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スペシャルインタビュー

「美しさは強さ」 新体操フェアリーたちの演技をメイクで支える 【ポーラ】

2019年5月15日

2018年の世界新体操選手権大会(ブルガリア・ソフィア)でフープの演技を披露する新体操団体日本代表の選手たち=日本体操協会提供、©zuni

音楽にのせて手具を巧みに操り、柔軟な身体とリズミカルな演技で魅了する妖精たち。躍進する新体操日本代表「フェアリー ジャパン POLA」に、東京2020オリンピック競技大会では日本新体操史上初となるメダル獲得へ期待がかかる。ポーラは新体操日本代表チームのオフィシャルパートナーとして、選手のメイクやスキンケアを応援してきた。昨年から掲げるコピーは「美しさは、強さ。」。美容コーチの桝浩史さん、フェアリー ジャパン元キャプテンでポーラのアドバイザーを務める田中琴乃さんに、フェアリーの美の秘密を聞いた。

インタビューに答える美容コーチの桝浩史さん(右)と、フェアリー ジャパン POLA元キャプテンの田中琴乃さん

――新体操支援のきっかけを教えてください

夢に向かって頑張る女性たちをサポートしていきたいという思いから、新体操への支援が始まりました。日本体操協会と2007年、新体操ナショナル選抜団体チームのオフィシャルパートナー契約を締結。2014年に個人日本代表選手まで支援の対象を広げました。現在、各部署から選ばれた8人の美容コーチが選手たちに寄り添い、サポートに取り組んでいます。

――選手たちにどのようなサポートを提供しているのですか?

2018年5月、国立スポーツ科学センター(東京都)で桝浩史さんから新しいメイクの指導を受ける選手たち=ポーラ提供、©Rimako Takeuchi

新体操は審判員に頭のてっぺんからつま先までどれだけ印象づけられるかが大事です。メイクは演技を引き立たせる要素の一つ。演技内容やシーズンごとのイメージをヒアリングしたうえで、毎年、メイクパターンを考案します。このパターンに合わせて選手専用のメイク品を開発し、メイク技術を指導します。

田中私が16歳のときにポーラのサポートが始まりました。肌分析の結果をもとに、256万通り以上の中から私の肌に合ったスキンケアアイテムを提供していただきました。美容コーチにはメイク技術を教わりました。

 現役を引退した後、ポーラに2014年入社。研修を経て美容コーチの1人に加わりました。2017年に会社を離れた後はアドバイザーとして、メイクのサポートはもちろん、選手から情報を吸い上げてポーラの開発チームに伝えるお手伝いをしています。

――新体操のメイクにはどのような特徴があるのでしょう

フェアリー ジャパン POLAのために開発されたメイク品=ポーラ提供、©Rimako Takeuchi

審判員や観客に表情がしっかり伝わるように、「15m先でも美しい」ことが大前提です。ポイントの一つが目ヂカラ。アイテムやテクニックで目ヂカラを出す工夫をしています。立体感にもこだわっています。強豪国ロシアや東欧の選手は彫りの深い顔立ちが特徴。日本の選手も負けないように、骨格を強調したメイクを意識しています。

 機能面では崩れないことが重要です。汗を大量にかくので、アイテムやテクニックでメイク崩れを防ぐようにしています。

田中メイクパターンはコーチ陣や選手の意見をヒアリングし、音楽の要素やトレンドなどを加味してつくります。シーズン初めの春は衣裳も決まっていないので、オリンピックや秋の世界選手権大会に照準をあてて完成させていきます。

 写真を撮る際、洋服の色で印象が違うと感じることがありますよね?試合会場のマットは白いので、レフ板のように光を反射します。広いスペースで強いライトが当たったときの顔映りをマットの上で実際に見ていただき、修正を重ねます。キラキラ光るスワロフスキーのクリスタルがちりばめられた衣裳を着ると、印象がまた変わります。衣裳負けしないように、濃いめにメイクすることもあります。

 5人のチームで競う団体戦では、それぞれ個性のある顔立ちを五つ子のようにそろえて同調させます。目の位置や幅などを考慮し、一人ひとりのアイラインやアイカラーの幅を調整して統一感のあるメイクに仕上げます。選手のメイクのクセもチェックして、選手自身の手で再現できるように指導します。

――リオデジャネイロオリンピックではどのようなメイクを提案されたのでしょう?

ポーラ社員の頃の2017年3月、美容コーチとして選手のメイク指導を担当する田中琴乃さん=ポーラ提供

田中オリンピックに向けた4年間でチームが熟成してきたので、ローズ系のチークで大人びた表情をつくりました。アイメイクとヘアジェルには、メダル獲得の願いを込めてゴールドのラメをあしらいました。リップは日本国旗をイメージした発色のいいジャパニーズ・レッドです。

日の丸の色をそのまま再現しても全体のバランスがとれません。研究室で50種類近くにのぼる赤を用意してもらい、候補を絞り込みました。最後にメイク検討会を体育館で開き、新体操強化本部長の山崎浩子先生に見ていただきました。山崎先生とは色の細かなニュアンスの違いまでいつもやりとりしています。最終的にはゴールドのラメが引き立つように、日の丸よりややダークな赤を採用しました。

――田中さんは選手時代、メイクの意義をどのように感じていましたか?

田中新体操とメイクは切っても切れない大切な関係があります。フェアリー ジャパンは2010年、練習拠点をロシアに移しました。その頃、日本ではすっぴんで練習するのが当たり前。汗をかくし、アスリートがメイクをするなんてという風潮がありました。でも、ロシア人コーチの第一声は「どうしてメイクをしていないの?」。「マットに乗ったらあなたたちは女優なのよ。360度どこからみられているか分からないと思いなさい」と常にいわれ、私生活でも美しくしていなさいと教わりました。

 リップは私にとってお守りのような存在でした。選手人生を振り返って一番後悔している瞬間は、北京オリンピックで演技を終えたとき。日本はフープ&クラブのミスで決勝進出を逃しました。でも、私は頭が真っ白になって演技中のことを覚えていないんです。どれだけ練習を繰り返しても、試合で足が震えるくらい緊張することがある。ベストを出すためには、不安や緊張、恐れをどこかのタイミングで消し去ってマットに乗らなきゃいけないと気付きました。

2012年のロンドンオリンピックに新体操団体日本代表のキャプテンとして出場した田中琴乃さん=プラミン提供

 団体戦では、試合前のメイク直しが自分の世界に入れる唯一の時間。コンパクトの鏡に映る自分を見ながらリップを塗り、心を落ち着かせました。メイクの仮面をかぶった気持ちで舞台に立つようになりました。

 4年後のロンドンオリンピックでは、リップを塗りながら「いける」という力強い気持ちになれました。キャプテンとして緊張しているメンバーの背中をたたき、舞台に足を踏み出しました。7位入賞を果たし、悔いなく競技の第一線を離れることができました。

 今も「お守りリップ」といっています。リオデジャネイロオリンピックでは、大会前にスポーツ振興の神様として有名な東京・江東区の亀戸香取神社で祈禱してもらったリップを、選手に渡して応援しました。

――新体操の支援を通じ、社内外の反響はいかがですか?

2018年の世界新体操選手権大会(ブルガリア)の団体種目別フープで銀メダルを獲得し、ポーラ本社を凱旋訪問したフェアリー ジャパン POLAを迎える社員たち=ポーラ提供

毎年、世界選手権大会が終わると、選手たちが東京・品川区にある本社に凱旋訪問します。2017年に団体総合で42年振りのメダルとなる銅メダルを獲得するなど最近の活躍ぶりに、出迎える社員の人数が目に見えて多くなりました。「おめでとう」「お疲れ様でした」という声を届けたい社員が増えてきたのだと思います。

 また、新体操メイクの体験イベントを各地で催しています。体験イベントに参加したお客様から使用したアイテムの問い合わせをいただくなど、新体操が注目を集めるようになってきた手応えを実感しています。こうしたお客様の反響から、協力してもらった販売員の方々も新体操を身近に感じるようになっています。

――2020年のオリンピックは東京が舞台です。目標や期待されていることは?

2018年の世界新体操選手権大会(ブルガリア・ソフィア)の閉会式後、記念撮影するフェアリー ジャパン POLAの選手たち=日本体操協会提供

東京オリンピックのメイクパターンの開発に向け、わくわくする気持ちでいっぱいです。「JAPAN」「TOKYO」を感じられるようなメイク品が開発できたらうれしいです。でも、試合本番を迎えたらメイクより演技が気になって、ハラハラしながら見守っているでしょうね。

田中選手たちが積み重ねてきた練習の成果を十二分に発揮できるように、美容コーチとともに考え抜いたメイクを晴れの舞台で多くの方々に見ていただくことが一番のやりがいです。また、フェアリー ジャパンの強みは協調性。技術面ではトップ3の国との差を縮め、メダルの色にもこだわって狙える位置にきていると思います。私は「行けー!」と声援をおくるタイプなのでしっかり応援します。

POLA公式サイト フェアリー ジャパン POLAページ

株式会社ポーラ 美容コーチ 桝浩史さん

株式会社ポーラ
美容コーチ
桝浩史さん

フェアリー ジャパン POLA 元キャプテン 田中琴乃さん

フェアリー ジャパン POLA
元キャプテン
田中琴乃さん

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