採用担当者の目に留まるESにするための文章力アップ術

<第11回> 文 ライター・小元佳津江
Serjio74(GettyImages)
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 前回前々回に続き、今回もES対策をお届けします。総仕上げの今回は、採用担当者の目に留まるESにするための文章力アップ術です。

 みなさんのESを読んでいて感じる問題点の一つが、語彙(ごい)力の乏しさです。同じ言葉が何度も登場するため稚拙な印象となり、仮に内容がよくても魅力が伝わってきません。これは非常にもったいないことです。語彙力は急には身につきません。では、どうするか……。普段、私が講座で教えている一部を特別に公開しましょう。

 それは、新聞を活用することです。新聞は記者が練りに練った文章で構成されているため、よい表現の宝庫。しかも、デジタル版なら簡単に検索もできます。

言い換え表現や関連表現

 例えば、みなさんがよく使う「おもてなし」という言葉。「サービス」や「ホスピタリティー」のほかに、何か言い換え表現は思い浮かびますか? 「朝日新聞デジタル」で「おもてなし」と検索してみると、このような表現が出てきます。

・「粋な文化と洗練された感性、最上級のおもてなしを提供する花街は京都の文化そのもの」
・~商品を提示させることで対象者の一歩先を読む「おもてなし」をすることができる~
・「~お客様に寄り添い、共感する心を今後生かしていきたい」と話した。(「滋賀)高島屋でおもてなし研修 高島市職員」の記事中の一文)

 いかがですか? おもてなしの言い換え表現や関連表現はいくつもあるわけです。同時に、おもてなしについての理解も深まります。

順接と逆接の接続詞

 このような文章も、よくあります。「私は留学中に英語の勉強を頑張ったので、TOEICの点数も上がったので、とても自信がついたので……」と、「~ので」で延々とつながっていくものです。一文は短くすることが鉄則。長くなればなるほど、わかりにくくなるからです。

 「ので」の部分で文を切ると、前後の文は「だから」「よって」など、順接の接続詞でつなぐことができますが、順接の接続詞はなくても成立する場合が多いです。極力使わないほうが、文章がスッキリします。反対に「しかし」「ところが」など逆接の接続詞は、なくすと意味がわかりにくくなってしまいます。接続詞についても連続は避けたいものです。逆接の接続詞を新聞で見てみましょう。

・~母国に電話をするなど手を尽くしてきた。しかし、所在が分からなければ~
・~その後も積極的に進めるとしていた。ところが、19年度の競争入札では~
・~幼児教育の無償化も見直しは難しい。とはいえ、夏の参院選にあわせて衆院の解散総選挙を~

 いろいろありますから、バリエーションにも気を配りたいものです。

文末の表現も工夫が必要

 ほかに気になるのが文末です。以下は「学生時代に力を入れたこと」の一例です。

 私は英語力を上げるため、外国人のお客様が多い浅草のカフェでアルバイトをしました。かなり緊張しましたが、勇気を出して自分から話しかけるよう努力しました。すると徐々に慣れ、TOEICのスコアが250点も伸びました。このことから、勇気をもって行動すれば結果につながると学び、自信がつきました。

 このように「ました」という同じ文末が続くと、短調な印象になってしまいます。文末の表現も工夫が必要です。以下は「在住外国人250万人 やさしい日本語、社会のため」という新聞記事の冒頭になります。文末に注目してみてください。

 どうして、わざわざ難しい言葉を使っているのだろう。例えば、押印。「はんこを紙に押す」でまったく問題はない。交付や免除、分別、返納などもそうだ。役所の文書でよく見る言葉の多くは、もっと簡単に言える。

 実に多彩です。文末が異なるとリズム感が生まれ、それだけで読みやすくなることがわかります。これを参考に、先の文章を修正してみます。

 英語力アップのために、実地での勉強です。アルバイト先には、あえて外国人のお客様が多い浅草のカフェを選択。緊張しましたが、勇気を出して自分から話しかけるよう努力しました。すると徐々に慣れ、TOEICのスコアも250点アップを達成。勇気をもって行動すれば結果につながると学べたこの経験は、私の大きな自信となっています。

 文末を工夫するだけでも印象が変わるのではないでしょうか。語彙力や言葉の表現を学ぶことは、CAになってからも役に立つはずです。近年、特にエコノミークラスでは、以前に比べてお客様にお渡しできる備品が限られてきました。そのため、CAに、会話やお渡しするお手紙でお客様を魅了できるという資質も求められるようになっているのです。

 言葉や表現への研鑽(けんさん)は必要なことです。そのような意識をもちながら、ぜひ最高のESに仕上げていただけたらと思います。

古澤有可(エアラインスクール進化系「ストラッセ東京」主宰)
プロフィル 古澤有可(エアラインスクール進化系「ストラッセ東京」主宰)

1988年10月、エアラインを目指す女性の支援活動を開始。自身も超難関である欧州航空会社の客室乗務員となり、9年半、ドイツ語、英語を駆使して世界のお客様へ接客をする。2018年には、支援者一人では困難といわれるエアライン内定数延べ100名超え(120名)を達成。年間2000名以上に、内定の術を指南する。女性のキャリア支援のパイオニアとして、幅広く活動。ストラッセ東京 公式HP http://strasse-tokyo.com

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