責任感とは? 意味や自己PRで効果的に使う方法・例文まで解説します

<第55回> 構成 篠原真喜子
visualspace(Getty Images)
visualspace(Getty Images)

責任感とは? 自己PRで使う前に意味をチェック

 「責任感」を、自分の強みとしてESや面接でアピールしたいという学生をよく見かけます。でも、自己PRで使う場合には、いくつかの注意点があります。どんなふうに伝えるのが良いのでしょうか。

 まずは言葉の意味を改めて確認するところから始めてみます。「責任感」という言葉を辞書でひくと、「責任を重んずる気持ち」(大辞林 第四版)と説明されています。そして「責任」の定義は 「自分が引き受けて行わなければならない任務。義務。」 (大辞林 第四版)です。実際に使う時には、自分のことだけではなく、チーム全体など「自分以外」へも意識を向けている人を指して責任感が強い、と言われる場合が多いです。

責任感を自己PRで使う場合の注意点とは

tdub303(Getty Images)
tdub303(Getty Images)

責任感をアピールする学生はとても多い

 就活では、「責任感」をアピールする学生がとても多いです。責任感があることや、責任を持って仕事に取り組むことが、社会人にとって必須の能力であるためです。学生のみなさんにとっても、仕事において責任感が重要であることが簡単に想像できるからでしょう。だからこそ責任感をアピールする学生が多いのですが、あまり深く考えずに「責任感」をアピールしても面接担当者には伝わりません。

それは「責任感」といえますか?

 また、あなたが「責任感」を表すエピソードとして使った内容が、面接担当者には「当然の義務」を行使しただけであると捉えられることもあります。

 たとえば、新聞配達を例に考えてみましょう。新聞配達のアルバイトなら新聞を配ることは当然の義務です。ですから、単に「責任感を持って新聞を配達した」というエピソードを話すだけでは、面接担当者に納得してもらうことは難しい場合が多いというのはわかりますよね。

 もう一つ注意すべきポイントがあります。日頃、多くの学生さんと接していて感じることなのですが、頑張ったことや努力したことを「責任感」であると勘違いしている人がとても多いことに驚きます。しかし社会人になると、多くの場合、「最後まで頑張りました」では責任感があるとは言えないのです。
 何らのかの成果を出す、もしくは、期待した結果(目標)には到達できなかったとしても、結果を意識しながら最後まで取り組んでこそ、責任感があると評価されるのです。

責任感を自己PRで使う場合のテクニック

maroke(Getty Images)
maroke(Getty Images)

 ESや面接で「責任感」をアピールしたい場合には、「責任感」をもって取り組んだ結果や、その結果として得たこと、学んだことが、仕事に生かせる能力だというふうに話を展開するといいですね。その際、具体的なエピソードもしっかり交えてください。

 また、「責任感」のように、多くの学生がアピールするネタの場合は、言い換える言葉を探すのもおススメの方法です。「責任感」というと、面接担当者によっては「あぁまたか」と思う可能性もあります。少しひねりを入れた表現に変えることも考えてみましょう。

 「(困難な状況だったが)最後まで責任を持ってやり遂げた」「問題にぶつかっても、一つのやり方にとらわれず様々な解決策を考え、結果につなげた」「どんなことにも当事者意識をもって取り組んだ」など、表現のバリエーションを広げてみてください。

 さて、次の章からは、実際に面接でどのように責任感をアピールできるのか、NG回答とOK回答の例を挙げて説明していきます。

「責任感」のNG使用例文

maroke(Getty Images)
maroke(Getty Images)

NG使用例①当然の義務を責任感と勘違いしている

<例文>

 私は高校時代から新聞配達のアルバイトをしています。私の担当エリアには団地が密集していて購読者の数も多いのですが、すべての家庭に間違いなく新聞が届くよう、毎朝責任感を持って配達してきました。

●ポイントを解説!

 この例文は、当然の義務を果たしていることなのに、責任感があると勘違いしている事例です。

 新聞配達のアルバイトをしている人が「新聞を届ける」のは当たり前で、責任感の有無とは基本的に無関係です。たとえば、「効率よく正確に業務を行う工夫をした結果、配達ミスゼロかつ、他の人が一人250部配るところ350部配っている」などのエピソードなどがあれば、ぜひ具体的に説明してみるとよいでしょう。面接担当者を納得させる「プラスアルファ」を付け加えることも意識してみましょう。

NG使用例②おしつけがましい責任感

<例文>

 私は大学2年のときに、ある学生サークルの部長をしていました。そのサークルには50人ほどのメンバーがいて、それぞれ役割分担があります。しかし中には真面目に活動に参加しない人たちもいて、そういった人たちはサークル活動においてマイナスでしかありません。そこで、徹底的に注意・指導することで改善に取り組んでいきました。

●ポイントを解説!

 本人は責任感をアピールしているつもりですが、これでは、周りの人の事情などを聞かずに、一方的に自分のやり方や考え方を押し付けているようにも取られかねません。責任感を果たす過程において、周囲を思いやる意識が伝わってくる方が好ましいでしょう。注意した際に、自分なりに工夫したこと、相手を思いやった点などがあれば、伝えておくのもよいですね。

NG使用例③印象が薄く責任感がイメージできない

<例文>

 私は高校時代、ハンドボール部のキャプテンをしていました。私は初心者だったのですが、担任から「お前は責任感があるから」と言われ、キャプテンを引き受けることになりました。部を引っ張るのは大変でしたが、担任や部員の期待に応えるために努力し、高校3年の引退までやり遂げました。

●ポイントを解説!

 全体として印象が薄く、責任感のアピールにつながりません。面接担当者から「それで?」と言われないためにも、キャプテンとしてどのように行動し、どんな工夫をしたのかなど具体的なエピソードを語ることで、面接担当者に「責任感がある」と思ってもらえるようにしたいものです。

「責任感」のOK使用例文

maroke(Getty Images)
maroke(Getty Images)

 それでは、OKと言える使用例文について見ていきましょう。

OK使用例①単なる義務以上のエピソード

<例文>

 私は高校時代から新聞配達のアルバイトをしています。私の担当は団地が密集していて、すべての新聞を配り終えるまで2時間以上かかるエリアでした。営業所の目標は「朝7時までにすべて配り終える」ことだったため、私は毎朝3時に出勤して折り込み作業をしていました。あるときバイトの仲間が事故で入院し、担当エリアの一部を私が引き受けることになりました。1時間近く余計に時間がかかるため、所長さんは「目標達成は無理しなくていい」と言ってくださったのですが、私は新聞を待っているお客様のために、より早く起きることを心がけました。結局仲間が復帰するまで半月かかりましたが、それまで毎日欠かさず目標を達成することができ、所長さんから「責任感が強い」とお褒めの言葉をいただきました。

●ポイントを解説!

 アクシデントで負担が増えた際に、「全体の目標」や「お客様のため」に努力したというエピソードです。人のことであっても自分ごととしてとらえている点が、責任感が強いと感じることができます。また、自分から「責任感が強い」と言うのではなく、他人から「責任感が強い」と評価された話も好印象です。

OK使用例②人への配慮がある責任感

<例文>

 私は大学2年のときに、ある学生サークルの部長をしていました。そのサークルには50人ほどのメンバーがいて、それぞれ役割分担がありました。ある大きなイベントを控えていたときのことですが、何人かのメンバーが真面目に参加せず、準備が滞ってしまったことがありました。このままでは関係者全員に迷惑がかかると考えた私は、メンバーひとりひとりと話し合い、全体の役割分担を見直すことにしました。話し合いには時間がかかりましたが、結果としてみんなが納得できる配置になり、それまで活動に消極的だったメンバーもきちんと準備に加わるようになりました。イベントも無事に終了し、メンバーや関係者全員から感謝され、今では「部長をやって良かった」と心から実感しています。

●ポイントを解説!

 このエピソードには「責任」という言葉が一度も出てきませんが、リーダーとしての責任感が発揮されていると思える内容です。誰もが使いがちな言葉は、一見すると陳腐に見えることもあります。ですので、具体的なエピソードを重ねることで、責任感のある人間だと思ってもらえる書き方は非常によいですね。この場合は、ちゃんとみんなが納得する状況を作ることで、全体にとって結果を導くなど、自分本位に役割分担を決めてしまうのではなくて、ちゃんとチームへの配慮が見られる責任感と言えるでしょう。

OK使用例③責任感を身につけたエピソード

<例文>

 私は高校生時代、ハンドボール部のキャプテンをしていました。私は初心者でしたが、担任から「お前は責任感があるから」とキャプテンを任されました。最初のうちはどのように部を引っ張ったら良いかわからず戸惑いましたが、社会人チームの試合を見学したり、図書館でコーチングに関する本を調べたりして知識を身に着けるよう努めました。また担任や部員と定期的なミーティングを行い、どうすれば効果的に練習できるか試行錯誤を繰り返しました。それまで「どうせ自分は未経験だから」と考えていた私ですが、これらの経験の中でキャプテンの自覚が目覚め、次第に責任感が養われていったと感じています。結果として高校3年生のときにはチームを地区大会優勝に導くことができ、チーム全員と喜びを分かち合いました。

●ポイントを解説!

 社会人チームの試合を見学するなど、キャプテンとして努力した内容が具体的に書かれており、それによって責任感が養われたことを伝えています。このエピソードを聞くと、壁にぶつかってもあきらめず、自分で乗り越えようと努力する人だと感じられ、会社に入った後の仕事への取り組み方が想像しやすくなるのでよいでしょう。

最後に

 今回は、多くの学生がESや面接の場でよく使う「責任感」について説明してみました。誰もが知っている言葉にこそ、実は落とし穴があります。深く考えずに使うと、意図が相手に伝わらないだけでなく、逆にマイナスのイメージを植え付けてしまうことにもつながります。いま一度、自分の経験談は本当に「責任感」があるといえるのか。就職活動の前にもう一度、考えてみてください。

篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

この記事をシェア