今さら聞けない!? 参院選「基本のき」

<第30回> 文 木之本敬介
日本記者クラブでの党首討論会=2019年7月3日午後、東京都千代田区
日本記者クラブでの党首討論会=2019年7月3日午後、東京都千代田区

 参議院選挙が7月4日、公示されました。21日の投票日まで、各党は論戦を繰り広げ、街中に候補者の演説や投票を訴える声が響きます。ふだん政治に関心がない人も、社会について考える絶好の機会です。衆院との違いや参院選の仕組みなどの「基本のき」と、争点や意義をわかりやすく解説します。

そもそも参議院って?

 国会には衆議院と参議院があるのは知っていますね。衆院は定数465人で任期4年ですが、任期の途中で解散されることがほとんどです。参院より任期が短くて解散もあるため、国民の考えを反映しやすく、国の予算の決定や首相選びで両院の意見が違ったときには、衆院の意見を国会の意思とする「衆院の優越」が憲法に定められています。

 参院の定数は昨年の公職選挙法で6増えて248人。任期6年で、3年ごとに半数を選ぶ選挙が行われます。今回増えるのは半分の3で、選挙後の議席数は245になります。解散がない参院は、長期的視点で議論できるため「良識の府」「再考の府」とも呼ばれます。

 衆院選は誰を首相に選ぶかの「政権選択選挙」ともいわれますが、3年ごとに半数を選び直す参院選は政権の「中間テスト」の意味合いがあります。ただ過去には、参院選で大敗して首相が退陣したケースもありました。

選挙区と比例区

 衆院選でも参院選でも、みなさんは選挙区比例区に1票ずつ投票しますが、それぞれ仕組みが異なります。衆院選は、全国を289に分けて1人だけ当選する小選挙区と、全国を東北や近畿など11ブロックに分けた比例区の組み合わせで、「小選挙区比例代表並立制」と呼ばれます。

 これに対して参院選は、都道府県単位(「鳥取+島根」「徳島+高知」は合区=ごうく)の選挙区と全国一つの比例区の組み合わせです。選挙区の改選数は人口に応じて、最大が東京の6、次いで4(埼玉、神奈川、愛知、大阪)、3(北海道、千葉、兵庫、福岡)、2(茨城、静岡、京都、広島)と続き、1人区が32。計74議席を各候補者が争います。

 ちょっとややこしいのが、計50議席を各党が取り合う比例区です。各党が出した候補者名簿には順位が付いていません。みなさんは投票用紙に党名を書いても、候補者名を書いてもOK。まず政党名と候補者名の合計で各党の議席数を決め、次に個人名が多い順に当選者が決まる「非拘束名簿式比例代表制」という仕組みです。そこに今回から、各党の当選議席数の範囲内で、個人名の得票数と関係なく優先的に当選できる「特定枠」が導入されました。

 1人しか当選しない小選挙区は大きな政党に有利で、当選に結びつかない死票(しひょう、しにひょう)が多い制度です。一方、全国一選挙区の参院選の比例区は小さな政党でも当選者を出しやすい仕組み。違う制度にして、多様な人を国会に送ろうという考えの表れでもあります。

「安倍1強」の是非

 各党や各候補者が掲げる政策や争点はたくさんあります。一つでもいいので、自分の生活や将来に関わりそうなことを見つけて、主張を比べてみましょう。「朝日新聞デジタル」の特集コーナー「2019参院選」では、各党首の第一声や候補者のアンケート回答なども見ることができます。選挙区の候補者の主張は、家庭に配られる選挙公報のほか、新聞の地域面でも連日報じられます。選挙区、比例区で誰に、どの党に投票するか、考える材料がたくさんあります。これから約2週間、各党首や候補者の発言をチェックしてください。

 もう一つ、今回の参院選の最大のテーマとも言えるのが、「安倍1強」といわれる6年半の長期政権に対する評価です。首相や公明党は「政治の安定」の大切さを強調します。実際、賛否の分かれる重要法案を次々と成立させてきました。裏返すと、野党からの予算委員会開会要求を無視するなど強引な国会運営が目立ち、意味のある深い論戦が減ったといわれています。官僚による「忖度(そんたく)」がたびたび問題になり、財務省による公文書改ざんなどの不祥事を招きました。森友加計学園問題、統計不正問題などのたびに首相が語った「丁寧な説明」も実行されたとは言えません。

 言い換えると、「今の政治のままがいいのか、変えたいのか」。じっくり考えて、判断してみてください。

木之本敬介(朝日新聞社 就活コーディネーター)
プロフィル 木之本敬介(朝日新聞社 就活コーディネーター)

1986年入社。政治部記者、採用担当部長などを経て就職情報サイト「あさがくナビ」編集長。「朝日学生キャリア塾」を立ち上げて就活生の指導も。サイト「就活ニュースペーパーby朝日新聞」では就活に役立つ情報を日々発信中。大学などでの講義・講演多数。著書に「最強の業界・企業研究ナビ2017」(朝日新聞出版)がある。

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