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なぜ、寿命はあるの?

熊本県・北森照男(きたもりてるお)さん(80)からの質問(朝日新聞社発行 2013年4月20日付be)

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 ●長生(ながい)きし過(す)ぎは不利(ふり)もあるの

 ◇ののちゃん 世界最高齢(さいこうれい)は男女とも日本人なんだよね、スゴイ!

 ◆藤原先生 その日本の中で最も長寿(ちょうじゅ)なのは、男女とも長野県だって。食事や暮(く)らし方、医療(いりょう)、福祉(ふくし)、環境(かんきょう)などが総合(そうごう)的に良いんだろうね。

 ◇のの でも、いくら条件(じょうけん)が良くても人は結局(けっきょく)は死ぬんだよね。生き物にはみんな寿命(じゅみょう)があるんだもんね。

 ◆先生 それは誤解(ごかい)よ。天敵(てんてき)に食べられたり、飢(う)えや病気に見舞(みま)われたりしなければ、ずっと生き続ける生物たちもいるの。むしろそれが生物の元々の姿(すがた)で、寿命という現象(げんしょう)は進化の途中(とちゅう)から現(あらわ)れたの。

 ◇のの え、そうなの。

 ◆先生 植物には樹齢(じゅれい)が数千年の木もあるし、アメリカの砂漠(さばく)に生える低木、クレオソートブッシュには推定(すいてい)約1万2千年の株(かぶ)もあるの。これらは火災(かさい)でもなければもっと長生きしそうで、実質(じっしつ)的に寿命はないわ。

 ◇のの 1万年超(ちょう)ですか!

 ◆先生 動物にはたいてい寿命があるけど、クラゲの仲間(なかま)や、小さなアブラミミズなどには、体が分かれて数を増(ふ)やしながらずっと生き続ける種類(しゅるい)もいるのよ。ただ、寿命については、観察(かんさつ)にかかる時間も手間も大変なので不明な部分も多いね。

 ◇のの 寿命なんてないといいな。

 ◆先生 たとえば電気製品(せいひん)だと10年ほどで寿命になるものが多いよね。もっと長持ちさせようとすれば、じょうぶな部品を使ったり、古くなると増える故障(こしょう)を直し続けたりと、とても高くつくでしょ。だから、後で新品と交換(こうかん)する作業(さぎょう)が大変など、よほどの事情(じじょう)でもない限りは引き合わないのよ。動物も同じらしいの。

 ◇のの と言うと?

 ◆先生 長寿の木は毎年、種をつくり続けるけど、動物の場合は、子を産(う)んだり守ったりする期間(きかん)よりも長く生きる仕組(しく)みが進化することは、むずかしいのよ。なぜなら、そんな超長生き遺伝子(いでんし)を持っていても、それによって子の数が増えるわけでも生存率(せいぞんりつ)が上がるわけでもなく、「高くつく」だけでしょ。そういう遺伝子は子孫(しそん)に広がりようがないわけ。

 ◇のの うーん。

 ◆先生 あまりに長生きだと、子ども世代(せだい)と食料や生息(せいそく)場所などで競合(きょうごう)してしまって世代交代(せだいこうたい)が抑(おさ)えられ、生存競争(きょうそう)や環境(かんきょう)変動に遺伝子レベルで適応(てきおう)していくのが遅(おそ)くなり、生き残(のこ)っていく上で、かえって不利になってしまうでしょうね。

 ◇のの でも、人間は子育てを終えた後も長く生きるよ。

 ◆先生 栄養(えいよう)の良さや医療のおかげで、自然ではそうはいかないほど長生きしている面もあるし、「孫(まご)育て」に貢献(こうけん)することで高くついても引き合うように進化したのでは、という見方もあるよ。

 ◇のの それでも不老不死はムリ?

 ◆先生 それは欲望(よくぼう)の暴走(ぼうそう)でしょ。

 (取材協力=鈴木英治・鹿児島大教授、月井雄二・法政大教授、国吉久人・広島大准教授、構成=武居克明)

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