、構成=竹石涼子)

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