【テレビ局に内定】 内定者インタビュー「アナウンサー惨敗から念願の放送局へ」

インタビュー 篠原真喜子

高校時代は、放送コンテストで最優秀賞。大学入学後も、高校時代の成績に甘んじることなく、1年生からひたすら努力。しかし、結果は惨敗続き。「こんなに頑張っているのになぜ?」。悔し涙を流しながら自分に向き合い続けた前田さんは、その後、「私がやりたいことはテレビ局総合職でこそ実現できる」と気づき、見事、念願の放送局から内定を手にします。前田さんの転機はどのように訪れたのでしょうか。その道のりに迫ります。

前田さつきさん
プロフィル 前田さつきさん

総合政策学部総合政策学科。受験業種はテレビ局(アナウンサー、総合職)。ES提出数50社、面接まで進んだ会社数24社、内定先は東日本放送(総合職)1社。

内定までの道のり

大学1年5月
大学入学後、すぐアナスクールへ。アナ受験に向けてネタ作りにも励む
大学3年夏
準備万端、自信満々でインターンESを出すもキー局は全滅! 進めたのは地方局含め3局のみ(涙)
大学3年秋
本採用もキー局・準キー局はすべてES落ちで、泣き暮らす日々。就活支援をしている朝日新聞の篠原さんに相談し、総合職など他の道へも目が向くように
大学3年冬
総合職に気持ちを切り替えると、キー局で6次面接まで進む。ひたすら総合職対策に力を注ぐ
大学4年4月
元々好きで訪れていた東北。そこで目にした震災被害の現状から、この地を元気にすることをライフワークにしたいと決意
大学4年5月
「ここで働きたい!」と心から思う社員さんに出会えた、仙台の東日本放送に総合職で内定! 迷わず就活を終了

悔し涙の末に見えてきたこと

―― 前田さんは当初アナウンサー志望だったけれど、途中で総合職志望に切り替えたんですよね。当時のこと、改めて聞かせてもらえますか?

 地元は関西ですが、アナウンサーの輩出が多いという理由だけで神奈川県の大学に進みました。1年生の頃からアナスクールに通い、「アナ試験ではネタ作りが大事」と聞いて、みかん農家のお手伝いや町おこしなどもやりました。朝日新聞デジタルの勉強会にも参加して、新聞も読むようにしていました。

愛媛県宇和島市のミカン農家でお手伝い。大学1~2年は、アナウンサーになるための「就活のネタ作り」に励んでいた ※本人提供
愛媛県宇和島市のミカン農家でお手伝い。大学1~2年は、アナウンサーになるための「就活のネタ作り」に励んでいた ※本人提供

―― そうそう、かなり早くから色々頑張っていました。

 でも、3年生の夏、「これだけやったんだから」と自信満々で臨んだインターンは見事に惨敗。その後の本選考も惨憺(さんたん)たる結果で……。「こんなに頑張っているのにどうして?!」と悔しくて。あのときは人生で一番泣きました。それで篠原さんに助けを求めたら、アピールする方向性についてアドバイスいただきつつ、「アナになるばかりが幸せになる道じゃないよ」という言葉もいただいて。

―― そうでしたね。世の中に面白い仕事はたくさんあるし、私も今仕事をしていて実際にそう感じているから。とはいえ、夢見たお仕事の就職活動を目の前にして、なかなか視野を広くもてないよね。

 はい。あのときにそう言っていただけたことが、大きな転機になりました。「伝える」仕事は、何もアナとしてカメラの前に立つことだけじゃない。むしろ、番組をつくる側に回れば、伝えるコンテンツ自体に関わることができると。それで総合職志望に転換したら、キー局で6次面接まで進むことができて。自分でも驚きました。

―― すごい! キー局総合職でいきなり6次ですか。内定まであと一歩ですよね。 ここまで進めた理由は、自分ではどの辺りにあったと思いますか?

 総合職志望に切り替えた頃、実はもう一つ大きな変化が自分の中にあったんです。私が、マスコミを目指した理由の一つは、東日本大震災からの東北地方の復興や震災報道に興味があったからです。東北地方に30回以上行き、原発事故で帰還困難区域に指定された土地を回るツアーにも参加したことがあります。そこで震災の爪痕がまだまだ残っているのを目にしてすごく驚いたのですが、一方で、新しい力が沸いて生きているのも感じて。「震災を風化させないだけじゃなくて、新しい力が沸いて生きていることも伝えたい! この地に住む人を元気にしたい! それをライフワークにしたい!」と思うようになりました。それを実現できるのは総合職のほうなんじゃないかと思うようになりました。

大学時代だけで東北地方に30回以上足を運んだ。写真は、岩手県釜石市のラグビー場を見学したときのもの ※本人提供
大学時代だけで東北地方に30回以上足を運んだ。写真は、岩手県釜石市のラグビー場を見学したときのもの ※本人提供

―― 30回以上! そこまでできる人は、なかなかいませんね。面接で話すときも説得力がありそうです。

 東北地方の放送局を受けるとき、「気になるニュース」を聞かれると、震災関連のことを挙げる人が本当に多かったです。けれど、震災の被害に関心があっても実際に帰還困難区域に行った人は少なく、この話を面接ですると、東北地域のことを本気で考えていることが伝わり面接担当者との距離が縮まった気がします。また、話すときは、できるだけ新鮮味が加わるように工夫していました。

新聞記事を使って自己PRの鮮度を上げる

―― どんなふうに工夫していたんですか?

 例えば、「今日の朝刊に、安倍総理がスーツ姿で福島第一原発を視察したと載っていましたが、私も以前、福島県の南相馬市〜いわき市までの浜通りを南下するツアーに参加しました。記事にもある通り、安倍総理は復興が進んでいることを強調しようとスーツで視察したようですが、双葉町や大熊町の帰還困難区域を訪れると、震災発生直後から時が止まったかのようでした。この経験から私は、……」 というように、最新ニュースを導入にして自分の話につなげました。アピールしたい部分は使い回しで、導入の記事だけ変えるのですが(笑)、最新ニュースを入り口にすることで話の鮮度が上がり、面接担当者が興味を持ってくれるのがわかりました。

面接で実際に話した新聞記事。この記事に自分の経験と考えを添えて話した ※本人提供
面接で実際に話した新聞記事。この記事に自分の経験と考えを添えて話した ※本人提供

―― なるほど。新聞記事を導入にして自己PRにつなげる、という話はよく学生から聞きますが、それを最新記事にすれば、新鮮な印象になりますよね。

 アナを目指して、新聞はかなり早くから読んでいたので、色々と使い方もわかるようになって(笑)。また、朝日新聞の「Media Times」など、メディア関連の記事はテレビ局を受験する際にすごく役に立ちました。テレビ局の面接では、「10年後のテレビ局は?」という質問をしょっちゅうされたんですが、メディアの現状や課題を理解したうえで自分の言葉で語れないといけないので、けっこう難しいんです。でも、「Media Times」には面接でそのまま使えそうな話がたくさん載っていたので助かりました。マスコミ受験者は要チェックです。

よく読んでいた「MediaTimes」の記事 ※本人提供
よく読んでいた「MediaTimes」の記事 ※本人提供

頻出質問「取材したい人は?」は、「ひと」欄をヒントに!

―― ほかには、どんなコーナーを読んでいましたか?

 あと、コラムでは「ひと」欄も好きでよく読んでいました。これまたマスコミの頻出質問に「取材したい人は?」というのがあるんですが、その答えを「ひと」欄から探すことが多かったです。周りではわりと、トランプ大統領とか、誰もが知っている有名人を挙げる人が多かったので、差別化にもなったかなと思います。

―― 「取材したい人」は私もマスコミ志望者の面接指導の際によく聞きますが、有名すぎる人だと、正直なかなか興味が抱けないんです。理由がよほど面白ければ別ですが。かといって、まったくこちらが知らない一般人の場合も、相当内容が面白くないと、その人である必然性が伝わらないので難しい。その意味でも、「ひと」欄に載っている人は、まさに使いやすいかもしれません。

 私は東北の復興にとても関心があったので、「(ひと)+ 福島」「(ひと)+ 宮城」「(ひと)+ 気仙沼」というようにアンド検索したりもしていました。面接ではその中で見つけた、震災体験を語る「カエル塾」塾長の馬場国昭さんや、建築家の坪谷和彦さんなどを挙げていました。例えば坪谷さんは、横浜から縁もゆかりもない東北に移り、地域に溶け込みながら東北を支援している姿にとても共感して。本業である建物の建築以外に、遊具や地ビールまでつくっていると書いてあったので、その活動の源についてお聞きしてみたいなと。

面接で実際に使った「ひと」欄の記事 ※本人提供
面接で実際に使った「ひと」欄の記事 ※本人提供

―― いいですね! そこまでの視点がもてれば面接も通過するはず。この手の質問では、まだどこからも取材されていない人を、と考える人もいるのですが、今は一つのメディアが取り上げたら周囲もみな後追いで取り上げるという時代。だからこそ、自分の経験に沿った独自の切り口を持っている人が評価されるんです。

 「ひと」は、頑張っている一般の方や、どん底からはい上がった人が取り上げられていることが多いので、就活中の励みにもなりました。あと、東北を始め、地方局をたくさん受けていたので、地域面もよく読んでいましたね。

―― 地方企業を受けるときは、地元の学生に負けないくらいの熱量をアピールできるかがカギですからね。

 はい。地方局の受験前は必ず地域面をチェックしていました。地域のかなりディープなニュースも知ることができるので、面接担当者の方にも「本当に〇〇県が好きなんだね」と言っていただけたほどで。読んでいてよかったです。

受験するテレビ局がある県と出身県のニュースは、欠かさずチェックしていました。面接担当者にも褒められました!
受験するテレビ局がある県と出身県のニュースは、欠かさずチェックしていました。面接担当者にも褒められました!

―― 30回以上の東北訪問や、関連ニュースの深い読み込み。そうしたすべての熱意が伝わって、ついに念願の東日本放送から内定が。よかったですね!

 はい、本当にうれしかったです。大好きな東北の放送局というのはもちろんですが、東日本放送は「この人と一緒に働きたい!」と心から思える社員さんに出会えた会社だったので。あと、私、最初の頃はアナで受験していたので、総合職に切り替えてからも、そう信じてもらえないことが多くて。でも、この会社は信じてくれたんです。それが本当にうれしくて。そんな局から内定をいただけたので、大満足で就活を終えることができました。

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―― それはやはり、前田さんの熱意が本物だったからだと思いますよ。

 ありがとうございます。正直、笑った回数よりも、涙を流した回数のほうが多い就活でしたが、人生で一番周囲の人の支えを実感でき、自分の本当の夢やライフワークを見つけられたのも就活でした。涙の数以上に、たくさんの大切なものを得られたと感じています。就活生全員が、そんな本当の夢を見つけ、かなえられるよう、心から祈っています。(構成 ライター・小元佳津江)

篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

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