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ガとチョウの区別は?

神奈川県・鈴木康司(すずきこうじ)さん(51)からの質問(朝日新聞社発行 2013年8月31日付be)

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 ●ハッキリ分(わ)けるのは無理(むり)なの

 ◇ののちゃん 夏(なつ)休みの自由研究(けんきゅう)に選(えら)んだチョウの採集(さいしゅう)は、もうバッチリ。でも、図鑑(ずかん)で調(しら)べたらガがまじってたの。とてもきれいなのに!

 ◆藤原先生 夜に活動(かつどう)するガは確(たし)かに地味(じみ)ね。でも中には昼(ひる)に活動するガもいて、昼なら異性(いせい)などに色や模様(もよう)を見せられるため、きれいな姿(すがた)に進化した種(しゅ)もいるの。逆(ぎゃく)に、チョウにも天敵(てんてき)に見つかりにくい地味な種も結構(けっこう)いるから、きれいかどうかでチョウとガを区別するのは無理(むり)よ。

 ◇のの とまるときにチョウは羽(はね)を閉(と)じ、ガは開くって聞いたけど?

 ◆先生 羽を開いてとまるチョウも、閉じてとまるガもいるよ。触角(しょっかく)の形で分けられるとも言われるけどやっぱりスッキリとはいかないの。

 ◇のの うーん。

 ◆先生 体の色や形、とまり方、活動するのが夜か昼かなどでガとチョウに分けようとしても、そういう外見的なことには「他人のそら似(に)」や逆に「兄弟なのに似てない」といったこともあるので、無理(むり)が出ちゃうの。遺伝(いでん)を担(にな)う物質(ぶっしつ)DNAまで調べれば系図(けいず)は確実(かくじつ)なんだけどね。科学的な系図によれば、昔からのガ、チョウという呼(よ)び方でこのグループを二つに分けられる訳(わけ)じゃないのよ。

 ◇のの そうなんだあ。

 ◆先生 このグループの祖先(そせん)は、恐竜(きょうりゅう)が栄えていたジュラ紀(き)には登場していたけど、鳥類(るい)など天敵が強力になると、それを避(さ)けて多くの種は夜に活動したようよ。でもその中から、天敵をかわす飛(と)び方や体内の毒(どく)などの防御(ぼうぎょ)法を身につけ、昼の世界(せかい)に戻(もど)るものが出てきたの。

 ◇のの たくましいね。

 ◆先生 そうすると鮮(あざ)やかな色や模様を発達(はったつ)させるものも現(あらわ)れ、チョウは多くの種がそうなので、ガより種はずっと少ないけど目立つね。さてきれいなチョウにお似合(にあ)いなのは?

 ◇のの そりゃあ、花でしょう。

 ◆先生 そうね。虫や鳥を花に引きつけ、花粉(かふん)をめしべに付けてもらうために、花びらが目立つように進化していったの。

 ◇のの 風まかせより確実だね。

 ◆先生 だから、きれいな花を咲(さ)かせる被子(ひし)植物はとても栄えているね。ガやチョウの祖先はコケを食べていたらしいけど、その中から被子植物の葉(は)や花のミツを食べるものが現れたの。そして被子植物の種が増えるにつれ、それを利用するガやチョウなど虫の種も増え、それがまた被子植物の新しい進化を促(うなが)して、それぞれが植物、動物の中で大きなグループに発展(はってん)したのよ。

 ◇のの ふーん。それにしてもコケときれいな花が咲く植物では、食べ物としてずいぶんかけ離(はな)れてるね。

 ◆先生 その壁(かべ)をどう乗り越(こ)えたのか、まだよく分かっていないけれど、花とチョウという生物界で最高の美の組み合わせは、そんなドラマがあって生まれたのよ。

 (取材協力=加藤真・京都大教授、構成=武居克明)

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