ニトリ内定者インタビュー(前編)「何のために働くのかを先に考える」

文 池田美樹
ニトリへの入社が内定した(左から)鈴木裕斗さん、石井日奈子さん、岡部雄大さん=東京都北区
ニトリへの入社が内定した(左から)鈴木裕斗さん、石井日奈子さん、岡部雄大さん=東京都北区

北海道発祥の家具・インテリア専門店「ニトリ」は、33期連続で増収増益を記録し、最近ではホームセンター大手の「島忠」へのTOBや、住分野だけではなくアパレル業界への参入を発表するなど、コロナ禍でも新たな挑戦を続けている。ニトリへの入社を決めた3人が、就職活動を振り返りながら入社への思いや夢を語り合った。

ニトリ公式サイト

「夏までは様々な業界を研究」

―― 就職活動を始めたのはいつごろからでしたか?

石井さん「大規模な企業説明会に行き始めたのが3年生の4月からです。とにかくいろんな業界の話を聞くということを意識して動き始めました」

岡部さん「早いですね。僕は6月ぐらいに始めました。石井さんと同じように、少しでも自分に興味がある業界を探してみようかなと思って、いろんな合同説明会に参加していたのですが、それで就活を始めた気になってしまっていました」

石井さん「わかる。それは、めちゃめちゃあります。とにかく行けばいいや、みたいな感じでした。最初の方は雰囲気をつかむだけでしたね」

鈴木さん「僕は2年生の3月です。人よりも早く行動したいなと思って、長期インターンを始めました。ベンチャー系の企業でウェブの記事を作る仕事をしていたのですが、初めての経験だったこともあって、けっこう楽しかったです。ただ、人と一緒に働く経験がしたかったのに個人作業が多く、もどかしさがありました」

石井さん「いつからいつまで、やっていたんですか?」

鈴木さん「2年生の3月から7月まで、5カ月間ですね」

石井さん「結構がっつり、めちゃくちゃ長い…。出版とかライター志望だったんですか?」

鈴木さん「全然そういうわけではなかったんです。職種を問わず、人よりも早く始めたいなという安易な考えで始めたことだったので、5カ月で辞めることにしました。その後、合同説明会にも行ったのですが、かなりの数の就活生がくるイベントなので、1回行ったらもういいやって思っちゃいました。志望業界を絞れてない人にはいいイベントかもしれないですけど」

―― インターンは経験しましたか?

鈴木さん「夏前ぐらいに就活サイトの上から順に、名前を知っている企業に手当たり次第にESを出して、インターンに応募しました。けっこう自信があったんですけど、なかなかうまくいかなくて…。結局、参加することができたのは、いろんな業種から6、7社ぐらい。銀行、コンサルティング、自動車メーカーなどです。インターンに参加すると、その業種でどういった仕事をしているのかつかめるので、あ、この業界はやっぱり自分には向いてなかったなとか、実はこの業界が自分に向いているんじゃないかなと感じられて、参加して損はなかったと思います。面接の練習にもなりますし」

岡部さん「僕は大学3年生の夏に、たまたまバイトの中で大事な部署を任されてしまい、バイトを優先しても大丈夫じゃないかという気持ちになってしまって…。3社行くには行ったんですけど、なんとなく、働くってこんな感じなのかなという漠然とした理解を得ただけでしたね」

石井さん「私も同じですね。早く始めたからといって本当に就活しているという意識があったわけではなくて、夏までは周りが始めているからやらなきゃいけない、という気持ちでした。夏の終わりくらいにニトリのインターンの中で、そもそもあなたの軸はなんですか? ということを言われて、そこで私は何のために働くんだろうと初めて考えました。ちょうどその頃に祖父を亡くしたんですが、生前に座っていたソファーを見て、家具は家族の日常をすごく映すということに気がつき、家族がもっと密につながる社会にしたいということを就活の軸にしようと決めることができました」

石井さんの「心の支え」となった祖父との記念写真。ニトリを目指した原点という
石井さんの「心の支え」となった祖父との記念写真。ニトリを目指した原点という

「自分の軸を絞り始めた秋」

【特集】就活・気になる企業

―― 3年生の秋からはどんな風に動きましたか。

岡部さん「秋から本格的に動き始めました。想像以上に周りが成長していく姿を見て、焦り始めたんです。その時期から自己分析をしっかりやりはじめました。僕も石井さんと同じで、家族の病気という経験があって、暮らしの空間を豊かにする、居心地のいい場所をつくるということに興味があり、不動産に絞り始めたのがそのころです。兄が不動産系の会社に勤めていたというのがきっかけでもあります」

鈴木さん「僕は夏にがんばりすぎたので、秋冬は燃え尽き症候群みたいにちょっとモチベーションが上がりませんでした。形だけESを出して、自分の中では就活をやっていると言い聞かせていたんですけど、そんなに本気を出してやれていたわけではなかったです」

石井さん「私は、家族のつながりを軸に探そうと決めたんですけれど、今、家族ってペットなども含めていろんな形があるじゃないですか、そのすべてにコミットできる企業ってどこかな、と探した時に、家具の思い出がすごく強かったので、ニトリでいこうと秋の段階で決めてしまいました。自分の軸を決めた瞬間に、やりたいことは全部ニトリにあると、意志を持って狙うことにしたんです。そして早い時期に内定をもらいました」

―― 自己分析はどのようにしましたか?

石井さん「ニトリのインターンで聞かれたことが自分の軸を見つけるきっかけではあったんですけれど、そのほかにセミナーへ行ったりもしました。たとえば、いろんな人に私をどういう人だと思うか、どういう仕事が向いていると思うかと聞きました」

岡部さん「自己分析をちゃんとやり始めたのは秋ぐらいからです。最初は、生まれた時から大学生までにあった出来事や交友関係などを洗い出すという、本に載っていた方法でやっていました。それ以外では、アルバイトでパーソナルトレーナーとして働いていたので、お客さんにいろんな意見をもらうようにしました。あまりしゃべらないように見えるけど、バイト中は人が変わったように明るくしゃべるよねと言われたので、接客に向いているんじゃないかと。自分では全く考えてなかったんですけど、接客という点では小売業界もありなんじゃないかと気づいたのが秋冬ぐらいでした」

鈴木さん「僕がやったのは、今までの人生のいろんな分岐点で、自分がどういう思いを持って、どういう選択をしたのかを振り返ることです。自分はこういう人物なんだ、ということを洗い出して、それに合う企業はどこかと考えました。ただ、自己分析から企業を選ぶのではなく、まず先に興味のある企業を探して、その企業が自分にマッチするかしないかという方向で考えましたね。実は、父が航空会社に勤めているパイロットなので、最初は僕もパイロットになるのが夢だったんです。ところが選考にすべて落ちてしまったので、自分には素質がなかったんだなと諦めがつき、それ以外で一番興味があったメーカーに絞っていきました」

鈴木さんが父親から贈られたパイロットウォッチ。面接時に身に付けると、落ち着いて受験ができる「お守り」だった
鈴木さんが父親から贈られたパイロットウォッチ。面接時に身に付けると、落ち着いて受験ができる「お守り」だった

「OG・OB訪問で自分の印象を聞く」

―― 就活の為に勉強したことや取った資格などはありますか?

鈴木さん「就活のために、というわけではないんですけれど、3年生になる前に、大学を休学してフィリピンのセブ島とオーストラリアのシドニーに留学に行き、培った英語力が落ちないうちにTOEICのスコアを上げました。この留学が僕の人生の大きな転機で、すごく行ってよかったなと思っています」

石井さん「もう少し詳しく聞かせてもらえますか。どういうふうにどう変わったか」

鈴木さん「僕はもともと目標を決めて努力することを大切に生きてきたんですけれど、大学まで内部進学で行ける高校に入ったので、どうしてもぬるま湯につかってしまって、勉強も部活も一生懸命になれなくてすごく自分が嫌だった時期があったんですね。そこで、自分の力で自分を変えたいと思って、高校生の頃から続けていたアルバイトでためた200万円を使って留学をしました。留学中はいろんな困難なことがあったんですけど、乗り越えるうちに判断力やコミュニケーション能力、英語力などいろんなことを身につけることができて、嫌いだった自分を変えることができたと思います」

石井さん「すごいですね。そこまで全部自分でやったら、自信にもなりますよね」

―― OG・OB訪問はしましたか?

岡部さん「はい、大学のキャリアセンターでOG・OB名簿を見せてもらって、それがすごく役に立ちました。実はOG・OB訪問はそんなにやらなくてもいいんじゃないかと思っていたんですけれど、実際に名簿を見てみるといろんな人がいて、会ってみると同じ大学ということもあって、とても親身にいろいろ教えていただきました。志望業界を絞る上でとても役に立ったので、キャリアセンターを利用して良かったなと思っています」

石井さん「何人ぐらいに会いましたか?」

岡部さん「15人ぐらいです」

石井さん「すごーい。OG・OB訪問では何を聞いたんですか?」

岡部さん「3つあって、1つめはやりがいです。その人がどんな価値観をもって仕事をしているのか。2つめは、話した後に自分の印象を聞くようにしていました。その企業の人から見て自分がどんな風に見えるのかを客観的に教えてもらうことで、面接の時に役に立つんじゃないかなと思って。実際、同じような印象をもたれることが多いなとわかったので、自分の人間性が理解できたと思います。3つめは、最後にどなたか紹介してくれませんかとお願いしました」

鈴木さん「その3つの質問は自分で考えたんですか?」

岡部さん「はい。最初のうちは、普通にありきたりなOG・OB訪問の質問をしていたんですけど、次につなげるためにはどうしたらいいんだろうと考えたんです」

鈴木さん「次の人につながるし、自分の印象を聞くのもすごくいいですね」

石井さん「私もやればよかった!」

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(後半に続く)

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