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氷はなんで水に浮くの?

兵庫県・松野天翔(まつのたかと)さん(5つ)ほかからの質問(朝日新聞社発行 2013年5月25日付be)

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 ●凍(こお)ると体積(たいせき)が増(ふ)え軽(かる)くなるの

 ◇ののちゃん あつーい。こんな時(とき)は氷水(こおりみず)がおいしいよね。ところで、氷は何(なん)で水に浮(う)くんだろう?

 ◆藤原先生 ののちゃんは、ペットボトルの飲(の)み物(もの)や缶(かん)ジュースを冷凍庫(れいとうこ)に入(い)れたことはある?

 ◇のの 急(いそ)いで冷(ひ)やしたくて冷凍庫に入れて、そのまま忘(わす)れちゃっていたら、カチカチに凍(こお)って容器(ようき)がゆがんでいたよ。なんでかな?

 ◆先生 水は氷になる時に体積(たいせき)が9〜10%も大(おお)きくなるからよ。その理由(りゆう)は水分子(みずぶんし)の形(かたち)にあるの。水は、一(ひと)つの酸素原子(さんそげんし)に二(ふた)つの水素(すいそ)原子がくっついてできているのは知ってる?

 ◇のの 聞いたことあるよ。

 ◆先生 水分子は温度(おんど)が0度(ど)になると動きを止めて、近(ちか)くの分子同士(どうし)で強(つよ)く結合(けつごう)して凍り始めるの。だけど水分子は曲(ま)がった形をしているので、すき間(ま)が多(おお)い形でしか固まれないのよ。逆(ぎゃく)に液体(えきたい)の水でいる時には、比較的(ひかくてき)自由(じゆう)に動けるので、氷よりも分子がギュッと詰(つ)まっていられるの。だから同じ体積で考えると、氷の方(ほう)が水より軽(かる)くなるので、氷が水に浮くというわけね。北極(ほっきょく)の海(うみ)に浮かぶ氷山(ひょうざん)もこの原理(げんり)よ。

 ◇のの 凍ると体積が増えるんだ。

 ◆先生 水が凍るときに体積が膨張(ぼうちょう)する力(ちから)はすごく強(つよ)いの。世界一(せかいいち)深(ふか)いマリアナ海溝(かいこう)の底(1000気圧〈きあつ〉)よりも高い圧力(あつりょく)になるそうよ。この力は、岩石(がんせき)にしみこんだ水が凍って岩石を少(すこ)しずつ壊(こわ)してしまったりして風化(ふうか)の原因(げんいん)にもなるのよ。

 ◇のの 水以外のものも、凍ると軽くなって浮くのかな?

 ◆先生 試(ため)しに食用油(しょくようあぶら)を凍らせて固体の油を作(つく)ってみましょうか。液体の油に入れると、ほらね、沈んじゃったわ。多くの物質(ぶっしつ)は、固体になると、液体の時より体積が少し減(へ)るの。水のように軽くなる物質はむしろ珍(めずら)しいわ。水以外だと、半導体(はんどうたい)に使(つか)われるケイ素(そ)やゲルマニウム、ガリウムといったものくらいかな。だけど水に沈む氷もあるのよ。

 ◇のの え? 水に沈む氷?

 ◆先生 数千(すうせん)〜数万(すうまん)気圧というすごい圧力をかけて氷を作ると、結合がゆがんだり重(かさ)なったりして、ギュッと詰(つ)まった氷ができるの。いろんな温度と圧力で試して、普通(ふつう)と違(ちが)う氷が、今(いま)では10種類(しゅるい)以上発見(はっけん)されているのよ。その中(なか)で一番(いちばん)重い氷は重さが普通の氷の2倍(ばい)以上。計算上(けいさんじょう)、水に沈むくらい重いわ。

 ◇のの へー。毎日(まいにち)飲(の)んでいる水も知らないことがたくさんあるね。

 ◆先生 もしも、氷が水に沈む性質(せいしつ)だったら池(いけ)や湖(みずうみ)の水は、冬に凍ったそばから底(そこ)に沈んでしまうでしょ。どんどん氷が底にたまり、池全体(ぜんたい)が凍ってしまうかも。そうなると、魚(さかな)などの生(い)き物(もの)は冬を越(こ)せず、生きられなくなるかもしれない。水と氷の不思議(ふしぎ)な性質のおかげで私(わたし)たち人間(にんげん)や、地球上(ちきゅうじょう)の生き物はいろいろな恩恵(おんけい)を受(う)けているともいえるわね。

 (取材協力=ニチレイフーズ研究開発部の石井寛崇さん、構成=香取啓介)

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