語源に注目して語彙を増やす

<第5回> 文 武田菜穂子
Bablab(Getty Images)
Bablab(Getty Images)

 前回は単語の覚え方として、まず発音と意味を結びつけ、綴(つづ)りにはあまり気をとられすぎないこと。そして、単語同士の相性の良い組み合わせ(コロケーション)に注目する重要性についてお話ししました。今回も引き続き、単語の覚え方についてです。

接頭辞と接尾辞の意味と品詞

 お読みいただいている皆さんは、unhappy(不幸な)は「un」がつくことでhappy(幸福な)と反対の意味になるのは常識になっているでしょう。この「un」が接頭辞と呼ばれるものです。反意語をつくる接頭辞としては、他に「mis」や「dis」があります。misunderstanding(誤解)の「mis」などがその例です。

 さて、「The Asahi Shimbun Asia & Japan Watch(AJW)」(7月31日配信)に、女性の就業人口が過去最高の3千万人を突破したという記事(Female workers top 30 million, but earnings divide remains)がありました。

 いつものように、空所に入れるのに適当なものを(A)~(D)から選んでみましょう。

The number of women working in Japan hit a milestone of 30 million for the first time, although they earn far less than their male (     ) and more than half hold non-regular contracts.(日本で働く女性の数は初めて3000万人という画期的な数となった。だが、男性の労働者と比べるとまだ稼ぎははるかに少なく、半数以上が非正規の契約である)

(A)parts (B)counterparts (C)partners (D)players

 正解は(B)counterpartsです。counterpartは「同等の人・もの」という意味で、この文では女性労働者と「同等の人」、つまり男性労働者を意味します。このようにcounterpartは代名詞的に使える語です。最近はカタカナ語の「カウンターパート」も見かけるようになりました。また、海外の現地法人で本社と同等の地位の方を「カウンターパート」と呼ぶようです。

 counterpartを分解してみると、counter(反対の、相手の)+part(部分、役割)になります。「相方」のような意味と推測できますよね。接頭辞は漢字でいう偏(へん)と旁(つくり)のようなものです。

 <第2回>では、接尾辞によって品詞を見分けることができることをお話ししました。例えばinformation(情報)はinform(知らせる)に名詞形をつくる「tion」が組み合わされたものです。接尾辞を覚えると、単語力だけではなく、文法力もアップしますから一石二鳥です。最近は、こうした接頭辞や接尾辞がまとめてある参考書も一般的になっていますので、参考にしてみると良いでしょう。

様々な文化や言語からの影響

 筆者は大学時代に第二外国語としてフランス語を選択しましたが、フランス語の中に綴りが英語とまったく同じか、よく似た語が多くあることにすぐ気がつきました。例えばrestaurant(レストラン)は発音が違っていても、綴りは同じです。なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?

 前回、knifeの「k」はかつて発音されていたことをお話ししました。英語は歴史上、何度か発音、文法、そして単語が大きく変化した時期があります。世界史の授業で「ノルマン・コンクエスト(ノルマン人のイングランド征服)」を習ったと思います。11世紀にフランス北部のノルマン人がイングランドを征服し、その時代にフランス語の語彙(ごい)が英語に流入したことが、英語とフランス語の綴りが似ている原因なのです。

 それから16~17世紀に文人たちがギリシャ語やラテン語から多くの語を借用し、英語の語彙を飛躍的に増やしました。「身体の、物理の」を意味するphysical は、ギリシャ語のphysis(自然)に由来します。多少難しい単語に思えるものは、だいたいギリシャ語やラテン語がもとになっています。英語はこのように様々な文化や言語からの影響を受け、いまの英語になっているのです。ちなみに、ギリシャ語・ラテン語由来の単語は、英語圏の学生にとってもやはり難しいようで、彼らも語源を調べて覚える努力をしていますよ。

 次回からはリスニングについてお話しします。

武田菜穂子(グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役)
プロフィル 武田菜穂子(グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役)

上智大学外国語学部卒業・同大学院修士課程修了(国際関係)。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得満期退学(政治学)。公立高校英語教員、証券会社調査部勤務を経て予備校講師に。女性予備校講師の草分けとしてのキャリアは30年以上になり、テレビ、ラジオ、新聞などで取り上げられる。2005年にグローバル・エデュケーション・ネットワーク設立。大学受験塾(AOアカデミー、GENアカデミア、日芸受験.COM)経営と、大学・高校での講演活動及び大学入試問題コンサルティング事業を手がける。博士論文も執筆中。

この記事をシェア