前例踏襲でない就活を 「ハイブリッド型採用」の時代へ

文 学習院大学キャリアセンター担当次長 淡野健
paylessimages(Getty Images)
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 21卒の就活環境は大きく変動しましたが、企業の決算数字が影響する新卒採用計画は、一部の業界(例:航空・旅行)を除き、ほぼ計画通りの値で推移したと言えるでしょう。これは、2019年度決算の見通しがほぼ立った上で21卒採用をスタートしたためで、企業の採用意欲は継続された、と言えました。

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 しかしながら、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、2020年4月からの今年度決算に直撃します。すなわち22卒採用(現M1・3年生)には多大な影響を与えると考えるべきでしょう。

どうなる22卒採用

 22卒の採用予定について、21卒採用と大きく変わらないという報道もあります。しかし内容を詳しく見ると、8月の段階で22卒計画が「未定」や「前年度と変わらない予定」と、かなり流動的であり、今後の企業業績によっては下方修正に動くというリスクもあるとも考えられます。

 現段階の日本経済の状況を冷静にみても、上方修正する理由が見当たらないと考える方が妥当ではないでしょうか。この一年で就職氷河期のようになるというような大きな変化はないと思いますが、業界によっては新型コロナウイルスの感染拡大が大きな痛手となり、採用数の大幅縮小や新卒採用そのものを休止するという企業が相次ぐ可能性もあります。そのため、独自に企業へのアンケートを取り、早めに準備をしている大学もあるほどです。

本当に「売り手市場」なのか

 もともと「売り手市場」という言葉は大人たちが作った言葉です。就活生や保護者が誤解を招くケースもあり、注意が必要だと考えます。全業界を総合してみると、21卒の有効求人倍率は1.53倍ですが、数値は業界や企業規模によって異なっており、全産業での平均値の数字とは実態と異なっているということは、企業の人事担当者は理解しています。就活生である皆さんも、数字についての考察をみるべきだと思います。

 そして、私自身が掲げる22卒採用市場のキーワードは、「ハイブリッド型採用」だと捉えています。これは企業だけでなく、学生双方にも合致することです。対面式×非対面式、JOB型採用×メンバーシップ型採用、一括採用方式×通年採用方式…。就活だけでなく、現代及び次世代の社会は、単一事業(手法)でなく複合事業(手法)、または掛け算型の仕組みが必要となる時代です。多様な働き方に合致する多様な人材を採用するためには、旧来式をそのまま用いるのでなく、「アナログ×デジタル=ハイブリッド型」の観点が必要になると考えています。

 これまでの就職活動といえば、ナビにより母集団形成をして、大学名入りのエントリーシート(ES)を提出して書類選考を受けることが主流でした。また一部の企業では、早期から面接という名でなく学生を呼び込み、選考でないと告げながら学生を選抜して内定拘束をしているところもありました。前年通りのやり方で学生に情報通達しているだけで学生が利用しない一部の大学キャリアセンターの姿勢も学生には不安でしかありません。

 不透明感が漂うと想定される22卒の就職市場では、就活生も企業も、そして大学のキャリアセンターも変わらなければならない時期に来ています。その為には、企業には、大事なステークホルダー先の学生観点を考えて採用活動を実施してほしいと願っています。そして大学キャリアセンターは、学生の生の声を聞いて施策を打つ存在になり、企業と大学が本音で議論を展開して、日本独自の新卒採用手法を築きあげていく存在になるべきだと私は考えています。

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