現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 舞台
  4. 演劇
  5. 記事

鋭さ磨き、大人に脱皮 「ムサシ」で小次郎演じる勝地涼

2010年5月7日

写真拡大  

 ほおがぐっとそげ、面立ちに鋭さが増した。けいこ場で、演出家の蜷川幸雄に鍛えられ、それに応えた証しだ。

 蜷川演出の舞台は4本目。これまでは少年ぽさのある繊細な役どころを演じてきたが、「今回は、そういうのはいらないと言われました。大人の役への挑戦で、けいこ場では集中攻撃を受けました」。

 井上ひさしの戯曲「ムサシ」は、巌流島の決闘で佐々木小次郎が宮本武蔵に敗れるところから始まる。命をとりとめた小次郎は復讐(ふくしゅう)の思いを抱き、6年後、再び武蔵の前に現れる。

 「ちやほやされていた人が突然どん底に落ち、2200日もの間、武蔵に勝つことだけを考えて生きてきた。ある意味でテロリストのような気持ちで登場する小次郎を表現しなければいけないと思っています」

 藤原竜也の武蔵、小栗旬の小次郎で上演された昨年の初演は「一観客として、とてもおもしろく見た」と言う。

 「恨みの連鎖を断ち切るといった深いテーマを、笑いを織り交ぜながら、わかりやすい言葉で伝えてくれて、すっと胸に入ってきた。見終わって家に帰ってから、いろいろなことを考えた作品です」

 それが今度は演じる側に。

 大きな重圧を感じたが、藤原に「僕らも新しい舞台を作るつもりだ」と言われ、気持ちを切り替えることができた。

 10代の半ばで初めて見た舞台が「身毒丸」。主演していた藤原にあこがれた。四つ年上の藤原に丁寧に話しかけたら、「敬語禁止」を言い渡された。

 「ライバルの役なんだから、対等にしようって。けいこでもとても上手にこちらの感情に揺さぶりをかけてくる。こういう人の相手役を演じることができて、すごくうれしいです」

 開幕は5日、ロンドンで。さいたま公演を経て、7月にはニューヨークのリンカーンセンター・フェスティバルに開幕作品として招かれている。

 「(共演の)吉田鋼太郎さんに、こう言われたんです。これは、亡くなった井上先生が武蔵と小次郎に託した遺言のような作品だと思うよ、と。直接お会いすることができなかったのが本当に残念ですが、先生が書かれた世界に共通するテーマを、しっかり伝えて来なければ。そう思っています」

(文・山口宏子 写真・橋本弦)

    ◇

 かつぢ・りょう 1986年生まれ。2000年デビュー。主な出演作にドラマ「永遠の仔」「篤姫」、映画「亡国のイージス」など。「ムサシ」は15日〜6月10日、彩の国さいたま芸術劇場で。電話03・3490・4949(ホリプロ)。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内