【総合商社・エアライン・化粧品に内定】 内定者インタビュー カギは43人のOB・OG訪問と思いを言葉にする力

<第1回> インタビュー 篠原真喜子

 総合商社、CA、化粧品など計4社から内定をいただいた佐口さん。しかし、就活当初は、やりたいことが見つからないし、何に興味があるかわからない。そんな自分に焦ったそうです。夢を見つけ、複数の内定を得るまでにしたことは? 転機となった出来事や重ねてきた努力についてお聞きしました。

佐口日花莉さん
プロフィル 佐口日花莉さん

経営学部経営学科。受験業種は商社、航空、化粧品、不動産、メーカー、人材サービス。ES提出数16社、面接まで進んだ会社数14社、内定先は双日ほか航空会社など計4社。

内定までの道のり

大学3年7月
やりたいことがわからないけど、ひとまず就活開始
大学3年9月
最初に目指したのはエアライン。スクールに通い始めTOEIC対策もスタート
大学3年1月
「より難関を目指したい!」という思いから、商社にひかれ始める。CA受験も続けながら、第1志望を商社にチェンジ
大学3年3月
CAのES提出。しかし、商社のESに苦戦
大学4年4月
CA、商社の説明会ラッシュ。併願企業面接などで毎日バタバタ
大学4年5月
ほぼ毎日、商社のOB・OG訪問をしながら筆記試験対策
大学4年6月
ついに、双日から内定が!

ESに書くネタづくり!

 ――就活当初は「やりたいことがわからない」と悩んでいましたよね?

 そうなんです。3年の6、7月頃といえば周囲は就活で動き出す時期。なのに、私はやりたいこともなく、何に興味があるのかもわからなくて、どうしよう……と。ESに書けるネタもなく、大学のキャリアセンターの方に相談したら「あなたには、ちょっと泥臭いくらいの経験が合うかも」と、愛媛県の過疎集落の町興しを手伝うインターンを勧められたんです。それで現地に行ってみると、なんと25年間使われていない、エアコンもない空き家で1カ月間一人暮らしをするハメに……。最終的に、これは就活のネタになってよかったのですが、かなり過酷で、心が折れそうでした(笑)。

 ――すごい経験です! 大学3年の夏休みに1カ月間愛媛ということは、就活の方は?

 毎日、現地での生活に追われていたので、就活は一時ストップという感じでした。でも、その少し前に先輩に勧められて新聞の電子版を読み始めていたので、「これなら愛媛にいても読める」と思い、時間を見つけて読んでいました。初めはよくわからなかったニュースの記事も、ちょっとずつ理解できるようになったり、あとは、新聞に載っている一般の人の何気ない言葉に励まされたり。寂しさはだいぶ紛れましたね。

 ――その後、やりたいことは見つかりましたか?

 愛媛県で私自身が全く新しい体験をしたこと、新聞を読み始めたことで、かなり視野が広がったと思います。ちょうどこの頃、CA内定者に話を聞く機会があったのですが、その先輩がとても素敵な方で。「CAを目指そう!」という気持ちになったんです。

愛媛県で町興しインターンに参加。海の家でかき氷販売も※画像は反転。ご本人提供
愛媛県で町興しインターンに参加。海の家でかき氷販売も※画像は反転。ご本人提供

いい表現を自分のものに

 ――CA! 人気の職業ですよね。そこからは、就活は順調に進みましたか?

 それが……。エアラインスクールに通い始めたのですが、ESも面接もボロボロで。あまりにもできない自分にショックを受けました。そこで、まずはエアライン業界について知ろうと、朝デジを活用してエアライン関連のニュースを集めることから始めました。「MYキーワード」という便利な機能があるのですが「航空」のフォルダーをつくり「航空」「空港」「エアライン」「日本航空」「全日空」などのキーワードを登録しました。キーワードさえ登録しておけば、そのワードを含む記事だけが自動的に集まるので、本当に便利。業界・企業研究は、かなり効率的にできたと思います。実はこれ、全部CAに内定した先輩の受け売りなんですけど(笑)。

 ――教えてくださった先輩に感謝ですね。

 はい、ほんとに。でも、これは多くの就活生がしているので、基本の基です。個人的に一番役立ったと思うのは、別の使い方なんです。私は「航空」など業界のフォルダーのほかに「言葉」フォルダーをつくっていたんです。

 ――「言葉」フォルダーですか?

 ESを書いたり、面接の練習をしたりしていると、自分の言いたいこと、伝えたいことがうまく言葉にできないことが多かったんです。ボキャブラリーが足りなさ過ぎて。「おもてなし」や「心に響くサービス」など、どこかで聞いたような表現ばかりになってしまうので、伝えたいと思っていた「チームワーク」「自然体でいること」をキーワードに登録。集まった記事を読んでいき「チームワーク」「自然体」を言い換える言葉を探しました。例えば「チームワーク」を表す言葉として「最後に必要なのは一体感」「共通の認識を持ち、心を一つにする」という表現が見つかったり、「自然体」という言葉を「自分を大切にして豊かに生きる」「そのままが素晴らしい」と言い換えたり。新聞を類語辞典のように使うイメージです。

 ――面白いですね。表現の幅が広がりますね。

 「そうか、こんな言い方もあるんだ。記者さん、さすが!」って思いますよね。新聞は表現の宝庫で、自分では考えつかないような言葉にたくさん出あえるところが、私には一番の魅力でした。

 ――「チームワーク」はわかるけれど「自然体」という言葉は、どのような場面で使ったのですか?

 CAのESの「どんなCAになりたいか」という質問のところで「自然体でいられる空間を提供したい」と書いたんです。実は、私の家は葬儀店を営んでいて、ワクワクしている人に満足してもらうよりも、マイナスな感情を抱いている人に寄り添うことのほうが難しいと感じていたんです。そんなときに「自然体」という言葉が浮かんで。でも、ちゃんと理解して使わないと、面接で突っ込まれたときに答えられないんですよね。実際、CAの最終面接でこの言葉について聞かれたのですが、下準備しておいたおかげでバッチリでした。よく調べておいて、ほんとによかったです。

「チームワーク」の言い換え表現を見つけた「MYキーワード」画面と記事※ご本人提供
「チームワーク」の言い換え表現を見つけた「MYキーワード」画面と記事※ご本人提供
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 ――面接では、ESに書いてある内容について深く掘り下げられることが多いですよね。特に抽象的な表現があると、面接担当者は意識的にそこを深掘りすることがあるんです。この学生はどういう意味でこの言葉を使っているのか、何が言いたいのか、と。そういうときに、しどろもどろにならずに、自分の言葉で伝えられることが大事なんですよね。

第1志望をCAから商社に

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 ――佐口さんは、途中で志望業界が変わっていきましたよね?

 はい。すでに3年の1月だったのですが、志が高いCA受験仲間と切磋琢磨(せっさたくま)するなかで、私のチャレンジ精神に火がついたのか、商社にひかれるようになったんです。商社の事務職がかなり狭き門なことは知っていましたが、だからこそ受けてみたい! と。ここ数年、CAの採用数は大手2社だけで1000名以上もあり、それは受験者には希望の一つでしたが、商社のように少人数採用なら、一人ひとりをちゃんと見て採用してもらえるのでは、という思いもありました。ちょうどこの頃にCAの方にOG訪問しました。もちろん家庭と両立しながら活躍されている方も大勢いたのですが、それでも家を空けることが多いCAより、商社のほうが子育てとの両立はしやすいのではと感じたことも理由でした。とはいえ、私が本当に難関の商社に行けるんだろうか……と、正直かなり不安でした。

 ――入社後のキャリアについてじっくり考えたことで、職業選びの視点も変わってきたのでしょうか。とはいえ、時間がないなかで、どのように進めていったのですか?

 その後はとにかく必死でした。CAの仕事にももちろん魅力を感じていて、受験も続けていたので商社とCA同時並行で準備していきました。幸い、ES締め切りの時期がずれていたので、3年の3月頃はCAのESに追われ、それが終わったらすぐに商社のES。ESも、CAは早くから準備していたのですんなり書けたのですが、商社のESは全然書けなくて。3年の4月末から、怒濤(どとう)のOB・OG訪問を開始しました。

 ――その時期からOB・OG訪問ですか! どれくらいしましたか?

 全部で43人の方に会いました。1カ月ちょっとの期間だったので、ほぼ毎日ですね。私はとても緊張しやすい性格なので、初対面の方とうまく話せるか不安で、いつもお腹が痛くなって。あの当時はみるみる痩せていきました。SPI対策や説明会もあったので、本当にバタバタで。もっと、いろんなことを早くやっておけばよかったです。その頃は小さな手帳では予定が書ききれず、100均の大きなカレンダーに書き込んで持ち歩いていました。

選考日程やOB・OG訪問の予定が書かれたカレンダー
選考日程やOB・OG訪問の予定が書かれたカレンダー

 ――すごいですね。それだけOB・OG訪問をすると、色々な気づきがあったでしょう?

 事務職の女性だけではなく、総合職の男性にもお話を伺ったことで、会社の違いがわかりましたし、これまでの自分がしてきた経験が入社後どう生かせるのかも明確になりました。多くの社会人とお話しする中で「自分の考え+アドバイスを求める」形式で相談できるようになりました。当初は「どうしたらいいでしょう?」と質問を丸投げしていたのですが、それではだめですよね。そこが改善されたのは大きな成長だったと思います。実は、これはCAの最終選考でも役立ったんです。「先輩にアドバイスを求めるとき、どうやって行動する? 実際にやってみて」という質問があったのですが「自分はこう考えてこの行動をとったのですが、〇〇さんだったらどのように行動されますか? というように、主体的な聞き方でアドバイスを求めると思います」と答えると、高評価でお褒めの言葉をいただきました。

業界・企業研究用ノートの数々
業界・企業研究用ノートの数々

 ――そして6月、ついにその努力が実を結ぶときが来るわけですね。

 はい。本当にうれしかったです。6月は上旬に航空2社の面接、中旬に商社の面接がありました。商社は基本的に即日連絡。最終面接の後、いてもたってもいられず、携帯を握りしめてカフェや大学をウロウロしていたら、ついに内定の連絡が! うれしくて、人目も気にせず泣いてしまいました。CAの内定もいただけましたが、やはり第1希望の商社が自分に合うと思い、そちらに決めました。私は、先輩や就活仲間、OB・OGの皆さんなど、多くの方の支えがあったからこそ、この結果を手にできたのだと思っています。後輩の皆さんにも、いろんな人を巻き込んで就活をしてほしいです。必ず、自分一人でやっていたのでは得られない気づきがあるはずです。人と会えば会うほど自己嫌悪に陥ることも、プレッシャーを感じることもありますが、それは必ず成長につながります。どうか自分の成長を実感しながら、全力で取り組んでほしいと思います。(構成 ライター・小元佳津江)

心に響いた記事、参考にしたい表現のある記事など、何でもスクラップ。携帯を見づらい面接の待ち時間も、これを見て最後の復習をしていた
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篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

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