現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. ロイター芸能ニュース
  5. 記事

ヒット作品待つ映画各社、3D作品制作対応には慎重な姿勢

2010年5月20日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 [東京 20日 ロイター] 今期は減益見込みの映画各社(松竹<9601.T>、東宝<9602.T>、東映<9605.T>)は、ヒット作を待って収益を少しでも上向かせたい状況だ。

 大型作品の登場で一変する収益構造の各社にとって、「アバター」で一気に脚光を浴びた3D(3次元立体)作品が起爆剤として期待されるものの、この制作に関して現時点では慎重な姿勢となっている。

 映画各社は収益見通しを固めに出す傾向があるが、公開予定の作品の興行成績が事前にはっきりと予測できない構造問題が大きく影響している。過去にヒットしたシリーズ作品が配給ラインアップの中心で無い場合は一層その傾向が鮮明になる。2011年2月期の連結営業利益が170億円(前年比11.3%減)になるとの見通しを公表した東宝<9602.T>は、予想が保守的とした上で「主力の映画事業は初めての作品や久々の作品が多く読みにくい」(浦井敏之常務)としている。同社は09年2月期に、ドル箱として位置づけられる宮崎アニメ作品の「崖の上のポニョ」が貢献し収益を伸ばしたが、前期はその反動もあって減益を余儀なくされた。

 11年3月期の連結営業利益予想を61億円(同29%減)とした東映<9605.T>も「固めの数字。あくまでも作品次第ということになる」(安田健二執行役員)という。ただ、同社の場合、現時点では配給スケジュールが未定ながら、今期中の配給が有望な「相棒」シリーズの新作を控えている。前作では興行収入が45億円とヒット。当然のことながら新作への期待も大きく、期初予想には織り込んでいないため、「相棒」が大ヒットすれば、収益を押し上げる要因となる。

 松竹<9601.T>も11年2月期は、演劇事業の中心である歌舞伎座が4月の興行終了後に建て替え工事に入り、その影響で連結営業利益は30億円(前年比13.1%減)にとどまる見通し。前期は米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」効果があった映画事業では、大ヒットコミックを原作とした「BECK」など期待作品がどれだけ興行成績を伸ばすかにかかってくる。

 こうした状況下、制作されれば話題となりそうなのが3D作品だ。昨年12月に公開された3D映像による米国映画「アバター」が世界興行収入記録を更新。その一方で、3Dテレビの販売合戦が先行き熱を帯びそうで、国内映画業界においても3D作品への取り組み方が注目されている。洋画に勢いが感じられなかった中で「アバター」は前期の東宝の収益に貢献した。

 ただ、3D作品については、自社制作に関して各社とも慎重な構え。シネマコンプレックスで3D対応へ投資している東宝では「邦画作品では今のところ考えていない。3Dは制作コストがかかる。利益が大きく出る(と見込める)なら取り組む」(浦井常務)という。松竹の油谷昇取締役は「今年は『3D元年』と言えるが、実際に制作するとなると、それにふさわしい作品、よほどのソフトがないと難しい。たとえば(「男はつらいよ」シリーズの)寅さんが3Dで出てきて面白いだろうか」とした上で「表現が根本的に違う3Dは安価に劇場の楽しみが提供できるという意味で、スポーツのほか、シネマ歌舞伎などが面白いかもしれない」と話していた。

 一方、東映は「アバター」がヒットする以前から3D作品を制作していた。過去には「仮面ライダー」シリーズで3Dと既存映像を並行して上映させた経緯があるが「3Dの方が客が入ったかと言えばそうではなかった」(安田執行役員)という。同社は今期に「仮面ライダー」と、もう1本の計2作品を3D映像で制作するほか、ビデオで2D映画を3D加工することを目的とした研究室を設置するなど「試みは続けていく」(安田執行役員)としている。

(ロイター日本語ニュース  水野 文也記者)

ロイタージャパン ロゴ
ロイタージャパン

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介