【広告会社に内定】 内定者インタビュー「就活=イヤ! からの大逆転」

インタビュー 国家資格キャリアコンサルタント 篠原真喜子

最初、就活は「怖い!」「とにかくやりたくない!」と思っていたという黒沢さん。しかしその後、徐々に第一志望の企業が見つかり、やがては見事その企業(総合広告会社)から内定を獲得します。黒沢さんは一体どのように変わっていったのでしょうか。当時の気持ちを思い出しながら、そのすべてを語っていただきました。

黒沢梨恵さん
プロフィル 黒沢梨恵さん

現代教養学部人間科学科。受験業界は広告、マスコミ、金融、保険、ディベロッパー。ES提出数20社、面接まで進んだ会社数9社、内定先は総合広告会社1社。

内定までの道のり

大学3年4月
漠然とマスコミに憧れるも「就活=イヤ!」という気持ちが強く、葛藤
大学3年夏
モンゴルで1カ月のインターン。帰国後、周囲の状況を聞いて焦るが、まだ就活に気持ちが入らず
大学3年秋
広告系ベンチャーでインターン。ベンチャーに少し心ひかれる
大学3年1月
学内外の就活講座に参加し、やはり大企業を目指そうと決意
筆記対策や自己分析も開始
大学3年2月
代表を務めていた学生団体でOGのインタビュー冊子をつくることになり、超多忙に。が、これがOG訪問代わりになり、視野が広がる
大学3年3月
業界を絞らず20社ほどにES提出。が、落選通知の連続(涙)。この頃から「言葉で人を元気にしたい」という自分の軸が見え始め、広告業界に興味が
大学4年4月
広告業界の面接が始まり、ひたすら準備に打ち込む
大学4年5月
第1志望の総合広告会社から内定獲得!

「就活=イヤだ!」の気持ち、変わったきっかけは?

―― 黒沢さんは、最初、なかなか就活に気持ちが入らなくて悩んでいたそうですね。

 そうなんです。仲がとてもいい姉が、就活でかなり大変そうにしているのを間近で見ていて。いつも元気な姉がどんどん暗くなっていって、布団をかぶって泣いていたりしていたんです。それでもう、就活が怖くて(笑)。正直、「やりたくない! 就活は敵だ!」という気持ちしかなかったのですが、だからこそ「なるべく早く準備しなくちゃ」という焦りもあって。それで2年の夏、知り合いからの勧めで、コンサルティング会社の事務職のインターンに参加しました。でもスイッチは入らず、「事務よりは、外に出て人に会う仕事のほうがいいかも」と思ったくらいでした。

「就活がすごく大変そうだった」というお姉さん(右)と。そんなお姉さんは今、大手総合商社に勤務している ※本人提供
「就活がすごく大変そうだった」というお姉さん(右)と。そんなお姉さんは今、大手総合商社に勤務している ※本人提供

―― なかなか就活モードに切り替えられない、という人は、実は結構多いかもしれません。

 私は海外に興味があり、学生時代にタイ、イギリス、アメリカ、モンゴルなどを回りました。日本語教育にも関心があったので、普段から日本語がわからなくて困っている留学生に日本語を教えたり、相談に乗ったりしていました。その延長で、3年の夏にはモンゴルの高校にインターンにも行ったんです。モンゴルの子供たちに日本語を教えに。

―― モンゴルでインターン! すごいですね。

 ものすごく楽しかったです。あと、幼いころから続けていたバレエ、高校時代に始めた賛美歌の聖歌隊の活動、アルバイト……。課外活動に夢中で、なかなか就活に気持ちが向かなかったんですよね。でも、モンゴルから帰国して、日本の採用型インターンに参加した友人の話を聞いたとき、「私、何をやってるんだろう」と焦り、「どうしてみんなが普通にできることが、私にはできないんだろう」と悩んだりもしました。

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モンゴルの高校でインターン ※本人提供
モンゴルの高校でインターン ※本人提供

―― この頃、ベンチャー企業のインターンにも参加したんですよね。

 はい。秋に広告系ベンチャーのインターンに参加しました。この頃は、就活したくない一心で「面接時期が早くて、比較的採用フローが短いベンチャーもいいかも」と思っていたんです(笑)。でもその後、11月末に参加した朝日就職セミナーで、自分がいかに何もしていないかを思い知り、すごく焦りました。もうちょっと、ちゃんとやってから考えないとって。もともと、家族が新聞が好きで、私もパラパラ読んではいたのですが、それからは就活を意識してちゃんと読むようにしました。また、年明けからは学内外の就活講座やセミナーにも参加。その結果、「はじめはきちんと研修を受けて、社会人としての知識を一から身につけられるようなところがいい。大企業を目指してみよう」という気持ちになったんです。

お気に入り記事は冷蔵庫に貼るのが、家族みんなの習慣だそう ※本人提供
お気に入り記事は冷蔵庫に貼るのが、家族みんなの習慣だそう ※本人提供

―― では、ここからやっと、就活が本格始動というわけですね。

 と、言いたいところですが……ちょうどこの頃、代表を務めていた学生団体で、大学のOGの方50人に仕事についてインタビューし、冊子をつくることになりました。これがすごく忙しくて、就活どころではなくなってしまって。でも、ここで幅広い業界の仕事について話を聞いたおかげで、結果的にOG訪問の代わりになったんです。視野が広がり、様々な業界に目が向くようになりました。

大学で制作した冊子。制作中は忙しすぎて就活どころではなかったが、この経験が後々役立った ※本人提供
大学で制作した冊子。制作中は忙しすぎて就活どころではなかったが、この経験が後々役立った ※本人提供

―― 3年生のころは、広告やマスコミ、金融などを見ていたんですよね。

 はい。3月頃はまだ幅広く見ていました。でも、説明会は大規模なものだと人に酔ってしまうので、こぢんまりしたものにしか行きませんでした(笑)。ESは業界を絞らずに20社ほど出しましたが、来る日も来る日も落選通知!! 崖に追いやられているような気持ちでした。私、本当に後悔しているんです。他大学の先輩や知り合いなど、誰でもいいからもっと他人にESを見てもらっていればよかったなと。通っているのが女子大だったので、学校推薦等で就職を決める人も多く、あまり周囲にガチで就活をしている人がいなかったんです。だからESの書き方も相談できる人がいなかったのもあるんですけど、それでも色んな大人の人に見てもらうべきだったなと本当に悔やんでいます。でも、ES以上にさらにツラかったのが筆記試験。数学が大の苦手だったので、SPIは青くなりながら勉強していました。

―― いざ始めてみたら、かなり大変だったわけですね。業界も絞っていなかったようですが、そこから広告にひかれていったのはどんな理由で?

 新聞の記事集めがきっかけだったんです! 新聞をちゃんと読むようになったものの、気になった記事を一度に全部読むのは無理で。そこで、気になる記事はビリッと破ってファイルに入れていたんです。海外の記事や、日本語教育に関する記事が多くなるのは想像していたんですが、集まった記事を見てみたら、困っている人を助けるという記事や、言葉の力を伝えるような記事が多くて。それで「私は、金融とか世の中の基盤をつくる仕事より、広告など、言葉で人を元気にするような仕事が向いているのかも」と思うようになりました。

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気になる記事は、どんどん破ってファイリングしていった。自宅の冷蔵庫からはがしてきた、お気に入りの天声人語
気になる記事は、どんどん破ってファイリングしていった。自宅の冷蔵庫からはがしてきた、お気に入りの天声人語

「広告」はじめ、自分の興味に関する記事をひたすらチェック

―― なるほど。それで広告業界に意識が向いていったのですね。

 はい。海外で日本語教師をするのもいいけれど、まずは、日本の人たちを、広告を通じて、言葉で元気にしたいなって思ったんです。だから、広告会社はコピーライター志望で受験しました。
 気持ちが決まってからは、新聞もさらにしっかり読むようになりましたね。新聞のデジタル版も取っていたので、「MYキーワード」に、「広告」「博報堂」「電通」「ADK」の志望業界に関するワードや「海外」「日本語教育」などを登録。MYキーワードは、気になるワードを登録しておくと、関連記事だけが自動で集まるので、新聞を自分用にカスタマイズしているような感じでとても便利でした。面接で「気になるニュース」を聞かれたときも、「ネットで見ました」と言うのと、「新聞で読みました」と言うのでは、面接担当者の反応が全然違って!「新聞読んでてよかった~」って思いました。

「MYキーワード」のキーワードは、テーマごとにフォルダーに入れて管理できる。1つのフォルダーにはキーワードを5つまで登録可能
「MYキーワード」のキーワードは、テーマごとにフォルダーに入れて管理できる。1つのフォルダーにはキーワードを5つまで登録可能

―― よかったです! ほかにしていた面接対策はありますか?

 ちょうどその頃、第一志望の企業で働いているOGの方を訪問して、その企業について書かれた本を貸していただいたんです。これを隅から隅まで読み込みました。

OGの方から借りた2冊の本。付箋(ふせん)をつけながらみっちり読みこむと、かなり企業研究が深まった ※本人提供
OGの方から借りた2冊の本。付箋(ふせん)をつけながらみっちり読みこむと、かなり企業研究が深まった ※本人提供

―― 付箋(ふせん)がびっしり! すごいですね。

 広告業界について学ぶ中で、「生活者の視点」という言葉をよく耳にしました。それで、新聞でもそれにつながるような記事を重点的に読むようにしていました。例えば、世の中の人がどんなことを考えているのかがわかる、読者投稿欄の「声」や、今話題のテーマについて、識者と一般の方両方の意見がまとまっている「フォーラム」面などは、よく読んでいましたね。

よく読んでいた「声」欄と「フォーラム」面の記事
よく読んでいた「声」欄と「フォーラム」面の記事

―― 一般の人の声を知るというのは、広告やマスコミ業界志望者にとっては、とても大切なことですね。

 そう思います。あと面接では、とにかくESの内容をしっかり頭に入れ、それにプラスアルファで答えられるよう、何度も何度も練習しました。先ほどもお話ししたように、周りにあまり就活仲間がいなかったので、自分のスマホに録音して聞き返し、答えをブラッシュアップしていきました。すると、1次や2次で落ちることはほぼなくなりました。それでも3次になると、かなり細かいところまでつっこまれるので、落ちてしまうことも。「ここまで来たのに……!」とショックでしたね。

その企業のことを誰よりも知っている、と思えるくらいに

―― 例えば、どんなふうにつっこまれるんですか?

 まず、自分の志望職種のことだけでなく、その企業が力を入れている事業については細かく聞かれます。当然なんですけどね(笑)。私は、ある映画会社の面接の際、自分の志望職種のことばかりで、その会社が一番力を入れている事業である歌舞伎について調べていなくて。全然答えられなくて、大反省しました。あと、ESに企画案を書くことがよくあると思うのですが、ESに書くのは1つで良くても、面接では「ほかには?」と聞かれます。実際には10個くらい企画案を考えておかないと厳しいと思いました。 それに気づいてからは、その企業のことを誰よりも知っている、と思えるくらい企業研究をしました。ESも丁寧に見直して、突っ込まれそうな質問を想定して、「これでもか」というくらい準備しました。

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―― その努力が実り、ついに第一志望の総合広告会社から内定が。おめでとうございます!

 ありがとうございます。私は、はじめ「とにかく就活はイヤだ!」と思っていました。本当の自分を偽って、いい姿だけを見せて行うのが就活だと思っていたので。でも、実際には、本当の自分に向き合うのが就活なんですよね。それはとても貴重な時間だし、今は就活をして本当によかったと思っています。もちろん、楽しいことばかりではないけれど、皆さんも就活を存分に味わい、自分の将来や周囲の人との関係にじっくり向き合う機会にしてほしいなと思います。(構成 ライター・小元佳津江)

篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

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