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京舞井上流 新たな形

2009年11月15日

 京舞(きょうまい)井上流の井上八千代が、能狂言と共演した新たな京舞を試みている。1月に京都・南座で初演された「邯鄲(かんたん)」だ。来年1月30日には東京でも明治座の公演「能・狂言・京舞の会」で披露される。八千代は「エンターテインメント性の高い、新曲による京舞として再構築したい」と話す。

 京舞と能狂言の共演舞台としては、「邯鄲」は「葵上」に続いて2作目。京舞からは物語、能狂言からは動きのある華やかさ、といったそれぞれ普段は目立たない要素をあぶり出したいという。

 今回、八千代の父で観世流シテ方能楽師の片山九郎右衛門が監修し、弟の能楽師片山清司が作・演出を手がける。

 「男性による能の骨太な構成には太刀打ちできない。でも、能の戯曲的な面を舞に引きつけて考えたい。京舞には女性的な曲線の美しさがある。女性のやさしさと芯の強さも表現したい」と八千代。

 「邯鄲」は、栄耀(えいよう)栄華のはかなさを説く内容だ。高僧に教えをこいにゆく青年・廬生(ろせい)が趙(ちょう)の都・邯鄲に立ち寄り、仙人に出会う。そこで仮眠して輝かしい人生をおくる夢を見るが、目が覚めると、あっという間のことだった。

 八千代が廬生を、野村萬斎が仙人を演じる。音曲では能の地謡、長唄、囃子(はやし)が融合。井上流を学ぶ京都・祇園甲部の芸妓(げいこ)連も出演して花を添える。

 初演時に反省点があると八千代は言う。「見た目がちょっと男の子のようになってしまった。今回はそれを修正して、男性の思いとは違うものを表現できればと、目下、苦しんでいる」

 八千代は京舞と能楽両方にかかわる京都の片山家出身。幼少時に能「邯鄲」の子方として能舞台を踏んだことがある。「よくできた能で、このテーマで違った作品をつくりたいと思い続けていた」

 だが、主に陰性な地歌を地とし、厳格な所作が伝統の京舞井上流の形が崩れないか。「私も当然、『鉄輪(かなわ)』や『珠取海女(たまとりあま)』のような陰な古典作品が好きだが、京舞の可能性も伝えたい」

 公演は正午からと午後4時半からの2回。他の演目は清司らによる半能「船弁慶」、萬斎らによる狂言「鈍太郎」。出演はほかに観世喜正、味方玄、宝生欣哉、藤田六郎兵衛ら。6千〜1万2千円。前売りは今月17日から。電話03・3660・3900(明治座)。(米原範彦)

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