リスニングは音と意味を結びつけることから始める

<第6回> 文 武田菜穂子
Jezperklauzen(Getty Images)
Jezperklauzen(Getty Images)

 前回までは、単語の覚え方についてお話ししました。今回からはリスニングがテーマになります。みなさんはリスニングが得意でしょうか? TOEICはリスニングが100問もあり、全体のスコアを大きく左右する分野ですので、苦手意識を持っている人にとっては悩むところでしょう。

 実は、筆者も4技能(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)の中でリスニングが一番苦手でした。どうしたらリスニングの苦手意識をなくせるか、それは自分自身の課題でもあったのです。

音と意味を結びつける

 当コラム<第4回>で、単語を覚えるときにはあまり綴(つづ)りを気にしなくてもよい、音と意味を結びつけることが大切だとお伝えしました。このアドバイスは、リスニングを鍛えるためにも有効なのです。

 音と意味を結びつける上で<1>単語 <2>文 <3>文章 の各レベルがあります。まず、単語のレベルで聞こえた音を正しく識別できているでしょうか? 当然のことですが<1>をクリアしなければ<2><3>は難しいですよね。

 TOEICのリスニング・セクションでは、ノン・ネイティブにとって聞き分けが難しい単語やフレーズを意図的に選択肢に混ぜています。例えば、Part1の写真描写問題であれば、car とcart の識別です。日本語の「カート」とは違い、英語のcartの「t」の音はほとんど聞こえません。子音と母音が一体化した有声音が主体の日本語話者からすると、無声音が多い英語の発音は難易度が高いのです。

 これはスピーキングにも言えることですが、stopを「ストップ」とカタカナ語で発音していては、おそらく意味が伝わりません。語尾の子音は意識してカットするくらいのつもりで発音してみるとよいでしょう。

 前回のコラムで、英語にはギリシャ語やラテン語由来の語が少なくないということをお話ししました。こうした語は学術用語に多いのですが、もとは「外来語」だけに発音も特徴的なので、一度覚えたらおそらく忘れないと思います。「哲学」を意味するphilosophyなどがよい例です。

 実は、落とし穴は中学校レベルの単語やフレーズにあります。文字にすると簡単な語こそが聞き取りにくく、発音しにくいのではないかと思います。一つ一つの音声をアプリケーションなどで確認しておきましょう。

音声付きの記事を活用する

 当コラム<第1回>で、週刊英和新聞「AsahiWeekly」にあるNews in 100 Words(100語で読むニュース)で音声を聞く記事の活用を紹介しました。8月8-11日号にポール・マッカートニー、ミュージカルに挑戦という記事(Paul McCartney sets sights on stage musical)がありましたが、この記事の和訳を読みながら音声を聞いてみましょう。

 筆者おすすめの方法として、まず、記事の和訳であらかじめ内容をつかんでおきます。次に音声だけを聞き、どれだけ聞き取れたかを確認します。これを繰り返すことによって徐々に聞き取れる範囲が多くなっていくことが実感できます。内容がわかっている安心感からも、リラックスして音声だけに集中できるのです。

 TOEICに限りませんが、リスニングに苦手意識があると、一言も聞き逃すまいと必死になってしまいます。けれども、その緊張感がいつまでも持続するはずはなく、かえって肝心な部分を聞き逃してしまったりするものです。リスニング・セクションにはリラックスして臨むことが大切です。

 次回も引き続きリスニングについてお話しします。

武田菜穂子(グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役)
プロフィル 武田菜穂子(グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役)

上智大学外国語学部卒業・同大学院修士課程修了(国際関係)。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得満期退学(政治学)。公立高校英語教員、証券会社調査部勤務を経て予備校講師に。女性予備校講師の草分けとしてのキャリアは30年以上になり、テレビ、ラジオ、新聞などで取り上げられる。2005年にグローバル・エデュケーション・ネットワーク設立。大学受験塾(AOアカデミー、GENアカデミア、日芸受験.COM)経営と、大学・高校での講演活動及び大学入試問題コンサルティング事業を手がける。博士論文も執筆中。

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