【エアライン / グランドスタッフに内定】 内定者インタビュー「不安や孤独感に勝てるのは、努力を重ねた自分だけ」

インタビュー 篠原真喜子

「自分は楽天的」と自負(?)する向坂さん。当初はなかなかスイッチが入らず、就活はわりと短期決戦だったのだそう。それでも、念願の企業からは見事内定をゲット! 一体、向坂さんはどんな努力を積み重ねたのでしょうか。気になるあれこれを、全部話していただきました。

向坂成美さん
プロフィル 向坂成美さん

文学部英語英米文学科。受験業界は航空、アパレル、ブライダル、損保。ES提出数11社、面接まで進んだ会社数10社、内定先は航空1社。

内定までの道のり

大学3年9月
夏の間はアパレルのバイトざんまい。夏休み後半、学内のエアラインセミナーに参加するが、それ以降は特に何もせず……
大学3年秋~冬
周囲がどんどん就活モードになり、さすがに焦る。自分には何もアピール材料がないと悩み、就活のネタになればと花屋で短期バイトを経験
大学3年3月
ようやく就活をスタート。朝日新聞のエアラインセミナーに参加し、周囲との違いにがくぜん。新聞も購読することに。セミナーで習った通りに、企業研究や自己分析も開始
大学4年4月
航空業界のES提出。内定者、現役社員、朝日新聞の就活キャリアアドバイザーの篠原さん、様々な人に助けてもらいESを完成させた
大学4年5月
各社の面接に追われる日々。面接前には、志望企業のWEBサイトや企業研究ノートを何度も見返し復習! 面接は順調に進むと思われたが……最終落ちが続く(涙)
大学4年6月
航空業界の面接開始。後悔したくないと学内のキャリアセンターに毎日通い、面接練習に打ち込む。そして、ついに念願のANAエアポートサービスから内定獲得!

「私には何もない!」からの脱却法

―― 向坂さんは、早くからエアラインに興味があったのに、就活スタートは遅めでしたね(笑)。

 はい。なかなか気持ちが就活に向かず、大学3年の夏休みも銀座のアパレル、「Abercrombie&Fitch(アバクロンビー&フィッチ)」でひたすらアルバイトしていました。就活を終えた先輩が「インターン? 別に行かなくても大丈夫だよ」と言っていたのをうのみにし、インターンも不参加。元々かなり楽天的な性格なんですが(笑)、「まだ大丈夫、就活解禁の3月から本気を出せばいいか!」と思っていました。今振り返ると、現実逃避していたのかもしれません……。

―― その逃避から目覚めたのはいつごろ?

 夏が終わり、焦りだけは出てきました。周りは「長期インターン参加」「留学」など就活に使えるネタを持っているのに、私には何もない。大学で頑張ったことと言えばアルバイトくらい。「どうしよう!アピールできることがない」って。アルバイトは大学1年から続けていたので、掘り下げればアピールできることはたくさんあると今ならわかるけど、当時はそれがわからなくて。「アルバイトは学業じゃないから自己PRにも使えない」と、妙な思い込みもありました。

―― 「アピール材料がない!」という悩みは、多くの学生から聞きます。向坂さんはどうクリアしたんですか?

 まず、アルバイトで接客をする際には、「話し方や言葉遣いに注意し、お客様には常に誠心誠意で向き合う」と決めて働くようにしました。というのも、自分なりに考えた結果、私には、すごい経験は何もないけど、焦って就活のために何か特別なことを始めるのも得策じゃない。それなら、日々の生活の小さなことでも自分の強みにできることがないか意識することで、何げない些細な一場面でも、日常の全てを自分の糧にしよう! という気持ちになったんです。アルバイト中の意識を変えるだけでも、自分の行動が変わり、それによってお客様の反応も変わり、たくさんの気づきや学びがありました。

大学1年から続けたアルバイト先で、仲良しの先輩と ※本人提供
大学1年から続けたアルバイト先で、仲良しの先輩と ※本人提供

―― とはいえ、就活スタートは3月……。よく間に合いましたね(笑)

 ほんと、間に合ってよかったです。3月に朝日新聞のエアラインセミナーに参加してスイッチが入ったんですよ。案内状に「私服で」とあったので私服で行ったら周りはみんなスーツ。「私服の子がいる!」と思ったら1、2年生。周りの学生との差にがくぜんとしました。セミナー中、ESのまとめ方や企業研究の深め方など、他の就活生がアドバイザーの篠原さんにいろいろと質問していきます。でも、私には質問自体が全然理解できない。「これは本当にやばい!!」と青ざめた瞬間でした。 完全に出遅れていることに気づいて、相当焦りましたけど、過ぎた時間は取り戻せない。短期集中でやり抜くしかないって、覚悟を決めました。

―― 具体的にはなにから始めたのですか?

 まず、企業研究ですね。就職フェアで内定者の企業研究ノートを見せてもらったので、それをまねして企業サイトや説明会の内容をまとめた「企業研究ノート」を作りました。あとは、企業研究する中でよく出てきた言葉・表現を書き出した「重要ワードノート」も独自で作りました。会社説明会で社員の方が複数回使っていた言葉、印象に残った言葉、企業理念で自分が共感できた言葉をどんどん書き出して、ノートに整理していきました。もともと、私はボキャブラリーが乏しいと思っていたので、こうやって集めた言葉が、ESを書いたり面接で話したりする際のいい材料になりました。

「企業研究ノート」(上)と「重要ワードノート」(下)。まとめるだけで満足しちゃうタイプ!(笑)なので、そうならないようにこまめに見直すなど気を付けたそう
「企業研究ノート」(上)と「重要ワードノート」(下)。まとめるだけで満足しちゃうタイプ!(笑)なので、そうならないようにこまめに見直すなど気を付けたそう

―― おおっ! これはすごいノートですね! ボキャブラリーが乏しいと悩んでいる学生は多いので、参考になりそうです。

 ボキャブラリーを増やすには新聞も役立ちました。これはCA内定者に教えてもらったのですが、朝日新聞デジタルの記事検索機能を使って、自分が言いたいことの言い換え表現を見つけるんです。新聞を「類語辞典」のように使うのですが、自分では思い浮かばないようないい表現が見つかります!

―― その使い方、もう少し詳しく教えて下さい。

 ESを書くとき、同じ言葉ばかりになってしまう悩みがあって、それを何とかしたいなと思いました。例えば、日常生活において、「周囲を笑顔にできる人でいよう」と決めていたのですが、それをアピールしようとすると「笑顔」という言葉ばかりが出てきて、なんだか幼い印象になってしまいます。そこで、「笑顔」で記事検索をしてみました。すると、集まった記事のなかに、「和顔施(わがんせ)」に関する記事があり、これだ! と思い、ESの「自分が大切にしていること」の欄で使いました。「和顔施。これは仏教用語で、人に対して笑顔で優しく接することを意味します。以前、瀬戸内寂聴さんに関する新聞記事で見かけ、大変感銘を受けました。私も、どのような状況でも周囲の人や環境を笑顔にできる、明るく前向きな人でありたいと考えています」という具合です。

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証明写真は専門のスタジオで撮影して、気合を入れたそう ※本人提供
証明写真は専門のスタジオで撮影して、気合を入れたそう ※本人提供

「新聞=カタくて難しい」と思っていたけど……

―― 新聞も上手に活用していますね! 読み始めたころは、「新聞を読むなんて無理かも」と言っていましたよね(笑)

 いい意味で裏切られましたね。自宅でとっていたのが経済紙だったので、新聞ってカタくて難しいものだと思っていたんです。でも、朝日新聞は気軽に読める「天声人語」や、面白いコラムもあり、抵抗なく読めました。あと、自分が興味のある言葉を登録しておくと、その関連記事だけが集まる「MYキーワード」も、効率的に情報収集できるのでよく使っていましたね。私は「全日空」「日本航空」などのエアライン関連のワードのほか、自分がひかれた「明るい」「笑顔」「思いやり」なども登録していました。

デジタル版のMYキーワードや記事検索機能を使って、受験企業に関する記事は欠かさずチェックしていた。 ※本人提供
デジタル版のMYキーワードや記事検索機能を使って、受験企業に関する記事は欠かさずチェックしていた。 ※本人提供
ESに使った「折々のことば」の記事。「和顔施」を知ったときは、「いい言葉を見つけた!」って感じでした。(向坂) ※本人提供
ESに使った「折々のことば」の記事。「和顔施」を知ったときは、「いい言葉を見つけた!」って感じでした。(向坂) ※本人提供

―― すごい! 使いこなしているじゃないですか! 新聞を読んでいたことは面接でも役立ちましたか?

 読んでいてよかった! と思ったこと、たくさんあります。気になるニュースについて聞かれることが多かったので、面接前にはデジタル版をチェックして、面接で話せそうな記事を一つか二つ用意していました。あと、私、片道2時間以上かけて長距離通学しているのですが、「長距離通学での過ごし方は?」聞かれたら、「新聞を読んでいます!」と答えていました。するとたいてい「へぇ~、何か気になる記事があった?」と聞かれるので、用意しておいた記事の話をするんです。さりげなく「新聞を読んでいる」アピールをする作戦です(笑)。

手ごわすぎる最終面接! 壁の厚さに涙の日々

―― 面接は順調に進めたんですね!

 それが、どの企業も1次、2次はわりと順調に進めたんですが、最終で落ちることが続いて、かなりへこみました。でも、今考えるとやはり、企業研究や自己分析が足りなかったのかなと。「その業界・企業がいい理由」ではなく、「その業界・企業でなければならない理由」が言えないといけないし、ガクチカでは「自分ならではの考えや経験」について言う必要がある。でも、そこが不明確なままでした。

―― 確かに、最終はそれまでの面接とは違うんです。1次、2次はどちらかというと、違う学生を「外す」面接。迷ったら残す。でも最終は、欲しい学生を「選ぶ」面接。だからどうしても、より深く考えていることを求められるんです。

 私は、最後の部分の突き詰めが甘かったのかなと。でも、そこに気づいたのが志望業界の面接開始前でまだよかった。その後は、学内のキャリアセンターに通い詰めて評判の講師の方にお願いし、猛特訓しました。

―― どんなことをしたんですか?

 一つひとつの事柄について、すべて「結論、具体例、成果」の順で考える、「結論ファースト」や論理的思考の特訓です。私、結論ファーストどころか、途中で何を話しているのかわからなくなっちゃうことが多くて(笑)。キャリアセンターのその講師の方は、1日1回しか予約できなかったので、平日は通い詰めて。「こんなに通ってきた人はいない」って言われました。おかげで、だいぶ論理的思考ができるようになりました。

論理的思考を猛特訓したノート ※本人提供
論理的思考を猛特訓したノート ※本人提供

―― よかった。では、志望業界の面接ではそれが生きたんですね?

 そうですね。実は、「内定がまだない!」という焦りでピリピリしてしまって、CAは2社とも最終で落ちてしまったんです。でも、キャリアセンターで論理的思考の方法を猛特訓していたので、面接でのやりとりに、少しずつ自信がついてきた時でもありました。ちょうどそんな時です。ANAエアポートサービスを受けて、「ここかもしれない」って運命を感じたのは。

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―― それは、どんな点だったんですか?

 とにかく面接の雰囲気がよく、自然体の自分で受けられました。「自分に合う会社」って本当にあるんだなと感じました。アルバイトをしていた「Abercrombie&Fitch(アバクロンビー&フィッチ)銀座店」は、ブランドとしても場所柄でも、日本にいながら世界中の人に会える場所ですが、GS(グランドスタッフ)も空港という場で、世界中からのお客様に会える仕事。だからこそひかれたし、大きなやりがいも感じたんだと思います。また、オリンピックを控え、これから世界中の人が行き交い、互いの文化や習慣を知るきっかけになる場所でもある。そこも魅力的でした。

―― 最後の最後に自分に合う企業から内定が得られ、本当によかったですね。

 はい。私の就活はかなり短期集中型だったので、今思えば、もう少し早く始めたら余裕を持って取り組めたと反省もしています。でも、かなり追い込まれたからこそ、必死になれた気がします。就活はツラいのも事実ですが、改めて周囲の人達に感謝できる素敵な機会です。勝負前の不安や孤独感に最終的に打ち勝てるのは、それまでに努力を重ねた自分だけ。自分で自分の背中を押せるよう、圧倒的な努力を積み重ねて、最後には笑ってほしいと思います。(構成 ライター・小元佳津江)

篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

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