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ジェロづくし出雲崎、喜びの日本海 料理・CD費補助…

2008年12月31日

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写真町の玄関口では、ジェロがお出迎えする=新潟県出雲崎町石井町写真出雲崎で開かれた震災復興イベントで熱唱するジェロ=8月10日、新潟県出雲崎町尼瀬

 ♪あなた 追って 出雲崎

 ♪悲しみの日本海

 今年、新潟県出雲崎町では町内のあちこちからこの歌が流れてきた。そして、大みそか恒例のNHK紅白歌合戦を前に町が再び盛り上がりを見せている。米国出身の演歌歌手ジェロ(27)。デビュー曲「海雪」の舞台となったことで、町民たちの間でこの曲がすっかり定着。海雪だけのカラオケ大会が開かれたほか、ジェロお墨付きの料理メニューも登場した。地元の小学生たちと異色の演歌歌手との交流も始まった。

 国道352号で町役場のある丘を超えると、ジェロが「悲しみの日本海」と歌った海が目の前に開ける。主力産業の漁業、夏の観光でも、海が町の最大の財産だ。冬は荒れることが多い海も、夏は穏やか。今夏、護岸に描かれたジェロの似顔絵が、海水浴客を出迎えた。

 約5千人の日本海沿いの町はジェロブームにわいた。同町は「良寛さんの生誕地」として知られ、良寛にあやかった和菓子が人気。だが、今年は海雪にちなんだ料理も現れた。海岸沿いの民宿「たまきや」の料理長、中川正和さん(30)が考案した「海雪」。コース料理の一品で、タイの切り身が入った汁に卵白が海の波のように浮かぶ。「本人に快諾してもらった公認料理」で、評判は上々という。

 町内にあるスナックでは、「ひところは一日十数回、海雪ばかり流れていた」。町議会が海雪のCD、カセット購入費として500円の補助を決めた結果、700世帯以上が購入した。

 6月には、町が海雪だけを歌うカラオケ大会を開催したところ、町民15人が参加した。優勝した三富信芳さん(61)は仲間とカラオケ同好会を結成するほどの演歌好き。地元が歌われた海雪を放っておくわけもなく、カセットテープを買って歌い込んだ。経営する理容店内にマイクを置き、客がいない時に練習。鏡を見ながら、ポーズや表情を研究する熱の入れようで、「この一年、この歌ばかり歌っていた。いつも頭の中に海雪が流れている」。

 紅白出場が決まった11月末からは、JR出雲崎駅前で出場を祝うイルミネーションが点灯。本番当日も、町民がそれぞれの思いを胸に画面を見守るはずだ。

 演歌界に今年、彗星(すいせい)のように現れたジェロは米国ペンシルベニア州出身。海雪は30万枚のヒットとなり、デビューから1年足らずで紅白出場を決めた。

 ジェロは、日本人の祖母の影響で演歌歌手を目指し03年に来日した。英会話教師などをしながら各地のカラオケ大会に出場し、レコード会社の目にとまった。2月にデビューすると、CD、カセットの売り上げは急上昇。携帯電話、パソコンのダウンロードは70万件にのぼった。所属事務所は「Jポップでも10万枚でヒットの時代で異例のヒット。演歌がダウンロードされることはほとんどなく、その意味でもパイオニアになった」という。

 出雲崎町とは縁もゆかりもなかった。たまたまデビュー曲の舞台となったことから、今年だけで3回訪れた。

 そんなジェロとの交流が、地元の子どもたちの心に深く刻まれている。

 出雲崎小学校ではPTAの発案で、6年生41人が応援DVDを作成した。合唱や物まね、手紙の朗読などを収録し、8月、ジェロに手渡した。荒木宏仁くん(12)は「お父さんと一緒に家でたくさん練習した。またジェロさんに会えたら、出雲崎を有名にしてくれてありがとうと伝えたい」と目を輝かせた。

 町は先月30日、ジェロの紅白出場を祝う会を開いた。ジェロは、ビデオレターで登場。「町民のみなさん、デビュー以来、すごく応援してくださって心から感謝しています。またお会いできるのを楽しみにしています」

 来年1月にセカンドシングルの発売が予定されている。しかし、所属事務所は「『海雪』は本人の代表曲。本人の心の中で出雲崎は切っても切れないものになっている。また、ぜひともうかがいたい」と話している。(曽田幹東)

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