何でも楽しめる人になって テレビマンユニオン・大島明さん 後編

就活ナビ編集部
番組撮影の打ち上げで、顔にクリームをつけられた大島明さん(本人提供)
番組撮影の打ち上げで、顔にクリームをつけられた大島明さん(本人提供)

 前回に引き続き、日本初の映像制作会社・テレビマンユニオンの採用状況について、採用責任者の大島明さん(37)に話を聞きました。後編は、新型コロナウイルス禍での採用方法の変化に加え、求める人材などについて、詳しく聞きました。2021年卒の担当だった牧有太さん(39)にも同席してもらいました。

▼テレビマンユニオン公式サイト

―― 2021年卒採用についてお伺いします。コロナ禍でもあり、採用方法も変わらざるを得なかったのでは。

  すごく大変でした。実際に会って面接するのが難しい状況。リモートでどれだけのことが出来るのかということに苦戦しました。結果的には、対面は最終と、一つ前の面接だけです。

―― リモート面接で感じたことはありますか。

  メリットもありました。面接の時間を増やして、就活生と向き合う時間が増えました。東京ではない地方の学生とも会う時間が作れるようになりました。

―― 面接の内容は。

 特殊なのが「クリエーティブテスト」です。内容は毎年変わります。例えば、応募者でソフトボールをして、チームワークを観察したり、応募者で班を作って数時間後に渋谷・ヒカリエの展示場でやるイベントの内容を考え、実践したりしました。事前に何をやるかの告知はありません。どういう発案が出来るのか、協調性があるのかを見ていきました。

 私が受けた時は「もうひとつの青山」をテーマに、制限時間3時間でまちを取材して企画書を書く、という内容でした。グループディスカッションで発表し、応募者同士で批評し合いました。映像を撮ってきても、写真を撮ってきてもいいし、取材相手を見つけて取材してもよかったんです。

リモート説明会で仕事現場を中継

番組を編集中のディレクター(大島さん提供)
番組を編集中のディレクター(大島さん提供)

―― 今年のクリエーティブテストの内容は。

 コロナ禍で部屋から出られないので「世界」をテーマに2、3分で動画を作って下さい、という内容でした。これは事前に課題を出してやってきてもらいました。

 さらに、その後の3次選考では、リモートで応募者同士を取材し「あなたの知らないあなたを見つけて下さい」ということをテーマにしました。最後は用紙にまとめて相手に伝える。相手は「そういうところがあるのか」というギャップを感じることもできたようです。

 僕たちはインタビューしているところを見ています。リモートの中で、どう工夫できるかとか、取材能力や、対人とのやりとり、趣向を見ることができました。

  初めて会う、しかもリモート上で、です。面接を受ける人も刺激を受けて欲しいと思って考えました。「クリエーティブって何か?」というときに、その思考を通して結局は人間性を見ているというところはあります。一緒に仕事をやっていくと考えたとき、合うか合わないかの部分もあります。受ける人を色んな側面から見られないか、ということでやっている。すごく難しかったです。

―― 会社説明会もリモートでしたか?

  はい。リモートの利点もありました。赤坂に分室があって、リモートで生中継して仕事の現場を見てもらうことができました。こういう状況がないと、やろうという発想は生まれませんでした。自宅にいながら見てもらえる環境になったのは収穫になったのかなと思っています。

―― 2022年卒の採用はどうなりそうですか。

 実は、採用委員長に任命されたばかりなので、どうやっていくかはこれから考えます。2021年卒は4人採用しますが、今回は5人程度になりそうです。

クリエーティブ力はある程度でいい

―― どういう人材を求めますか。

 クリエーティブ能力ももちろん大事だが、何でもいいから楽しめる人を採用したいな、と思っています。モノでもコトでもヒトでも何でもいいです。

 「この子はクリエーティブだな」と思う子は、入社してもすぐやめてしまうケースもあります。仕事では精神的にも肉体的にもつらいことは、やはりあります。だから、なかなか続かない人もいます。なので、即戦力じゃなくても「楽しめる人」を優先してみようと考えています。クリエーティブは入社してからでも身につくんじゃないかと思っています。

―― でも、何かを生み出していく能力は、素質もいるのではないでしょうか。

 ある程度は必要ですが、重要視しすぎると現場になじまないことがあります。ディレクターは、取材先の人とも仲良くならなきゃならないし、楽しませようと考えないといけない。また、番組は一人では作れません。多くのスタッフや出演者が関わっていて、みんなで一つのものを作り上げていくんです。だから、クリエーティブの能力だけでなく、コミュニケーション能力の方も重要だと思うんです。

 個人的には、どんなネタを振られても楽しめる人じゃないといけないと思っていて、それが出来ない人は採りたくないと考えています。私自身も若い頃、やりたくない番組に配属されたこともありました。嫌だなあ、と思ったらやりたくなくなるし、それが続けば辞めてしまうこともある。だから、そういう環境でも楽しんでやれる人、成長につながると思える人を採りたいです。

―― 映像の勉強していた方が強みになるとも感じますが。

 それよりもむしろ、人柄を重視したいです。僕自身、クリエーティブ能力はあまりなかったと思っていました。最近、入社当時の社長に「お前は営業目的で採った」と言われたんです。それは、クリエーティブの能力よりも人柄を重要視して採用してくれたという意味であって、様々な人と出会いながらクリエーティブな能力を身につけ、結果的にディレクターとして頑張れています。

 実は、私はバラエティー番組をやりたいと思って入社したんです。でも実際は違って、ドキュメンタリー番組をやらないといけなかった。そんな時に、ある先輩にこう言われました。「ドキュメンタリーとバラエティーは根本は一緒だ」と。コップを例にとれば、どの方向、切り口から見せるかといった、見せ方の違いがあるだけだと。そうか、と納得して気が楽になりました。

 現在は、ABEMAで放送している恋愛リアリティーショー「オオカミくんには騙(だま)されない」のチーフディレクターもしています。テレビだけでなく、ネット番組を担当することも増えてきています。

大島明さん。現在はABEMAの人気番組も担当している=東京都渋谷区
大島明さん。現在はABEMAの人気番組も担当している=東京都渋谷区

―― 様々な現場での経験が今に生きているんですね。

 入社2年目に元サッカー日本代表で、引退後の中田英寿さんを長期取材したこともあります。中田さんはご存じの通り、ストイックな方です。旅先はマネジャー含めて3人だけで、ずっとカメラを回していました。

 正直最初はつらかったです。だけど、きっと自分のためになると思ってやっていた。成長につながると。そう前向きに考えて、中田さんの面白いところを見つけてやろうとかいろいろしました。そのうちに仲間に入れてもらえて、今では年に1、2回は食事に誘ってもらえています。

 あの時の経験があったから、今ではカメラを回すことには自信あるし、何よりも、取材相手がどんなに頑固な人でもあんまり苦になりません。本当に一流のことを知っているから、トップの世界の方との取材はやりやすく感じています。

―― 最後に。就活生へのメッセージをお願いします。

 映像経験があるとか、映像学科を出ているとか、そういうところは気にしないで欲しいです。一番言いたいのは「やりたいことをやるには、やりたくないこともやらなきゃいけない」ということですかね。どんな状況にいても楽しめるということが何より重要です。人が好きであることも。

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