変幻自在な英語の動詞を使いこなす

<第3回> 文 武田菜穂子
magann(Getty Images)
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 前回は、なぜTOEICで文法問題の比重が大きいのか、時代や場所が違っていても、文法が正確だからこそ伝わるというお話をしました。文法事項の中で「品詞の識別」がとくに重要であることも強調しました。また、英文法の頻出分野として、品詞の識別と並び重要な項目として「準動詞」(不定詞・動名詞・分詞)をあげたのですが、今回はこの準動詞をテーマにお話しします。

準動詞とは何か

 準動詞は動詞の形を変えたものですが、文中では「述語動詞」ではない働きを持っています。不定詞は「名詞」「形容詞」「副詞」として、動名詞はその名の通り名詞として、分詞は形容詞、副詞として機能します。

 さて、「The Asahi Shimbun Asia & Japan Watch(AJW)」(6月8日配信)に、ペットボトルの原料を植物由来のものに変える動きを紹介した記事(Suntory sets target of using only eco-friendly PET bottles)が掲載されています。

 この中に、次のような一文があります。

Osaka city authorities would continue to collect plastic bottles in neighborhoods where no agreement is reached.(大阪市当局は、合意に達しない場合でも近隣地域のペットボトルの回収を続けるであろう)

 continueの後ろにto collectがありますが、これはcontinueの目的語として、つまり名詞として使われていると説明できます。不定詞は「to+動詞の原形」なのでtoが目印となりますから、すぐにわかりますよね。

分詞の理解が鍵

 一方、分詞は、不定詞のような形のわかりやすさがありません。とくに語尾が「-ed」となる過去分詞は、動詞の「過去形」と同じ形なので、例えば、derivedという語がderive(由来する、抽出する)の過去形なのか過去分詞なのかは、すぐには判別できません。TOEICにおいて、分詞の識別問題が頻繁に出される理由は、この分詞の「わかりにくさ」ではないかと思われます。

 同じ記事からの引用です。前回と同様に、TOEICのPART5の問題形式にしてみます。空所に入れるのに最も適当なものを(A)~(D)から選んでください。

The parent company of one of the nation's leading brewing concerns has set a goal of doing away with all PET bottles using plastic(     )from fossil fuel-based materials by 2030.(わが国の主要醸造メーカーのある親会社は、2030年までに、化石燃料を基にする原料から抽出したプラスチックを使用したペットボトルを全廃する目標を設定した)

(A)derives (B)derived (C)is derived (D)to derive

 正解は(B)derivedになりますが、これは過去形のderivedではなく、goods made in Japan(日本製の商品)のmadeのように、前にある名詞のplasticを修飾する形容詞としての過去分詞(~される)の働きとなります。

 英語の動詞は、このように自在に形を変えて現れ、いろいろな機能を果たしています。分詞の識別が簡単にできるようになれば、文法力に自信を持って大丈夫です。

英語を書く際のポイント

 筆者は大学時代、アメリカ人神父から英語を学びました。とくに参考になったのは、英文の書き方です。伝えたい内容を的確に表現するためには、どのような文体が適切なのかを理解でき、英語で文章を書くことに心理的抵抗がなくなりました。

 当コラムを読んでくださる皆さんも、メールやブログ、プレゼン資料などでもどんどん「英語で書く」ことに慣れていってほしいと思います。

 英語を書く際のポイントはシンプルです。なるべく少ない語数で書くことです。準動詞は、この「シンプルに書く」のにふさわしい文法です。準動詞の強みは「人称・時制」の変化を受けないこと、さらには「関係詞」や「接続詞」の複雑なルールが不要であることです。

 「日本製の商品」はgoods which are made in Japanと書くこともできますが、少し難しく感じないでしょうか? 準動詞を使いこなし、英語で書くことに慣れたら、話すのはもっとラクになりますよ。次回から語彙(ごい)力をテーマにお話しします。

武田菜穂子(グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役)
プロフィル 武田菜穂子(グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役)

上智大学外国語学部卒業・同大学院修士課程修了(国際関係)。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得満期退学(政治学)。公立高校英語教員、証券会社調査部勤務を経て予備校講師に。女性予備校講師の草分けとしてのキャリアは30年以上になり、テレビ、ラジオ、新聞などで取り上げられる。2005年にグローバル・エデュケーション・ネットワーク設立。大学受験塾(AOアカデミー、GENアカデミア、日芸受験.COM)経営と、大学・高校での講演活動及び大学入試問題コンサルティング事業を手がける。博士論文も執筆中。

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