より実践的な英語力を試される難関のPart7対策

<最終回> 文 武田菜穂子
beast01(Getty Images)
beast01(Getty Images)

 前回からリーディング・セクションに戻り、難関のPart7についてお話ししました。Part7は問題量が多く、速読力が求められ、その速読力をつけるために「返り読み」をせず、語順通りに読むことをおすすめしました。そのように読むことは、言語的な特徴からも理にかなっているからです。今回も引き続きPart7対策、特にダブル・パッセージ(二つの文章)とトリプル・パッセージ(三つの文章)の問題についてお話しします。

英語で行う能力があるか

 一般的に、一つの文章に対していくつかの問題があります。大学受験や実用英語検定試験(英検)も同様で、文章の長さや使用されている語彙(ごい)のレベルが変わる程度です。複数の文章を組み合わせたPart7の問題は、より実践的な英語力を試されます。つまり、皆さんが日常的に日本語で実践していることを、英語で行う能力があるかどうかを試されているのです。

 ダブル・パッセージもトリプル・パッセージも、そのうちの一つは「メール」の文章になります。その内容は、宣伝・広告されている商品やサービスについての問い合わせがほとんどです。

 メールには「発信者(差出人)」(From:)、「受信者(宛先)」(To:)、そして「件名」(Subject:)があります。ここから、ある程度は設問を予測することができます。ダブル・パッセージでもトリプル・パッセージでも、メールを先に読むことをおすすめします。書かれている内容は、別の文章に根拠がありますが、その文章のどこを読めばよいかがあらかじめわかるでしょう。<第8回>でリスニングには「設問の先読み」が役立つことをお話ししましたが、この方法はPart7でも有効です。

なじみのある単語ほど注意

 Part7には、英文中の語彙の意味を問われるものがあります。この問題は、単語の丸暗記で対処しようとすると、選択肢から正解を見つけることが難しいかもしれません。

 さて、ノーベル化学賞は、リチウムイオン電池の開発者である吉野彰さんの受賞が決まりましたね。「The Asahi Shimbun Asia & Japan Watch(AJW)」(10月10日配信)にその功績を紹介する記事(Building on work of others was key to lithium-ion batteries)がありましたので、一部を引用します。

But in 1982, he still faced problems finding the proper material for the cathode. As he was cleaning up his research lab late that year, he happened to come across an article written by Goodenough about using lithium cobalt oxide as a cathode.(けれども1982年、彼はいまだに正極にふさわしい素材を見つけるという問題に直面していた。その年の暮れに研究室の掃除をしていたとき、彼は偶然にも、正極としてコバルト酸リチウムを使うというグッドイナフ氏の論文を見つけた)

上記の太字properの意味は、次のどれが最も近いでしょうか?

(A)legal (B)accurate (C)reasonable (D)suitable

 正解は(D)(適切な)になります。カタカナ表記の「プロパー」は「正規の」「正社員の」にあたる「プロパー社員」、「プロパー商品」などという表現もあります。しかし、英語はカタカナになると意味が限定されがちなので、注意が必要です。properは多義語で、多様な使われ方をします。TOEICの語彙問題は文脈に照らし合わせ、最もふさわしい意味を選ぶことが大切です。なじみのある単語ほど、注意をしてくださいね。

 本連載コラムは今回が<最終回>となりました。ご愛読いただきましてありがとうございました。皆さんの英語力向上と就活の成功をお祈りしています。

武田菜穂子(グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役)
プロフィル 武田菜穂子(グローバル・エデュケーション・ネットワーク 代表取締役)

上智大学外国語学部卒業・同大学院修士課程修了(国際関係)。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得満期退学(政治学)。公立高校英語教員、証券会社調査部勤務を経て予備校講師に。女性予備校講師の草分けとしてのキャリアは30年以上になり、テレビ、ラジオ、新聞などで取り上げられる。2005年にグローバル・エデュケーション・ネットワーク設立。大学受験塾(AOアカデミー、GENアカデミア、日芸受験.COM)経営と、大学・高校での講演活動及び大学入試問題コンサルティング事業を手がける。博士論文も執筆中。

この記事をシェア