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〈映画大好き!〉逆転の発想で奇想の迷宮 「Dr.パルナサスの鏡」ギリアム監督

2010年1月29日

写真:テリー・ギリアム監督=東京都内拡大テリー・ギリアム監督=東京都内

写真:「Dr.パルナサスの鏡」から、トニー(左、ヒース・レジャー)と座長の娘(リリー・コール)拡大「Dr.パルナサスの鏡」から、トニー(左、ヒース・レジャー)と座長の娘(リリー・コール)

 鬼才テリー・ギリアム監督の新作「Dr.パルナサスの鏡」が公開中だ。主演のヒース・レジャーが撮影途中で急死するという危機を、ジョニー・デップら豪華な代役3人を立てて乗り越え、物語の迷宮的世界をより魅力的に変えてみせた。逆転の発想が生んだ奇跡。「自分にとって唯一無二の作品になった」とギリアムは語る。

 現代のロンドンに、巨大な見せ物小屋を引いた馬車が出現する。座長パルナサス博士の魔法の鏡をくぐると、自分の欲望を映した幻想世界を体験できるという。一座に拾われた記憶喪失の青年トニーは、詐欺師さながらに客を集め、客と一緒に鏡の向こうに入り込むが……。

 トニー役のレジャーは、幻想世界のシーンの撮影を残して亡くなった。「製作中止しかないと思ったが、周りはみな、ヒースのために完成させようと言う。トニーが鏡に入るたびに別人に変身する、というアイデアを思いつき、これなら面白くなりそうだと感じた」とギリアム。

 デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの出演を取り付け、撮影を再開。代役3人は、ギャラをレジャーの遺児に贈ったという。

 池に浮かぶ巨大ハイヒール、いくつもの顔で出来た気球、天へ突き抜け林立するハシゴ……。CGも使って作り上げた幻想世界は、ギリアムらしい毒とユーモアがあふれる奇想の迷宮だ。「ツルツルしてきれいなCGじゃ面白くない。ちょっとゆがんで汚れた、子供が紙や粘土で作ったような世界にした」

 パルナサスは、現実に打ちのめされボロボロになっても夢を追う。その姿は、映画会社との衝突などのトラブルにめげず、奔放な映画作りを続けるギリアムに重なる。

 「現実は、いつも限界を押しつけ、夢を滅ぼそうとする。それでも夢を手放したくないから力の限りあがく。楽な道は『ギブアップ』だ。でもそれじゃあ人生、先に進めないだろう?」

 次作はドン・キホーテの物語。セットを襲った天災と主演俳優の病気で一度は頓挫したが、再び大きな夢に挑む。

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