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奇抜な発想、異色ホラー生む 「渇き」のパク・チャヌク監督

2010年3月14日

写真:パク・チャヌク監督拡大パク・チャヌク監督

 昨年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した韓国のパク・チャヌク監督の新作「渇き」が公開されている。信仰心あつい神父が新薬開発の実験によって吸血鬼になる異色ホラー。血も凍るバイオレンスと黒い笑いを当たり前のように絡めながら、人間の欲望に切り込んだ。

 吸血鬼映画で神父といえば、十字架を手にバンパイア狩りの先頭に立つ役どころ。「もしも敬虔(けいけん)な神父が望まぬ形で吸血鬼になったら、これ以上の苦痛はないのでは」。こんな奇抜な発想が、見たことのないホラーを生んだ。

 「子供の頃に通った教会で、イエスの血だと言ってワインを飲むのを見ていたせいか、僕の中では神父と吸血鬼が自然に結びついた」と監督。エミール・ゾラの小説「テレーズ・ラカン」をヒントに、モンスターと化した神父と、抑圧された人妻の道ならぬ恋愛劇に仕立てた。

 「男は自分の欲望を否定しようと苦悩する。それとは対照的に、女はエゴの魔物と化していく。男の隠れた自我が女ともとれるし、同じ血が循環する2人は実はひとつだという見方もできる。常識や道徳を超えた人間の存在を描けるのが芸術のだいご味です」

 心優しき聖人吸血鬼役は、パク監督の「JSA」「復讐者に憐れみを」にも主演したソン・ガンホ。かれんで邪悪な人妻は、「難役だからこそフレッシュな才能を」と若手女優キム・オクビンを抜擢(ばってき)した。

 「チャン・ドンゴンやウォンビンのような美形吸血鬼では、ヒロインがかすんでしまうから“美女と野獣”コンビにした。切迫した状況と笑いを共存できたのは、ソン・ガンホの演技力のおかげです」(深津純子)

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