Q.うまくいった面接で落ちました。何が理由でしょう?

<第30回> 文 篠原真喜子

 面接担当者の反応がとてもよく、自分も言いたいことを伝えられて、最後には褒められた。それなのに、落ちてしまった……。このような経験をしたことがある人は、多いのでは? 自分では手ごたえを感じていただけに、ショックですよね。先日会った学生は「最後には、入社後のアドバイスまでもらったのに落ちてしまい、人間不信になりそう」と、かなりショックを受けている様子でした。

うまくいった面接ほど……

 私の元にも日々、就活指導をしている学生から面接の報告があるのですが「すごくうまくいきました!」「言いたいことは全部言えました」と言われると、かすかな不安を感じます。それが的中することはけっこう多く、数日後に「落ちました」と、残念な報告が届くのです。なぜ「うまくいった!」と思う面接ほど落ちてしまうのでしょうか。私自身、採用面接を担当するようになって、その理由がよくわかるようになりました。

“自己満足”面接だった

 まず、一番多いケースはこれ。「言いたいことを伝えられた。アピールできた」と学生は満足しているけれど、自分の言いたいことを伝えただけで、面接担当者の聞きたいことに答えられていなかったパターンです。つまり、自己満足の面接だったわけです。面接は「会話」です。一方的に話すのではなく、面接担当者は何を知りたいのか、質問の裏にある意図は? と考え、言葉のキャッチボールをすることが大切です。

 次に、面接担当者が意図的に褒めているケースです。

油断させてホンネを引き出す

 私が、あるベテラン社員と一緒に採用面接を担当したときのことです。その社員は、緊張した面持ちで話す学生にリラックスしてもらうため、うなずき、あいづちを打ち、共感し、絶妙なタイミングで褒めるのです。すると、学生はみるみるうちにリラックスして、ホンネで語るようになります。そして、ホンネで語れば語るほど、準備不足が露呈する人もいて……。けれど、気持ちよく話している学生は、自分でそれに気づきません。面接担当者はニコニコしながら聞いてくれていますから、きっと「うまくいった。たくさん話せた」と思ったでしょうね。

 しかし、結果は……。一緒に面接をしていて「すごい技だな」と驚きました。聞くと、その社員は営業職で、何度も好成績を残しているとのこと。営業の現場で培われた能力が面接の場でも発揮されているのですね。

気持ちよく落ちていただく

 自社の面接を受けに来てくれている学生は、当然ながら好印象を持ってくれている人がほとんど。自社の商品を買ってくれるかもしれない、サービスを利用してくれるかもしれない大切なお客様です。ですから、企業イメージを悪くしないよう、これからもずっとファンでいてくれるように、よい印象を持たせて面接を終わらせるのです。

 面接中に「きっと落とすことになるだろう」と思ったときほど、時間をかけてゆっくりと話を聞き、満足感をもってもらって面接を終わらせます。これを企業戦略として面接担当者に徹底している会社も多いですよ。逆に「この学生は、合格!」と思えば(次の面接に向け期待を込めて)準備不足な点をあえて厳しく指摘したり、発言に一貫性がないところを追及したりすることもあります。そんなときに学生は「うまくいかなかった。厳しく突っ込まれた」と感じるけれど、結果は合格というケースが多いのは、そのためです。

 いかがでしたか? 面接終了後に感じる「うまくいった。ダメだった」の感覚と合否が必ずしも一致しない理由をわかっていただけたでしょうか。今週は、ついに就活が解禁されますね。合同説明会、ES、面接など忙しい日々が始まりますが、体調管理に気をつけて頑張ってくださいね!

篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

この記事をシェア