「就活ルール」の表と裏…21卒・22卒のホントの日程は?

<第38回> 文 木之本敬介
2019年3月1日、企業の合同説明会には、多くの就活生が訪れた=千葉市美浜区の幕張メッセ(C)朝日新聞社
2019年3月1日、企業の合同説明会には、多くの就活生が訪れた=千葉市美浜区の幕張メッセ(C)朝日新聞社

 2022年春に卒業予定の大学2年生の就活について、政府は「企業広報は3年生の3月解禁、面接は4年生の6月解禁」とする今のスケジュールを維持することを決めました。でも、みなさんはこれを真に受けてはいけませんよ。就活ルールは形骸化が進んでいるので、「3年の3月から始めればいいんだ」と思っていると痛い目にあいます。守れないルールなんてやめてしまえばいいと思いますが、簡単にはできない事情もあります。今3年生の2021年卒生と、2年生の就活が実際にはどうなるのか、予想を交えて説明します。

政府がルール維持を決定

 政府は10月30日に経団連や大学関係者らと開いた会議で、同じ日程を続けるよう求める声が強かったため、維持を決めました。これで、2016年卒採用から2022年卒まで7年続けて同じ日程で行われることになります。2023年春卒業予定の今の大学1年生の日程は来年度に正式に決めますが、「現行の日程を変更する必要が生ずる可能性は高くない」としています。
 就活スケジュールはこれまで、大企業の集まりである経団連がルールを決めてきましたが、所属しないIT系や外資系の企業がこれに縛られずに早い時期に採用活動をしたり、加盟企業でも守らないところが多くなったりしたことから、ルールを廃止。混乱を避けるため、2021卒採用から政府がルールをつくって全企業に呼びかけることになり、今後2年間は同じ日程とすることを決めたわけです。

実際の就活の日程は

 初めて政府主導で行われる今の3年生の就活は、実際にはどんな日程となるのでしょうか。夏のインターンシップが事実上のスタートなので、すでに始まっています。

3年生の夏休み~秋冬 インターンシップ(3年生の2月まで続く)、採用直結のインターンも
秋~春 外資系やIT系、ベンチャー企業で本番の選考、内々定出し
2月まで 「インターン説明会」「業界研究会」などと称する合同企業説明会、学内説明会
3月1日から【企業広報解禁日】 多くの企業が会社説明会開催、エントリー開始
4年生の4~5月 多くの企業で面接→数回の面接を経て内々定出し
6月1日【面接解禁日】 ここまでに面接での選考を済ませていた企業は形式的な最終面接だけ行い即内々定出し/本当にこの日から面接を始める企業も
6月末まで 大手企業の多くが内々定出し終了
7月以降 中堅中小企業の募集・採用選考続く
10月1日【内定解禁日】 多くの会社で内定式
3月末まで 予定採用人数を採りきれない中堅中小企業の採用選考続く

 上の流れは2020年卒の結果を受けて、2021年卒採用の流れを予測したものです。年々早期化が進んでいるため、年内や2月以前の説明会がさらに多くなり、4~5月の面接・内々定出しがより早まると言われています。「6月面接解禁」はほとんど守られず、形骸化していることがわかります。ルールを守らなくても企業に罰則はありません。一方で、「3月広報解禁・エントリー開始」は比較的守られています。これより前に大きな会社説明会を開くと目立ちますが、面接はこっそり進めて、6月1日に形だけの最終面接をして内々定を出せば、外向けには「ルールは守っている」と言えるからです。だから、5月以前の面接は「面談」「ジョブマッチング」などと称してカムフラージュしたりもします。

なぜ、ルールは続くのか

 でも、これほど守られずに形骸化したルールなら、いっそなくしたほうがスッキリしますよね。それなのに、なぜいまだに存在し、この後も続くのでしょうか。内閣府の最新の調査では7割の学生が「ルールが必要」と回答。5割は「ルールは必要であり、現在の開始時期がよい」と答えました。30日の会議では、大学や企業からも日程維持を求める声が強く出ました。きっと企業も、大学も、学生も、「ルールなし」による混乱や無秩序が怖いのだと思います。ルールがなくなれば、学生はいつ動き出せばいいかわからず、企業はライバル社の動向をこまめに探りながら採用の時期も方法も一から工夫しなければなりませんから。

 一定のルールを設けたうえで、多少のルールの逸脱や先走りには目をつむるのが今のやり方です。みなさんはその土俵に乗って就活をするしかないのですが、今の就活にこうした「表と裏」「本音と建前」があることを知っていることは大事です。就活は「情報戦」ともいわれます。企業の採用ホームページだけでなく、アンテナを張って、友人・知人や大学のキャリアセンターからの情報もキャッチしながら就活を進めてください。

 2024年卒以降の採用について政府は、新卒一括採用の見直しを検討。経団連と大学の代表による「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」でも議論しています。通年採用など採用を多様化しようとする動きについては、
◆どうなる新卒一括採用!? 通年採用、ジョブ型採用って?【2019年4月26日のイチ押しニュース】
を読んでください。

produced by 就活ニュースペーパー
木之本敬介(朝日新聞社 就活コーディネーター)
プロフィル 木之本敬介(朝日新聞社 就活コーディネーター)

1986年入社。政治部記者、採用担当部長などを経て就職情報サイト「あさがくナビ」編集長。「朝日学生キャリア塾」を立ち上げて就活生の指導も。サイト「就活ニュースペーパーby朝日新聞」では就活に役立つ情報を日々発信中。大学などでの講義・講演多数。著書に「最強の業界・企業研究ナビ2017」(朝日新聞出版)がある。

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