「働くとは何ですか」と面接で聞かれたらどう答える? NG例と正しい回答例をキャリアコンサルタントが解説

<第57回> 構成 篠原真喜子
AH86(Getty Images)
AH86(Getty Images)

「働くとは何ですか?」と面接で聞かれたら

 面接で、「あなたにとって働くとは何ですか?」という質問をされることがあります。一見すると抽象的な質問なので、どう答えたらよいか悩む人も多いでしょう。あるいは、「大人になったら働くのは当たり前だし、考えたこともない……」という人もいるかもしれません。

 しかし就活中のみなさんにとって、この質問にどう答えるかはとても重要な問題です。面接担当者は、学生の「働くこと」に対する回答や考え方から、その人の価値観や仕事への意識、会社への熱意などを知ろうとしています。回答の内容があまりにも企業の社風とかけ離れていると、「この学生は本気ではないのかもしれない」と思われてしまうこともあるので、しっかり対策をしておきましょう。

 いきなり聞かれるとうろたえてしまうかもしれませんが、事前準備をしておけば大丈夫です!

面接で「働くとは何ですか」と聞かれたときの注意点

itakayuki(Getty Images)
itakayuki(Getty Images)
 

まずは、質問の意図を考えてみましょう。

「企業選び、仕事選びの軸」を聞かれている

 「働くとは?」と聞かれたら、例えば、お金を稼いで生活するため、自己成長のため、社会貢献のため、理想の暮らしを手に入れるため……など、働くための根本的な理由を見つけ出そうとするかもしれません。もちろん、それも間違いではありません。

 ただ、就活の場面においては、このような回答では、面接担当者が質問した意図とずれてしまう可能性もあります。上記のような大前提となる考えを聞きたいのでなく、「企業選び、仕事選びの軸」や、「企業や仕事を選ぶ際に重視すること」を聞きたいという思いが隠れていることが多いからです。

 では、どう答えるのがよいか? まずは、注意点からお伝えします。

自分中心の答えは×。自分のためにだけに働くと思われないようにする

 学生にはいつも、「自己都合の理由だけを並べ立てた回答にならないように」と伝えています。たとえば「福利厚生が整っているから」「仕事とプライベートのバランスが取りやすそうだから」などの回答が、まさにそうした「自己都合の理由」と言えるでしょう。

 たしかに、世の中の流れとしても「働き方改革」が推進されており、ワーク・ライフ・バランスを意識した働き方が求められる時代です。ですが、それを仕事や会社選びの際に最も重要視していると思われるような回答をしてしまうと、マイナスの評価につながる可能性があります。志望する企業に対して、あなたがどのような貢献ができるのか? という視点を加えて回答するといいですよ。

経験も交えて具体的に答える

 この質問に限ったことではありませんが、面接担当者は、なぜそう思うのか? という理由や根拠を面接のやりとりの中で知りたがっています。そのため、できるだけ自分の体験もとに話せるようにしておきましょう。

 大した経験なんてしてないし、そんな経験をどうやって伝えればいいか不安……。そんな人は、伝え方でカバーしましょう! 基本的なことですが、<結論→経験談を交えて理由を説明>という流れで納得感のあるストーリーを語ることができるように、事前準備をしておくといいですよ。

面接で「働くとは何ですか」を聞かれたときのNG回答例

maroke(Getty Images)
maroke(Getty Images)

 学生のみなさんが、ついやってしまいがちなNG回答例から紹介していきます。「自分は大丈夫!」と思わずにチェックしてみてください。

NG回答例①

<例文>
 私にとって、働くとは「自分自身の成長のため」だと考えています。御社は、海外と取引があり、英語を使う業務が多いと伺いました。私は、英語が得意で、今後さらに英語力を高めていきたいと思っています。そういう意味で、仕事をしながら英語力を高められる貴社の仕事はとても魅力的です。仕事を通じて自己成長ができること、これが私にとっての働くということだと考えます。

・ポイント解説
 仕事を通じた自己成長は大事なことですが、この書き方ですと、自分だけが成長できればいいとも読めます。先に説明してきたように、働くことの目的が自己都合になってしまっていますね。これで魅力的な学生だと判断してもらうのは難しいでしょう。あなたが英語力を高めることで、その会社にどう貢献できるのか、どんなふうに役立ちたいのか、という視点も加えられるとよいと思います。

NG回答例②

<例文>
 働くとは「楽しく充実した生活をおくるため」だと考えています。大学時代は、家庭教師や居酒屋のアルバイトなどを掛け持ちして、アルバイトに精を出してきました。なぜなら、自分の自由になるお金があると、遊びに出かけたり、スポーツ観戦に行ったり、とても充実した生活を送れるからです。サッカーが大好きなので、自分が存分プレーするだけでなく、思う存分サッカー観戦をして日々の生活を充実させるためにも、一生懸命働きたいと思っています。

・ポイント解説
 楽しく充実した生活を送るために働く、もちろんその通りです。ですが、自分の話だけになってしまっており、採用する側からしたら「自分のことばかり……。常に仕事よりもプライベートを優先する人なのではないか?」と不安に思うかもしれません。たくさんのアルバイト経験から得たことがあるはずです。それを入社後どう生かしたいのか、それらの経験から見つけた仕事選びの軸などを伝えらえるといいですね。

面接で「働くとは何ですか」と聞かれたときの回答例

maroke(Getty Images)
maroke(Getty Images)

 NG回答例をふまえたうえで、正しい回答例について見ていきましょう。

OK回答例①

<例文>
 働くとは「誰かの幸せのため」だと考えています。私が尊敬する先輩で、転職エージェントの仕事をしている人がいます。転職希望者を企業に紹介して利益を生む仕事ですが、いま転職すべきでない人が来たときには、転職をおすすめしないそうです。そうして残った会社で、その方が昇進した話を聞いたときには心底嬉しかったとおっしゃっていました。私は先輩から、「人のために頑張る姿勢」を学びました。以降は、私も化粧品販売のアルバイトで商品を売ろうとするのではなく、お客様の悩みを解決して幸せになってもらうという姿勢で接客しております。そうすることでお客様の信頼を得て、結果として売り上げもアップさせることができました。

・ポイント解説
 自分のことばかりでなく、相手のため、誰かのために働いていることが伝ってくる内容で、誠実な印象です。自分のやり方にとらわれずに、先輩を見て行動や思考を変えている点も好印象を与えるでしょう。またそれが成果につながっている点も、高評価です。入社後の働く姿勢がイメージでき、「この人なら入社後活躍してくれそう。一緒に働く人として安心だ」と感じてもらえるのではないでしょうか。

OK回答例②

<例文>
 働くとは「お客様の笑顔のため」だと考えています。私は大学1年から、テーマパークでアトラクション運営のアルバイトをしています。私にとって、今やここで働くことは日常ですが、数年に一度パークを訪れるお客様にとっては特別な一日です。その特別な一日を快適にお過ごしいただき、素敵な思い出にしていただくために、私にできることは何かを常に考えています。泣いているお子さまにはキャラクターのシールをプレゼントしたり、「行ってらっしゃい」の声掛けもお客様に合わせて十数パターン用意したりしています。これまでに、お客様からいただいたお礼の手紙は13通になりました。私の宝物です。

・ポイント解説
 具体的なエピソードが書かれており、「お客様の笑顔のため」に働いている様子が想像できます。人となりがイメージできますし、読んでいて納得感もありますね。特に、ホスピタリティー業界、お客様と接する仕事に適性がありそうで、入社後の成長にも期待できそうです。

最後に

 面接で「働くとは何ですか?」と聞かれたときの注意点やNG回答例・正しい回答例などを紹介しました。面接担当者はその人の価値観や仕事への意識、会社への熱意などを知ろうとしていますので、自分本位の回答にならないように注意して。ついうっかりNG回答例に近い受け答えをしてしまうことがないよう、事前準備をしっかり行っておきましょう。

篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

この記事をシェア