【航空業界に就職するには】 求められる要素や体験談を要チェック!

<第58回> 構成 篠原真喜子
日本トランスオーシャン(JTA)の首里城特別デザイン機=2020年1月(C)朝日新聞社
日本トランスオーシャン(JTA)の首里城特別デザイン機=2020年1月(C)朝日新聞社

航空業界とはどんなところ?

 航空業界といえば、大学生の人気企業ランキングで毎年上位を占めている人気業界です。マイナビが2020年卒向けに実施した「就職人気企業ランキング」文系女子編では、ANAが1位、JALは3位にランクインしています。

 多くの就活生が憧れる航空業界とは、実際どのようなところなのでしょうか。「朝デジ就活ナビ」の過去記事をまとめつつ、航空業界を志望する人に求められる素養や内定者の体験談をご紹介していきます。

ジップエアの制服は、動きやすさを重視し靴にはスニーカーが採用された=2019年4月(C)朝日新聞社
ジップエアの制服は、動きやすさを重視し靴にはスニーカーが採用された=2019年4月(C)朝日新聞社

航空業界の動向

 航空業界の動向からチェックしていきましょう。

 近年はインバウンド観光客の増加による観光市場の成長とともに、航空業界も成長傾向にあります。日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2019年の訪日外国人客数は 3188万2000人で、これは統計を取り始めた1964年以降で最多の数字です。世界的に流行している新型コロナウイルスの影響などが懸念されるものの、今年夏の東京オリンピックや2025年の大阪・関西万博(日本国際博覧会)など大型の国際イベントも控えていることから、航空業界の需要もさらに拡大していくと期待されています。

 現在、国内の航空業界では「日本航空(JAL)」「全日空(ANA)」の2社が大きなシェアを占めています。2018年から2019年の売上高は、ANAを含むANAホールディングスが2兆583億円、JALも1兆4860億円近くで、3位のAIRDO(448億円)に大きな差を付けています。

 また従来型のサービスを提供する「フルサービスキャリア」だけでなく、2019年にはANAホールディングス傘下の「ピーチ・アビエーション」と「バニラ・エア」が統合したり、JALが新たに設立した「ZIPAIR(ジップエア) Tokyo」が2020年に就航する予定だったりと、格安航空会社(LCC)の競争も激しさを増す一方です。同じ航空業界とはいえそれぞれの会社には独自の強みや特徴がありますから、就活の際は個別の企業研究が欠かせません。

 個性豊かな職種が存在するのも航空業界の特徴です。飛行機を操縦する「パイロット」や整備を行う「整備士」、保安業務や機内サービスを担う「キャビンアテンダント(CA)」、搭乗手続きや搭乗案内といった地上業務を専任する「グランドスタッフ(GS)」などなど…。もちろん、そのほか総合職での採用もあります。

 今回は、航空業界のなかでも「客室乗務員」にフォーカスしてお話していきたいと思っています。

航空業界(キャビンアテンダント)に求められる要素

JALが東京―ロサンゼルス線に就航して60年。記念式典では歴代の客室乗務員の制服が披露された=2019年5月(C)朝日新聞社
JALが東京―ロサンゼルス線に就航して60年。記念式典では歴代の客室乗務員の制服が披露された=2019年5月(C)朝日新聞社

 キャビンアテンダントの内定を得ることは簡単ではありません。ここ数年のANAやJALの客室乗務員採用数は500~700人程度です。一見すると大量採用のようにも見えますが、ここに毎年数万人の学生がエントリーすると考えれば、かなりの狭き門。 激しい競争を勝ち抜くには、しっかりした勉強と対策が不可欠です。
 「朝デジ就活ナビ」で連載をもつ古澤有可先生のコラム「朝日エアラインスクールonline」によると、キャビンアテンダントには大きく「6つの要素」が求められます。

 コミュニケーションの入り口となる「第一印象」を磨くことはもちろん、「英語力」「体力」「国語力」「こだわり・取り組む力」「情報収集力」が欠かせません。

 ご存じの通り客室乗務員は、機内という限られた空間で、いつどのような問題が起こっても迅速かつ正確に対応できる能力が求められますので、体力的にも精神的にもタフであることはもちろん、それ以外にも多くの資質が必要とされるのです。では、さっそく6つの要素の「身につけ方」を説明していきます。

【過去記事】キャビンアテンダントに必要な要素とは?

第一印象

 人の第一印象は「身だしなみ・言葉遣い・所作」の三本柱で形作られます。

 身だしなみについては、まず「清楚(せいそ)・上品・清潔感」のバランスに注意しましょう。言葉遣いも同様で、学生言葉を避けるのはもちろんですが、一方で学生らしさを失った丁寧過ぎる言い回しを無理して使うようなことは避けましょう。

 大切なのは言葉遣いを間違えないことではなく、間違えたときに「申し訳ございません。表現のしかたを間違えてしまいました。言い換えますと〇〇です」と言い直せる「素直さ、謙虚さ」です。所作については、まずは立ち方や座り方、おじぎの仕方といった基本を押さえることが重要です。これらは、普段から気を付け、実践していくことが重要です。OB・OG訪問など、社会人と接する機会を積極的につくり、場数を踏んで、自然な所作を身につけていきましょう。

【過去記事】第一印象をよくするための基本的な考え方
【過去記事】第一印象の磨き方――身だしなみ編
【過去記事】第一印象の磨き方――言葉遣い編
【過去記事】第一印象の磨き方――所作編

英語力

 ANAやJALでは、キャビンアテンダントの応募資格欄に「TOEIC 600点以上の英語力を有すること」という条件が記載されています。外資系の航空会社では、もっと高い点数を求められることもあります。ほか、GTEC(ベネッセが実施する英語4技能検定)や会社指定のテストで代替できるケースもありますが、いずれにしても付け焼き刃の勉強では間に合いません。英語力が基準に達していない学生は、早めの対策が必要です。現在の英語力によっては、中学校で使う英文法テキストのおさらいから始めるなど、地道な努力と工夫も必要です。

【過去記事】キャビンアテンダントに必要な要素とは?
【過去記事】キャビンアテンダントに必要な英語力の身につけ方<前編>
【過去記事】キャビンアテンダントに必要な英語力の身につけ方<後編>

体力

 機内で数時間から数十時間の業務をこなすキャビンアテンダントには一定の体力と筋力が不可欠です。このためキャビンアテンダントの試験には、身長・体重測定など「身体検査」がつきものです。検査項目の中には眼科や耳鼻科のように事前の対策が難しいものもありますが、体重や体力などは「食事量と運動量を見直す」などの工夫で、ある程度カバーできます。水泳やランニングといった有酸素運動は、筋力アップはもちろん、代謝を増やすことで効率的な減量にも効果的です。

【過去記事】キャビンアテンダントに求められる身体的条件と体力・筋力
【過去記事】エアラインを目指すならダイエットしたほうがいいですよね?

国語力

 会社を代表してお客様と接するキャビンアテンダントには、高い国語力が必要です。もちろん採用試験の現場でも、ESから面接まで学生の国語力が厳しくチェックされます。学生言葉やありがちな表現から卒業し、魅力的な言葉や適切な表現を使うことで、「この学生を採用したい」「この学生なら、客室乗務員としてお客様の前に出しても大丈夫だ」と採用担当者に感じてもらうことが必要なのです。

 キャビンアテンダントにふさわしい国語力を身につけるには、まずインプットです。新聞を読んだり、ホスピタリティーなどをテーマにしたビジネス書を読んだりするなど、「短くて優れた文章」をに触れることが効果的です。加えて、キャビンアテンダントを目指す仲間と多く交流できる環境に身を置くのも良いでしょう。人の言葉遣いや表現方法は、周囲に影響されることが多いからです。友達同士のぬるま湯のような環境に浸るのではなく、ときには「(所属する)コミュニティーを変える」という思い切った行動も必要かもしれません。

【過去記事】キャビンアテンダントに求められる国語力<前編>
【過去記事】キャビンアテンダントに求められる国語力<後編>

こだわり・取り組み

 航空業界のESや面接では「こだわりをもち、チームなどでの取り組みをしているか」についてよく聞かれます。こうした質問は、学生の「集団内での動き方」や、「コモンゴール(共通の目標)」に向けて自ら目標を設定し、PDCAを回しながら行動できるかどうかを見るために行われるものです。ESや面接で採用担当者に具体的なイメージを伝えられるよう、他己分析などを通じて自分の特徴を把握するとともに、チームの中で貢献できる強みやスキルなどを見つけておくことが重要でしょう。

【過去記事】キャビンアテンダントに必要な「何かに取り組む力」とは?

情報収集力

 航空会社がこれからの時代に求めているのは、採算について考えたり、会社に意見や改善策を提言したりできるなど、「自分の考えを持って働ける」キャビンアテンダントです。いまや、グローバル化も進み、お客様が世界中の航空会社を選べる時代です。分業制の時代は終わり、一般職である客室乗務員であっても総合職的な意識をもって働かなければ、生き残ることが難しくなってきました。そのような人材になるには日頃からの「情報収集力」が欠かせません。

 たとえば、一見してキャビンアテンダントに関係なさそうな新聞記事も「航空業界に置き換えたらどうか」という観点で読んでみてください。意識の持ち方次第ではさまざまな情報を読み取ることができるはずです。他にも、ときには「お金を払って一流のサービスを受けに行く」こともおススメします。今、自分が想像できる範囲を越えた体験をすることで、知見を得たり価値観を広げたりしていくのです。

【過去記事】キャビンアテンダントに必要な「情報収集力」とは

航空業界に内定した先輩の体験談もチェック

全日空グループの入社式。退役したボーイング747型機の前で新入社員が記念撮影をした=2014年4月(C)朝日新聞社
全日空グループの入社式。退役したボーイング747型機の前で新入社員が記念撮影をした=2014年4月(C)朝日新聞社

 航空業界を目指すなら、キャビンアテンダントの内定を獲得した先輩たちの経験は大いに参考になります。エアライン内定者にインタビューした記事も見ていきましょう。

やるべきことに対して積極的な心構えを

 インターン選考での落選や、第2志望だったブライダル業界でグループディスカッションに苦戦するといった「挫折」を乗り越え、最終的に航空3社からキャビンアテンダントの内定を獲得した北方さん。波乱に富んだ「内定までの道のり」からは、「やる、やらないで迷ったら、やる!を選択する」という積極的な心構えの大切さを知ることができます。

【過去記事】【エアライン / 客室乗務職に内定】 内定者インタビュー「カギは、“やる・やらない”で迷ったとき、“やる!” を選び続けたこと」

さまざまな人に活躍のチャンスがある

 文系のイメージが強いキャビンアテンダントですが、理系出身でもJALとANA両方でキャビンアテンダントの内定を獲得した学生さんがいます。「理系の私でも本当になれるんでしょうか? 目指してもいいんでしょうか?」が口グセで、「私なんかがキャビンアテンダントになれるはずがない」と考えていた花梨(かりん・仮名)さん。しかし航空業界というのは「キャビンアテンダントに生かせるものがある人は、ちゃんと評価してもらえる」のが特徴です。彼女の場合も大学やアルバイトでのエピソードを洗い出すことや、社会人と話すさいの言い回しなどを面接練習の中でトレーニングすることで、キャビンアテンダントへの道を切り開くことができました。

【過去記事】先輩たちの就活ストーリー① 理系学部から国内大手航空会社2社W内定へ

さまざまな「失敗」から学ぶ

 航空業界の内定を獲得した先輩たちの「失敗談」からも多くを学べます。過去記事で紹介されている失敗の種類はさまざまです。

  • 英語(TOEIC)の勉強をめぐる失敗
  • ESに関する失敗
  • 証明写真の失敗
  • スケジュール管理の失敗
  • メンタル面での失敗
  • インターンの失敗
  • 面接での失敗
  • 身だしなみの失敗

 ちょっとのミスが大きな後悔にならないためにも、一つひとつの体験談から自分の就職活動を見直してみてはいかがでしょうか?

【過去記事】先輩たちの「失敗談」から学ぶ! <エアライン受験編・前編>
【過去記事】先輩たちの「失敗談」から学ぶ! <エアライン受験編・後編>

ダイエットは必要?

 キャビンアテンダントを志望する学生から寄せられる質問の中で、特に多いのは体形に関するもの。就活にあたりダイエットに励む人も少なくありません。しかしキャビンアテンダントとして求められているのは「健康的で清潔感がある」人材。無理なダイエットで健康を損なうようでは逆効果です。「制服を着た時にどんなふうに見えるか」を想像しながら、体力づくりや健康管理をアピールする面接対策を心がけましょう。

【過去記事】Q. エアラインを目指すならダイエットしたほうがいいですよね?

最後に

機体にウミガメが描かれたエアバスA380=2019年3月(C)朝日新聞社
機体にウミガメが描かれたエアバスA380=2019年3月(C)朝日新聞社

 人気の高い航空業界で内定を獲得するには、求められているスキルや能力を正しく磨き、それを面接でアピールすることが不可欠です。これまでに紹介したノウハウや、先輩たちの経験をしっかり自分のものとし、自信を持って就活に挑んでください。

就活生応援マガジン「PreBiz」
篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

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