噂に聞く圧迫面接とはどんなもの? 意味や対処法をキャリアコンサルタントが解説

<第56回> 構成 篠原真喜子
AH86(Getty Images)
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噂に聞く圧迫面接とはどんなもの?

圧迫面接とは

 「圧迫面接」という言葉を知っていますか? 先輩から「圧迫面接を受けた」と聞いたことがあったり、なんとなく怖いもの、というイメージがあったりするのではないでしょうか。
 圧迫面接とは、一般的に面接担当者が受験者に対して、わざと意地悪な質問を投げかけたり、威圧的・高圧的な態度をとったりする面接形態のことを言います。学生の反応を通して、以下のような能力や適性を確認するために行われています。

  • ストレス耐性
  • 冷静な対応力
  • コミュニケーション能力

いわゆる「圧迫面接」自体は減っている

 しかし、はじめにお伝えしておくと、ここ数年は売り手市場かつ、企業モラルが問われる時代なので、いわゆる「圧迫面接」をする企業は大幅に減っています。では、なぜ「圧迫面接」を受けたと感じる学生が多いのでしょう。これは、実際には「圧迫面接」ではない普通の面接なのに、準備不足により学生が「圧迫だ」、と感じていることが多いように思います。
 私もよく採用面接を担当しますが、たとえば、質問に対してうまく答えられない就活生がいた場合、質問の仕方を変えたり、「なぜ?」「どうして?」と深掘りしたりすることがあります。それは、学生のことをより深く知りたい、理解したという気持ちの表れですし、面接担当者によっては助け舟を出しているつもりかもしれません。ところが、準備不足であるがゆえにそれが「助け舟」や「より学生を理解したい気持ちの表れだ」とは感じられず、「僕が答えられないのに、さらに突っ込んできた。圧迫だ!」と人のせいにしてしまう。そんな学生がいるのも事実です。これはとってももったいないことだと思います。

 ですから、事前準備をしっかり行なっておくことで不必要に「圧迫面接」と感じることなく、面接に臨めるのではないかと考えています。

圧迫面接のパターンについて

maroke(Getty Images)
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 ここまで見てきたように、圧迫面接と言われるものには、多様な背景があると考えられます。大きく以下3つに分けられるのではないでしょうか。

  1. 面接担当者には、学生を圧迫する意図はない。ところが、学生からすると「リアクションが薄い」「表情が硬く怒っている」「一生懸命話しているのに好意的に受け止めてくれない」と感じられ、圧迫面接と誤解している
  2. 「圧迫面接」ではないのに、準備不足により圧迫と感じている
  3. 意図しておこなう「圧迫面接」

 上でも説明してきたように、1. 2.については学生側の準備不足や受け取り方が要因のひとつになっていると言えます。まずはこれらに対する対処方法についてお伝えします。

「圧迫面接」と感じて実力を発揮できないのはもったいない! 準備は万全に

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 本来は圧迫面接ではなくても、「圧迫された」と感じて実力を発揮できないのはもったいないことです。きちんと準備(対策)をしてコツを掴めれば、落ち着いて対応できる場合も多いでしょう。

そもそも社会人と話すことに慣れておこう

 ほとんど学生同士でしか話をしたことがないのに、いきなり面接の場で社会人からいろんな質問を投げかけられると、緊張しますし、勝手が分からず焦ってしまうでしょう。できるだけ就活が本格化する前に、会社説明会で気になる企業の担当人事に質問したり、OB・OG訪問をしたりして、「社会人と話す」ことに慣れておきましょう。

質問に対する回答はシンプルかつ根拠を

 面接担当者からの質問を「圧迫」であると感じるひとつに準備不足を挙げましたが、事前準備によって、ある程度は緊張や焦りを回避することができます。

  • 聞かれたことに対し、内容や意図を理解して的確に答えること
  • 結論を先にシンプルに伝えること
  • 理由や根拠、具体的な例を簡単に添えること

 これらの基本的なルールを意識して、少なくともESに書いた内容については、どんなことを聞かれそうか事前に想定し、説明する練習をしておきましょう。できれば先輩や友人に協力してもらい、ESからどんなことが聞かれそうか考え、それを実際に口に出して説明してみるといいですね。こういった基本的なことをあなどらず、事前に対策するだけでも、ずいぶん違うものです。気持ちに余裕が生まれるはずです。そのほか以下の記事でも緊張を避ける方法について説明しているので、こちらも参考にしてみてください。

参考:Q.面接で回答するとき、緊張して言葉につまってしまいます。何かいい方法はありますか?

意図的な圧迫面接の特徴と対処方法について

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 圧迫面接は減ってきたとはいえ、いまだに存在するのも事実です。リスクを背負ってでも企業が行うのは理由があります。前述のとおり、「ストレス耐性」「冷静な対応力」「コミュニケーション能力」などを見たいからです。
 そこで、圧迫面接が意図して行なわれる場合と、対処方法についても説明していきます。これらについても事前準備を丁寧にやっておくことと、感情的にならずに落ち着いて対処することで乗り切れるものです。見ていきましょう。

パターン①すべての回答に対して反論される

 学生の回答に対して面接担当者が反論し続ける、ということが圧迫面接において見受けられます。たとえば、「自分の強みは責任感があることです」と伝えたとしても、「責任感があるのは仕事で当たり前。それ以外に何かないんですか?」と質問を重ねたり、「エピソードに具体的な納得感を感じませんでした。それ以外に根拠となるエピソードはありませんか?」など、反論や深掘りが続いたりする場合があります。

そのような質問をしてくるのにはいくつか理由が考えられます。

  • 急な質問にも機転を効かせて納得感のある回答ができるか
  • 感情的にならず冷静に対処できるか

 面接担当者は、どんな質問にも落ち着いて明快に回答できるかという点を見ています。「もし面接担当者がこういう質問をしてきたら?」とか、「面接担当者がこういう反論をしてきた場合にどう回答しようか」など、実際の面接の場面を思い浮かべながら準備しておくとよいでしょう。「答えたことの根拠を示すことができるエピソードを複数パターン考えておく」のも良いですね。

パターン②他社のほうが向いているのでは? と聞かれる

 面接担当者から「あなたは当社よりも、○○(ライバル企業)のほうが向いているのではないですか?」と聞かれることもあります。志望度合いを確認した質問ですが、こちらも事前の心構えがないと、びっくりしてしまうでしょう。企業研究を行い、業界内の企業ごとの社風や特徴、強みを予習しておきましょう。

・自分自身はこういう性格・強みがあるから御社のほうがより貢献できる

と、いま面接を受けている会社でこそ自分の強みを活かすことができることをアピールしましょう。当日慌てることがないよう、事前準備を徹底するに尽きます。

パターン③「なぜ」をひたすら掘り下げる

 コンサル業界などでよくあるパターンですが、学生の論理的思考力を見るために「それはなぜですか?」と理由を掘り下げて質問されるケースがあります。トヨタの「なぜなぜ分析(5回なぜを掘り下げて考える思考法)」にもあるように、なぜを深掘りすることで原因や理由が明確になると言われています。
 とはいっても、論理的に回答しようと思うと緊張してしまいますよね。日頃から、結論に対してなぜを5回掘り下げておく習慣を身につけておきましょう。
 「ロジックツリー」と呼ばれるフレームワークなどを使いながら、面接で実際に想定される質問や志望動機を就活ノートに書き込んで練習するのがおすすめです。社会人の先輩などからも、フィードバックをもらいながら準備しておきましょう。

度を超えた圧迫面接なら選考辞退も考えよう

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 ここまで説明してきたように、圧迫面接かどうかは個人の感じ方による部分も大きいわけです。しかしながら、明らかに度を超えている場合は、選考辞退を考えてもよいでしょう。度を超えていると考えられる、ふたつのポイントを紹介します。

  • 学生の人格にかかわる否定的なコメント
  • 学生の思想・信条にかかわることに対する質問や議論

・学生の人格にかかわる否定的なコメント

 学生の性格や家庭環境など、人格形成にかかわる否定があったとしたら、その企業はおすすめできません。このようなことは多くないとは思いますが、「内気そうに見えるけど、家庭環境に何か原因があったの? うちで通用するタイプには見えないな」など、内面や家庭環境などにふれた否定的なコメントがその一例です。
 憲法にも「基本的人権の尊重」とあるように、人格や個性は尊重されるものであるからです。だからといって、途中で面接の席を退出する・帰ってしまうというのは、それはそれでマナー違反ですので避けるようにしましょう。

・学生の思想・信条にかかわることに対する質問や議論

 また、学生の思想や信条にかかわる質問や議論をしてくる企業であれば、要注意です。こちらも基本的にはないとは思いますが、印象に残っている書籍などを尋ねたうえ、学生が「○○が好きです」と答えると「○○を愛読しているの? それだと考え方に問題があるんじゃない?」といったコメントが一例として挙げられます。
 面接担当者でこうしたマナーを知らないとしたら問題ですし、知ったうえでやっていたとしても、入社後のことが思いやられますよね…。厚生労働省が「公正な採用選考の基本」の中で、以下のような方針を発表しています。愛読書や尊敬する人物もダメなの? と意外に思うかもしれませんが、企業の面接担当者はこうしたルールのもとで、学生と接することが求められています。そのため、もしこうした対応に出会ってしまったら、自分のためにも選考辞退することを考えてみてください。

  • 宗教に関すること
  • 支持政党に関すること
  • 人生観、生活信条に関すること
  • 尊敬する人物に関すること
  • 思想に関すること
  • 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
公正な採用選考の基本(厚生労働省)

最後に

 ここまで、圧迫面接が行われる意図やその対処方法について説明しました。多くの場合、企業は何らかの意図をもって面接に臨んでいるので、その意図を読むことが大切です。想定される質問に対する事前準備を行い、本番は冷静に最後まで乗り切ること。
 でも、万が一度を超えていると感じた場合は、選考辞退をするのもひとつの手であることを忘れないでくださいね。

篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

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