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「怠惰」みつめた三浦大輔の新作舞台 松尾スズキら出演

2010年5月7日

写真拡大作・演出の三浦大輔(左)と出演の松尾スズキ=東京・新宿のけいこ場で

 劇団「ポツドール」を率い、性や人間の醜さなどの赤裸々な表現で注目されている三浦大輔(34)が、パルコ・プロデュースで新作を手掛けた。東京・渋谷のパルコ劇場で7日開幕の「裏切りの街」(三浦作・演出)だ。「怠惰」を凝視し、これまでとは少し違う舞台になりそうだ。出演は秋山菜津子、田中圭ら。三浦が「影響を受けた」という松尾スズキも俳優として参加している。

 裏風俗店に集まる男女の乱交を定点カメラで記録したような岸田戯曲賞受賞作「愛の渦」(2005年初演)をはじめ、三浦は、閉塞(へい・そく)した世界で暴発する性や暴力を、細密に描く舞台を作ってきた。

 「性表現は人を描くのに不可欠。性欲は生きることの原動力だと思うので」と言う。

 新作でも性は重要なモチーフではあるが、主軸は「怠けることを共有する男女」だ。「一緒にいると楽だというだけの二人から、新しい人間関係のあり方が見えてくるのではないか」と考えている。

 主婦の智子(秋山)は携帯サイトでフリーターの裕一(田中)と知り合い、ホテルに行く関係を重ねる。

 「これまでの作品のように観客の嫌悪感をかき立てて、それで引きつけるような露悪的な作り方はやめた。何かを決断することから逃げている二人の、あいまいで中ぶらりんな状況を徹底的に繊細に提示しようと思います」

 「物語を否定するわけではないですが」と前置きしたうえで、「自分は演劇で物語ることには関心がない。人間の本質を、リアルタイムで、空気や雰囲気を利用して描くのが舞台表現の意味ではないかと考えています。戯曲を信じていない、演出寄りの人間なのでしょうね」とも語る。

 松尾が演じるのは、智子の夫役。劇作、演出、小説執筆など多彩な活動が続くが、俳優としてだけ舞台に立つのは、06年の「労働者M」以来になる。「作・演出ではないので気楽な部分もありますが、最終的に矢面に立つのは役者。やはり責任はとらされますね」と笑いながら話す。

 「演劇が、より言葉に支配されている時代だけれど、しゃべっている内容は二の次で、そこにいる人間の存在で勝負する表現を大事に考えています。演劇に肉体で雑味を加える作業をしてゆきたい」

 東京公演は30日まで。7350円、学生5千円。電話03・3477・5858(劇場)。6月5、6日に大阪、8日に福岡でも上演する。(山口宏子)

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