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注射(ちゅうしゃ)で血(ち)は、なぜもれない?

福岡県・安永愛(やすながあい)さん(高2)からの質問(朝日新聞社発行 2013年9月7日付be)

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 ●血小板(けっしょうばん)などが、すぐ穴(あな)をふさぐの

 ◇ののちゃん この前、お父(とう)さんが献血(けんけつ)をしてきたよ。献血のお礼(れい)として、お菓子(かし)をもらってきてくれて、うれしかった。

 ◆藤原先生 あら、よかったわね。お父さんに感謝(かんしゃ)しなきゃね。

 ◇のの でも血(ち)を抜(ぬ)くって不思議(ふしぎ)だなって思(おも)うの。注射針(ちゅうしゃばり)を血管(けっかん)にさしているんだよね。注射針を抜いた後(あと)に、血管に開(あ)いた穴(あな)からなんで血がもれてしまわないのかな。

 ◆先生 ののちゃん、細(こま)かいところに関心(かんしん)をもったわね。実(じつ)は、血管が傷(きず)ついても、血がもれ出(だ)さない仕組(しく)みがあるのよ。

 ◇のの どんな仕組みなの?

 ◆先生 腕から血を抜くときに、注射針をさすことが多(おお)い静脈(じょうみゃく)の場合(ばあい)で説明(せつめい)するわね。血を抜くために注射針を静脈にさすと、針はまず血管の外側(そとがわ)にある膜(まく)を突(つ)き抜けるの。それから外側だけでなく、膜の内側(うちがわ)にある、血液(けつえき)と触(ふ)れている内皮細胞(ないひさいぼう)という細胞も壊(こわ)すわけね。

 ◇のの うん。それどうなるの。

 ◆先生 内皮細胞が壊れると、血管壁の内側にあるコラーゲンでできた膜がむき出しになるの。内皮細胞の表面(ひょうめん)は普段(ふだん)は、マイナスの電気(でんき)をもつ物質(ぶっしつ)で覆(おお)われ、血液中にある血小板(けっしょうばん)というものを寄(よ)せつけなくなっているんだけど、内皮細胞がなくなることで、血小板が反応(はんのう)して、傷口(きずぐち)にどんどん集(あつ)まってくるの。

 ◇のの それで傷口が閉じるの?

 ◆先生 これは傷口がふさがる第一段階(だいいちだんかい)よ。血小板が集まってきた後に、血液中にあるフィブリノゲンというたんぱく質が、線維状(せんいじょう)のフィブリンへと変化(へんか)して、血小板のかたまりを補強(ほきょう)するの。そして数分(すうふん)ほどで、壊れた血管の膜や内皮細胞などが再生(さいせい)されてくるの。

 ◇のの 傷を覆うばんそうこうみたい。でも、血管がもとに戻(もど)っても血小板のかたまりが残(のこ)ったままだと、血が流(なが)れにくくなりそう。

 ◆先生 そのとおり。実は、血管の膜の再生(さいせい)が進(すす)んでいるとき、血小板とフィブリンの固(かた)まりが今度はなくなる反応も起(お)きているの。フィブリンは溶(と)けて、血小板も次第(しだい)に消(き)えていくのよ。

 ◇のの それで血管がもとどおりになるんだね。でも注射をした後に、青黒(あおぐろ)くあざのようになっている人もいるって聞(き)いたよ。

 ◆先生 血小板の数(かず)が少(すく)ないことなどが原因で、内出血(ないしゅっけつ)することもあるけど、注射だけで起こったなら、あまり心配することはないわ。

 ◇のの そうなんだ。でも、血管の内部(ないぶ)では、いろんなことが起こっていたんだね。

 ◆先生 血管は、生(い)き物(もの)が生命(せいめい)を維持(いじ)するために、重要(じゅうよう)な役目(やくめ)を果(は)たしているの。だから、傷ついてもすぐに修復(しゅうふく)する仕組みをもっているのよ。ただ、何度(なんど)も傷がつくと、血管が固(かた)くなることもあるらしいわ。

 (取材協力=順天堂大医学部解剖学の坂井建雄教授、構成=今直也)

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