自分の強みが見つからない学生へ 強みを見つけ自己PRする方法を解説!

<第60回> 構成 篠原真喜子
visualspace(Getty Images)
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「自分の強みが見つからない」と感じていますか?

 毎年、多くの就活生を支援していますが、「自分の強みがわからない」「自分には強みなんてない」と悩んでいる人がとても多いことに驚きます。強みを見つけようと自己分析を始めてみても、これって本当に強みなのかな? とつい考えてしまい、自分の強みを見つけられない……なんてこともあるようです。
 ESや面接でアピールできる「自分の強み」は、本来誰しもが持っているものです。 でも、「ある」はずのものも、「ない」前提で考えてしまうとなかなか見つからないもの。まずは「ある」という前提に立って考えてみましょう。では、どうやって見つけるか? 私がおすすめしている「強みの見つけ方」を三つご紹介します。

自分の強みを知るための方法

他己分析

 私が一番おすすめしているのが、「他己分析」です。人によっては、ひとりでできる自己分析と比べて「手間がかかる」と感じるかもしれません。他人に自分のことを聞くのが恥ずかしい、という人もいるかもしれませんね。
 しかし、他己分析は「自分では気づけない長所や短所」を知る絶好の方法です。自分では「あたりまえ」と感じている環境やエピソードが、実はその人にとって大きなアピールポイントになるというのはよくある話ですから。
 他己分析では「だれに聞くか」と「なにを聞くか」が重要です。 まず「だれに聞くか」ですが、大学の友人や、ゼミの先輩・後輩、家族・親戚など、年齢や性別、立場が違う人をピックアップしてみましょう。10人以上が理想的です。
 「なにを聞くか」は、単に長所や短所を挙げてもらうだけでなく、相手がそう感じたエピソードや当時の状況、その時自分がとった行動や結果についてもできるだけ深掘りします。当時の自分の感情も含めて言語化できれば、そのままESや面接で活用することも可能です。

参考記事:Q.就活でアピールできることが何もありません
参考記事:Q.就活でアピールできることが何もありません(続編)

そのほかの自己分析

 もちろん他己分析以外にも、いろいろな自己分析の方法があります。他の二つの方法をご紹介します。

自分史づくり

 自分史というのは「自らの過去から現在をまとめて、ひとつのストーリーにする」こと。履歴書に書く経歴を、年代ごとにより細分化し、具体的なエピソードや当時の感情までを書き記していく作業です。歴史の教科書などにあるような年表にまとめる場合が多く、自分の経験を時系列で見ることによって「過去に起きたさまざまな出来事が自分を作っている」と理解することが出来るでしょう。やり方の一例をご紹介します。

 1)幼少期、小学校時代、中学校時代、高校時代、大学時代と五つの時代区分を作る
 2)それぞれの時代で、出来事、考えたこと・感じたこと、身につけたことの三つを記載していく

 それぞれの時代に体験した出来事から、どのような学びを得たのかを書いていくことで、今の自分を何が形作るのかが見えてくるはずです。なかなか昔のことを思い出せない…ということもよくあるので、卒業文集やむかし書いていた日記など「過去の素材」を手にしつつ、取り組んでみましょう。

モチベーショングラフ

 モチベーショングラフとは、「感情の起伏を時系列で図式化」して自分が力を発揮できる分野や環境、そして、「やる気」の源となるポイントを発見する方法です。モチベーショングラフを上手に活用することで自分の志向性はもちろん、自分自身のモチベーション(やる気)を上げるポイントがわかります。

 1)横軸を時間、縦軸をモチベーションとした横長のグラフを用意し、横軸上にこれまで体験した出来事やエピソードをできるだけたくさん書き出す

横軸は、自分史と同じように、幼少期から小学校、中学校…と五つに分けてとり、その時代ごとに印象的だったエピソードを中心に書き出していきます。エピソードを書く出す際には「これ就活で使えそうか」などと考えず、どんどん書き出していくのがコツです。ささいなことでも構いません。日常のちょっとしたことに、自己を形作るヒントが隠れていたりするものです。

 2)各エピソードの縦軸に当時のモチベーションの高さ(低さ)を書き込み、それぞれのモチベーションを線でつなぐ

うれしかったこと、悲しかったこと、頑張ったこと、ショックだったこと……。モチベーションの変化(高低)が起きたときの、自分の感情に着目してみましょう。なぜそう感じたのか、なぜそういう行動をとったのか、自分に「なぜ? なぜ?」と問いかけることで、自分では意識していなかった価値観や考えに気づくことができます。

 3)モチベーションが高い(低い)エピソードをピックアップして、それぞれの共通点と差異を洗い出す。

モチベーションが高いこところの共通点、低いところの共通点、さらには、高いところ低いところにはどんな差があるのかも、自分なりに分析してみましょう。

実は、この作業が一番重要なのですが、1人でやっていると「よくわからない……」と混乱してしまう人もいるようです。そんな時は、このモチベーショングラフを友人や知人に見せてみるのも一つの手です。自分では気づかなかった視点で、共通点や差異を見つけてくれるかもしれません!

 ここまで自分史とモチベーショングラフをご紹介しましたが、自己分析のツール選びに正解はありません。就職活動をスムーズに進めるためにも、自分に合った方法やツールを見つけてくださいね。

自分の強みを伝える時の注意点

TAGSTOCK1(Getty Images)
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 自己分析や他己分析を行い、自分の強みや弱みが見えてきたら、次はそれをどう伝えるかですね。では、「伝え方」について見ていきましょう。
 ESや面接で自分の強みを伝える際、「私の強みは◯◯です」と言うだけでは不十分です。その根拠となるエピソード(たとえば自分の行動や周囲の反応、結果など)を具体的に伝えることで、「確かにそうだよね」と採用担当者に納得してもらう必要があるからです。

 また、面接の場で「自分の強み」と矛盾するような振る舞いをしないことも重要です。たとえば極端な例ですが、「明るい性格」と言いながら下を向いてボソボソとしゃべったり、「積極性」が強みと話しながら、常に受け身な態度でいたりしたら、それを見た採用担当者はどう思うでしょうか。ESも面接も、グループディスカッションでも、自らが強みと示した事柄を体現できるように常に意識しておくことが大切です。

 では、「自分の強み」を伝えるときのNG例文と正しい例文について見ていきましょう。

自分の強みを伝えるNG例文

Metamorworks(Getty Images)
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NG例文①

 私の強みはリーダーシップがあることです。大学ではゼミ長を任されていましたが、ゼミ生同士でトラブルが起きたときも無事解決して、全員で論文をまとめることができました。

<ポイント解説>
 リーダーシップがある根拠としてゼミ長のエピソードを持ち出していますが、具体性に欠けます。どのようなトラブルがあったのか、どのように行動したのか、それに対してゼミ生たちがどう反応したのかなど、より具体的に説明する必要があるでしょう。

NG例文②

 私の強みはコミュニケーション能力です。学生時代、新学期に新しいクラスになったときは積極的に周りに話しかけるようにしていました。

<ポイント解説>
 新しいクラスで「積極的に周りに話しかける」というエピソードだけでは、コミュニケーション能力の証明としては薄いですよね。そのときに周囲はどういう雰囲気だったのか、話しかけた相手はどう反応したのか、その結果どうなったのかまで掘り下げる必要があります。

自分の強みを伝える正しい例文

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OK例文①

 私の強みは「全体の調和」を測りつつ、リーダーシップがとれるところです。大学では、ゼミ長を任されており、これまでゼミ活動における数々のトラブルを解決してきました。たとえば、研究論文執筆の役割分担をめぐり、ゼミ生同士が険悪になった際には、それぞれの得意分野・苦手分野をヒアリングした上で、ゼミ生全員が納得いくまで話し合う場を設けました。その結果、全員が得意分野で力を発揮できる形で分担を決めることができました。皆が高いモチベーションを持って取り組める環境がつくれたことで、論文の完成度が高まり、学長賞をいただくことができました。

<ポイント解説>
 トラブルに対して単に解決策を提示するだけでなく、全員が納得できる環境を用意するなど、リーダーシップをアピールできるエピソードになっています。また、単にリーダーシップといっても漠然としてしまうので、どのような種類のリーダーシップなのか具体的に説明できているのも高評価です。

OK例文②

 私の強みは「こまやかな気配り』ができることです。所属する学生団体では副代表を務めていますが、これまで、少々強引な性格の代表と部員が衝突するケースが多々ありました。特に、「団体が長年続けてきたビジネスコンテストのやり方を大幅に変える」と代表が急に言い出した時は、半数の部員から退会の申し出があったほどです。なんとか解決したいと思い、私はまず代表と話し、その後部員一人一人と話しました。すると、皆の思いは同じなのにうまく伝わらず、すれ違っているだけだということが判明しました。代表と部員の間に入り、互いの思いが伝わるよう努めた結果、退会者をひとりも出すことなく、これを機に団体を一つにまとめることができました。

<ポイント解説>
 自分の足を使って原因を確かめて、解決策を具体的な形に落とし込んでいる点が好印象です。このように具体的なエピソードや結果を用いて説明できていると、聞き手もイメージしやすく、説得力が高まりますね。

最後に

 今回はESや面接で使える「自分の強み」の見つけ方や伝え方を説明しました。強みの見つけ方は色々な方法がありますので、まずは試してみて、自分と一番相性のいいものを見つけられるといいですね。また、繰り返しになりますが、「強み」を伝えるときは、それを立証できるエピソード(根拠)もセットで伝えることを忘れずに! 最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返し練習をして本番で最高のパフォーマンスができるようにしておきましょう。

篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)
プロフィル 篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。キャリア支援した学生はのべ5万人。国家資格キャリアコンサルタント。

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