2009年12月7日
現代音楽に積極的に取り組むピアニストの朝川万里が11日、東京で「ピアノが奏でる20世紀の音」と題し、様々な現代作曲家の諸相に迫るリサイタルを開く。メーンは、この日101歳を迎えるエリオット・カーターのピアノソナタ。「音楽業界にはびこるあらゆる商業主義に背を向け、人間の感性を信じ続けた巨匠の歩みを多くの人に知ってもらいたい」と語る。
朝川は12歳でニューヨークに移り住み、16歳でジュリアード音楽院に入学。のちにイタリアでも学んだ。プロコフィエフに取り組むようになってから、アメリカ現代音楽の作曲家を調べ始め、エリオット・カーターに行き着いた。
コープランド、ガーシュイン、バーバー……。ジャズを含む多彩なスタイルとの融合のなかで個性を輝かせるのでなく、カーターは自らの作風で、思いを織り上げようと苦闘した。
「社会に流されず、音楽の力を信じて作品に結晶させる。こういうアメリカもあったと気づかせてくれた」。彼の存命中にその気概を広め、人生の歩みに寄り添いたいと思っている。
ほかにシェーンベルク、ベリオ、一柳慧の作品を採りあげる。午後7時、東京・荻窪の杉並公会堂小ホール。3500円、学生3千円。電話03・5754・3102(ソナーレ・アートオフィス)。