先輩たちの就活ストーリー① 理系学部から国内大手航空会社2社W内定へ

<第28回> 文 ライター・小元佳津江
全日空(ANA)が導入した、エアバス社の総2階建て世界最大の旅客機A380「FLYINGHONU(空飛ぶウミガメ)」=2019年3月、成田空港(C)朝日新聞社
全日空(ANA)が導入した、エアバス社の総2階建て世界最大の旅客機A380「FLYINGHONU(空飛ぶウミガメ)」=2019年3月、成田空港(C)朝日新聞社

 新しい年を迎え、皆さん、いかがお過ごしでしょうか? 就活準備は順調に進んでいますか? さて、今回からは数回にわたり、先輩たちがいかにして内定獲得に至ったのか、その就活ストーリーをご紹介していきたいと思います。はじめは、理系学部から国内大手航空会社2社にW内定した、花梨(かりん・仮名)さんのお話です。

「私なんてなれるはずがない」からのスタート

 大学は希望のところには入れず、何となく鬱々(うつうつ)とした状態で、就活に対してもどう動いてよいかわからなかったという花梨さん。元々、幼少期から小学生の4~5年ほどシンガポールにいたことがあり、漠然と国際的な仕事に就きたいという思いはあったようですが、「CAは何でもできる、すごい人がなるもの」というイメージが強く、「私なんてなれるはずがない」と思い込んでいたそう。それで大学では、自分のもう一つの関心事だった環境問題に取り組もうと、環境系の学部を選びました。ところが、やはりCAへの思いを捨てきれず、キャリアセンターに相談へ。そこで私のスクールを紹介され、ストラッセ東京へやってきました。

 花梨さんの学部の先輩にはCAになっている人が1人もおらず、まったく情報を得られていない状態でのスタートでした。ストラッセ東京でも、理系学生は30~50人に1人ほどしかいないため、初めの頃は、「理系の私でも本当になれるんでしょうか? 目指してもいいんでしょうか?」が口グセ。レッスン中も「みんなと比べて、私には語れるエピソードも、英語力もコミュニケーション能力もない……」とショックを受け、止まってしまうことがよくありました。

 そこで私が繰り返し彼女に言ってきたのが、「学部が理系でも全然問題ない。積み上げてきた経験やスキルで、CAに生かせるものがある人は、ちゃんと評価してもらえるから大丈夫」ということでした。実際、CAの採用試験では、目の前にいるその本人を見て判断しますから、どんな学部でも関係ありません。本人が努力を積み重ねてきたことがわかれば、きちんと評価してもらえるのです。

自分の経験でCAの業務と結びつくものを見つける

 ただし、花梨さんがふだん大学で研究していた内容は、CAの業務とかけ離れているものではあったので、アピールのしかたは工夫する必要がありました。CAの採用試験では、第25回でもお話ししたように、「チームの中で何らかの役割を果たしているか」や、「自ら目標を設定し、PDCAを回しながら努力できているか」といったことを見られます。そこで、その観点から彼女のこれまでを振り返り、エピソードを洗い出していきました。すると、以前ゼミで出された「学内ビジネスを立ち上げなさい」という課題で、彼女の案が採用されたという話が出てきました。

 花梨さんの大学は郊外にあるため、キャンパス内に木が多く、落ち葉があふれていて、その量は1シーズンで数トンにものぼったのだそう。処理をするのに多額のコストがかかるため、彼女が「コンポストに入れて堆肥(たいひ)を作り、近隣の農家さんに買い取ってもらっては」と提案。農家さんに交渉して了承もいただき、このアイデアが採用されたのでした。5、6人のグループで参加し、実際にうまくビジネスとして回すところまでもっていけたことから、CAの採用試験にもピッタリのネタ。面接ではこの話をすることにしました。

 花梨さんはカフェでアルバイトもしていたので、接客についてはそこで一生懸命学び、エピソードもいくつか準備。また、理系ということもあり、論理的思考は比較的得意だったので、これもアピールポイントにしていきました。英語については、語彙(ごい)力や作文力などはあまりあるとはいえなかったものの、彼女はシンガポールにいたことがあるので、発音が非常によかった。そこで、「自分自身に関すること」「志望動機」「日本文化に関すること」など、いくつかの想定質問に対する回答例を一緒に考え、ひたすら練習。実際の面接でも、想定とは少し違ったものが出たものの、アレンジして何とか回答し、発音の良さもアピールできました。

 CAの採用は新卒の場合、ポテンシャル採用。つまり、「この子はちょっと教えればできるだろう」と思わせられれば、採ってもらえることも多いのです。

 花梨さんの場合、ネックになっていたのはコミュニケーション能力でした。とても口数が少なく、人と話すのが苦手だったのです。そこで、社会人の方々と話すときの言い回しや、ちょっとしたつなぎの言葉、「失礼いたしました」というタイミングなどを、面接練習の中で一つひとつトレーニング。言葉に詰まってしまったときも、じーっと黙ったまま考え込むのではなく、相手に配慮し、まずきちんと断りを入れるなど、社会人として、またCAとして、恥ずかしくないコミュニケーションの取り方を学んでもらいました。

二番手タイプこそ、活躍できるのがCA

 また、花梨さんは人と話すのが苦手だったことから、一番手ではなく、二番手にいることが多いタイプでした。そのため、よけいに「私なんかがCAになれるはずがない」と思っていたようです。でも実は、CA志望者にはこのタイプが非常に多い。そして、二番手で全く問題ないのです。なぜなら、CAとはホスピタリティーを提供する存在であり、お客様を主役にできなければならないからです。

 CA採用の現場でもたいてい、リーダーシップが取れるタイプ、マネジメントができるタイプ、リーダーを補佐するフォロワータイプなど、いくつかの層に分けて採っていますから、二番手タイプにも活躍の場はあります。そしてその場合、アピール材料とするエピソードも、さほど目立ったり際だったりしたものでなくてもよいのです。

 こうして努力を積み重ねた花梨さんは、ついにJALとANAから内定を獲得。この経験がとても大きな自信になったようで、悩んだ結果、ANAに入社するとのこと。「自分もこんなに伸びるんだ」とわかったことで、より挑戦や早い成長を求められるANAに身を置き、どこまで行けるかチャレンジしたいと考えているそうです。彼女は本当に、最初の頃とは比べものにならないほど、大きく成長しました。

 ですから、皆さんの中にももし、「畑違い」ということに悩んでいる人がいたなら、どうかそんなことに捕われず、少しでもCAをイメージし、自分自身との共通項を見つけていってほしいと思います。そうして一つひとつ丁寧にアプローチしていけば、必ず道は開けるはずです。

古澤有可(エアラインスクール進化系「ストラッセ東京」主宰)
プロフィル 古澤有可(エアラインスクール進化系「ストラッセ東京」主宰)

1988年10月、エアラインを目指す女性の支援活動を開始。自身も超難関である欧州航空会社の客室乗務員となり、9年半、ドイツ語、英語を駆使して世界のお客様へ接客をする。2018年には、支援者一人では困難といわれるエアライン内定数延べ100名超え(120名)を達成。年間2000名以上に、内定の術を指南する。女性のキャリア支援のパイオニアとして、幅広く活動。ストラッセ東京 公式HP http://strasse-tokyo.com

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