採用担当者が納得するような、具体的な事例が必要

<第9回> 文 ライター・小元佳津江
Frankpeters(GettyImages)
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 エアラインも、いよいよエントリーが開始されました。みなさん、ES(エントリーシート)の準備は順調に進んでいますか? 今回はESの書き方について「これだけは知っておいていただきたい」ということをお伝えします。

「臨機応変」な対応とは

 みなさんのESを読んでいると、頻繁に出てくる言葉があります。その一つが「臨機応変」。どうも「これを書けば受かるんでしょ?」という“正解ワード”として捉えられているようです。例えば「どんなCAになりたいか」という設問に対し「臨機応変な対応ができるCAになりたい」などが代表例。でも、臨機応変な対応とは、いったいどのようなものでしょうか? 具体的なイメージはありますか?

 学生たちにそのイメージを聞いてみると「お客様がこうやって腕をさすっていたら、寒いのかなと思って空調の温度を上げます」といった回答です。誰でもできるような対応ではCAは務まらず、ESや面接もパスすることはできません。臨機応変の意味、また、求められるCA像を表層的にしか理解していない証拠です。

普段からの実践を大切に

 内定した先輩の事例を紹介しましょう。Mさんは、上記の設問に対し、自身がテーマパークでアルバイトをしていたときの体験を基に、このように答えました。

 「障がいのあるお子さんがいらした際に、会社の決まりでは優先的に通すことになっていましたが、お母様のご様子から、待つことを訓練させたいということが伺えました。そこで、他のお客様と同様に順番を待っていただくことにしました。私は、そのお客様が何を求めているのかをきちんとくみ取り、その場その場で柔軟に対応できるようなCAになりたいと考えています」

 また、Sさんは、自身の以下のようなブライダル配膳アルバイト体験を例に挙げています。

 「新婦様の介添え係として働いていたときのことです。新婦様には式と披露宴が始まる前に、サンドイッチなどの軽食をお出ししましたが、緊張のため一口も召し上がらないまま進行していました。披露宴も半ばに差し掛かり、出された料理にも手をつけておられないご様子でした。そこで、通常はお出ししない一口サイズのサンドイッチをご用意したところ、やっと召し上がっていただけました。ご本人と、何より心配されていた新郎様からも喜んでいただけました」

 ここには、臨機応変という言葉はひと言も出てきませんが「これぞまさに、臨機応変な対応!」と、こちらが感じるに十分な内容が盛り込まれています。こうした事例は、求められるCA像をきちんと理解し、普段から実践を積んでいる人でなければ出てきません。ESの提出期限になって「何も書くことがない」と焦ったりしないよう、ぜひ、そのような実践を大切にしてください。

「企業理念に共感した」とは

 ほかに、ESでよく見かける言葉に「御社の企業理念に共感した」というものもあります。この言葉を入れただけで「すごくよいESが書けた」と思っている人が多いようなのですが、これも要注意! それだけでは、まったく“あなたらしさ”が伝わりませんよね。大切なのは「こういう学生だからこそ、うちの企業理念に共感してくれたんだ」と、採用担当者が納得するような、あなたらしさが伝わる具体的な事例が必要です。それを盛り込むのにも、やはり普段からの行動の蓄積です。

 学生の多くは、まず、こうしたことができていないようです。足りないと感じた人は、すぐにでも実践をしてください。また、できていても気づけない、気づけていても言葉にならないというケースもあります。次回以降は、気づく方法、言葉にする方法をお伝えしたいと思います。

古澤有可(エアラインスクール進化系「ストラッセ東京」主宰)
プロフィル 古澤有可(エアラインスクール進化系「ストラッセ東京」主宰)

1988年10月、エアラインを目指す女性の支援活動を開始。自身も超難関である欧州航空会社の客室乗務員となり、9年半、ドイツ語、英語を駆使して世界のお客様へ接客をする。2018年には、支援者一人では困難といわれるエアライン内定数延べ100名超え(120名)を達成。年間2000名以上に、内定の術を指南する。女性のキャリア支援のパイオニアとして、幅広く活動。ストラッセ東京 公式HP http://strasse-tokyo.com

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