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イルカは超音波をどう出す?

東京都・倉持乃英瑠(くらもちのえる)さん(中3)からの質問(朝日新聞社発行 2013年5月4日付be)

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 ●額(ひたい)から前方(ぜんぽう)に向(む)け発射(はっしゃ)するの

 ◇ののちゃん このあいだ水族館(すいぞくかん)でイルカのショーを見(み)たよ。イルカは海(うみ)の中(なか)で「超音波(ちょうおんぱ)」を出(だ)してエサを探(さが)すんだってね。

 ◆藤原先生 人間(にんげん)には聞(き)こえない高い音(おと)を、超音波というの。でも、ののちゃんが会(あ)ったイルカは、人(ひと)に聞こえる音も出していなかったかな?

 ◇のの うん。ピーピーと口笛(くちぶえ)みたいな音が聞こえたよ。

 ◆先生 それは「ホイッスル」という鳴(な)き声(ごえ)ね。イルカどうしが呼(よ)び合(あ)うとき使(つか)うそうよ。ほかに音は聞こえなかった?

 ◇のの イルカの水槽(すいそう)に近(ちか)づいたら、ガラスごしにギリギリっていう音も少(すこ)し聞こえたけど。

 ◆先生 それが、水の中でエサを探したり、周(まわ)りの様子(ようす)を探ったりするときに出す「クリック音(おん)」。このクリック音は、人の耳にも聞こえることがあるけど、大部分(だいぶぶん)は人に聞こえない超音波ね。

 ◇のの イルカはどうやって超音波を出すのかな?

 ◆先生 イルカは鼻(はな)の穴(あな)が頭(あたま)の上(うえ)にあるんだけど、その奥(おく)にある狭(せま)いすきまに空気(くうき)を通(とお)して音をつくるの。おならの音が出るしくみに、似(に)ているわね。その音が頭の骨(ほね)に反射(はんしゃ)したり、おでこの中にあるラグビーボールのような形(かたち)の「メロン」という器官(きかん)で集(あつ)められたりして、前(まえ)へ向(む)けて発射(はっしゃ)されるのよ。たとえて言(い)えば、おでこにつけた懐中電灯(かいちゅうでんとう)で、獲物(えもの)の魚(さかな)を照(て)らし出(だ)すようなイメージね。

 ◇のの へー。口(くち)じゃなくて、おでこから超音波を出すんだ。

 ◆先生 そうなの。イルカのノドには人間のような「声帯(せいたい)」はないのよ。それに、耳(みみ)の穴は、耳あかで完全(かんぜん)に詰(つ)まってしまっているの。

 ◇のの ひぇ〜! それでも音が聞こえるの?

 ◆先生 じつは、物(もの)に当(あ)たって跳(は)ね返(かえ)ってきた超音波をキャッチするのは、下(した)あごの骨(ほね)なの。だから、耳の穴が詰まっていても大丈夫(だいじょうぶ)。

 ◇のの 超音波で何(なに)が分(わ)かるの?

 ◆先生 エサの魚がいる方向(ほうこう)や距離(きょり)、大(おお)きさなどが分かるの。形(かたち)だけでなく、材質(ざいしつ)の違(ちが)いも区別(くべつ)できるのよ。イルカのこうした能力(のうりょく)は「エコーロケーション」といって、陸上(りくじょう)ではコウモリの例(れい)が有名(ゆうめい)ね。超音波は、体(からだ)の中をしらべる診断装置(しんだんそうち)や魚群(ぎょぐん)探知機(たんちき)にも使(つか)われているのよ。

 ◇のの イルカはなぜ、ふつうの音じゃなくて、超音波を使うの?

 ◆先生 イルカが、エサの魚に向(む)けてふつうの音を発射しても、素通(すどお)りしてしまうからよ。超音波なら、うまく跳(は)ね返ってきてくれるの。特(とく)に、魚の体内(たいない)にある「うきぶくろ」という器官は、超音波をよく反射(はんしゃ)する性質(せいしつ)があるの。超音波を使えるからこそ、イルカたちは、暗(くら)い夜(よる)や濁(にご)った水の中でも上手(じょうず)に魚を見つけ出し、食(た)べることができるのよ。

 (取材協力=水産総合研究センター水産工学研究所・赤松友成グループ長、構成=山本智之)

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