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ガマの油って、本当に薬?

神奈川県・宮川睦美(みやかわむつみ)さん(39)からの質問(朝日新聞社発行 2013年6月8日付be)

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 ●身を守る毒が心臓にも効くの

 ◇ののちゃん 家の庭(にわ)でヒキガエルを見たよ。動きがノソノソしてて、あれでよく生き抜(ぬ)けるもんだね。

 ◆藤原先生 ヒキガエルはガマとも呼(よ)び、皮膚(ひふ)から白い毒液(どくえき)の「ガマの油」を出すので、犬やヘビが食いついても吐(は)き出したり苦(くる)しんだりするの。だから彼(かれ)らはめったに手を出さず、ガマは悠然(ゆうぜん)としてられるのね。

 ◇のの ガマの油って、昔(むかし)はお薬(くすり)にしたと聞いたことがあるよ。

 ◆先生 薬は量(りょう)が多すぎるとかえって体に毒なの。逆(ぎゃく)に毒も、少しだけ使うと薬になることもあるのよ。ガマの油も「蟾酥(せんそ)」と呼ばれ、今も漢方薬(かんぽうやく)の原料(げんりょう)になってるわ。心臓(しんぞう)の動きを高める強心(きょうしん)作用、痛(いた)み止めや血止め、呼吸(こきゅう)の促進(そくしん)などの働(はたら)きがあるの。抗(こう)がん効果(こうか)も研究(けんきゅう)中だそうよ。

 ◇のの へえ、そうなの!

 ◆先生 両生類(りょうせいるい)は、カエルのほか、イモリやサンショウウオといった尾(お)を持つグループも、強弱の差(さ)はあるけど毒を含(ふく)む粘液(ねんえき)を出して天敵(てんてき)を遠(とお)ざけているの。

 ◇のの 知らなかった。

 ◆先生 彼らは、祖先(そせん)である魚のように体をウロコで覆(おお)うのをやめ、かといって子孫(しそん)に当たる爬虫(はちゅう)類のような丈夫(じょうぶ)な皮も、鳥のような羽毛(うもう)も、哺乳(ほにゅう)類のような毛も持ってないでしょ。そういう裸(はだか)の状態(じょうたい)の皮膚を通して盛(さか)んに皮膚呼吸をしているの。肺(はい)の働きがまだ不十分(ふじゅうぶん)だからね。

 ◇のの それと粘液が関係(かんけい)するの?

 ◆先生 裸の皮膚を粘液で守っているのよ。乾燥(かんそう)したり、傷(きず)ついたりしないように守るだけでなく、細菌(さいきん)やカビの繁殖(はんしょく)とか、ヘビや獣(けもの)の攻撃(こうげき)を防(ふせ)いでいるの。だから粘液には、水分やぬめりを出す成分のほかに、他の生物には有害(ゆうがい)だったり、いやな味や臭(にお)いがしたりする撃退(げきたい)用の成分も入っているわけね。

 ◇のの 両生類と粘液は、切っても切れない関係なんだね。

 ◆先生 卵(たまご)やオタマジャクシの時代を水中で過(す)ごすだけでなく、粘液を出すことで体内の水を失(うしな)うせいもあって、大人になっても水分を補給(ほきゅう)しやすい場所から離(はな)れにくいのよ。だから水陸(すいりく)「両生」なの。

 ◇のの アマガエルに触(さわ)るのもやめなきゃいけない?

 ◆先生 それは大げさね。ガマだって、白い毒液を出すのはかなりピンチの時だけよ。あくまで身を守るためだからね。ガマの油の売り文句(もんく)の「口上(こうじょう)」では、鏡(かがみ)で自分の姿(すがた)を見せ、その醜(みにく)さにタラーリタラリと流(なが)す油を採(と)ることになってるけど。

 ◇のの おもしろいね!

 ◆先生 実際(じっさい)は、毒液をよく出す目の後ろの部分をつまんでしぼるの。もし口上が本当なら、何もガマに頼(たよ)らなくても、戦争(せんそう)という殺(ころ)し合いをくり返すヒトは、自分たちのあまりの醜さにあぶら汗(あせ)がどっさり噴(ふ)き出すはずね。さぞ毒がたっぷりのね。

 (取材協力=京都大・松井正文教授、森哲准教授、救心製薬・須藤慶一研究開発部門長、構成=武居克明)

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