ガクチカで大事なのは「プロセス」 ベネッセ・北村洋子さん 後編

就活ナビ編集部
ベネッセコーポレーション・人財開発部採用課の(左から)岩崎修人さん、北村洋子さん=東京都多摩市
ベネッセコーポレーション・人財開発部採用課の(左から)岩崎修人さん、北村洋子さん=東京都多摩市

 「進研ゼミ」などで知られる通信教育業界最大手のベネッセコーポレーション。前編では、事業内容や採用後のキャリアプラン、求める人物像について採用課リーダーの北村洋子さんに尋ねました。後編は、21卒生のエントリーシートの設問を元に、より具体的なアドバイスを伺います。

▼ベネッセグループ公式サイト

―― 21卒の採用実績と、採用方法を教えてください。

 書類選考と適性試験、その後で3回の面接を経て、70名弱を採用しました。22卒生も同程度の人数を採用する計画です。

ESの4項目、設問の狙いは

―― 書類選考(エントリーシート)では、どのようなことを尋ねましたか。

 学生時代にがんばってきたこと、これまでにやってきた課題解決の中身、志望動機、あなたにとってためになった授業は何ですか。この4問について尋ねました。

―― 「あなたにとってためになった授業は何ですか」というのはベネッセらしいですね。設問の意図を教えてください。

 ベネッセで働くうえで、知的好奇心があることは非常に重要です。小中高大、いつの時代の、どの授業を選んで書いても選考には関係ありません。どういうふうに学び取る人なのかを知りたいと思い質問しました。ですので、授業の中身の説明ではなくて、「こういうところが良かった」「ここが学びになった」など、どう言語化できるかが大事です。

―― ちなみに、北村さんにとって「ためになった授業」は何ですか。

 大学の時に受講した「現象学」という哲学に似た授業です。先生が、「みんながここにいること、そのものが現象だ。だけど、いなくても現象だ」という趣旨のことを言われました。常識を常識とは思わないで、批判的にとらえ直すことが大事だと気づかされた。常識を疑えということを実感した授業でした。

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ガクチカを書くときの注意点は

―― 学生時代にがんばってきたこと(ガクチカ)を書くときに注意する点は何ですか。

 すごいこと(経験)に関して、学生が思っていることと、企業が思っていることにズレがあると思います。関わった人数とか予算の大きさとか、瞬間風速的な規模感の大きさが大事なんじゃない。それよりも、あなたが関わったことで、何をどう変えたのかを話して欲しい。そのプロセス、ビフォー&アフターを重視しています。

 そのさい、課題意識があるかが大事です。教育事業で大切なのは、言われたことをするのではなく、「ここを変えたい」という思いです。ガクチカを通じて知りたいことは、「変えたいという思い」と、その思いをもとにいかに行動に移せたかです。ベネッセでは、ガクチカについて、2つ、それぞれ400文字で書いてもらっています。

―― 文字数が多いですね。

 課題意識や、どう関わり、解決したのかのプロセスまで見たいので、それなりの文字数が必要になります。

―― 失敗の経験でもいいですか。

 結果がすべてじゃないと思っています。たとえ失敗したとしても、「次はこうしよう」という思いがあれば問題ありません。

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「入りたい」という熱意だけでは足りない

―― 3回ある面接の形式は。

 全部オンラインでやりました。すべて個人面接で、最初は課長クラスと、次は部長クラス。最終面接は、人事担当者を含めて複数の社員が参加します。

 面接では、エントリーシートから派生して掘り下げていきます。会話形式で、1人あたり30分ほどかけて、「どういうことをやってきたか」「どういうプロセスを踏んできたか」を詳しく聞かせてもらいます。

 どの面接でも、質問する内容には大きく違いはありません。角度を変えて同じ事を聞きます。最終的に確認したいのは、本当にベネッセで働きますか? ということ。ベネッセの事業成長に貢献できるか、一緒に事業を作っていけるかを聞きたいと考えています。

 入りたいという熱意だけじゃなくて、入って何をしたいか。入ることが目的ではないはずで、ベネッセに本気で入りたいと考えるなら、やりたいことが出てくるはず。既存事業でなくてもいいので、あなたの思いをそのままストレートに伝えて欲しい。そのためには、いろいろ妄想してもらって、考えて欲しい。それから、熱意を正しく伝えるには、文章を練っておくのがオススメです。わかりやすく話すことも大事です。

▼雑談だけで面接が終わってしまったら

オンライン面接、背景画像はどうする?

―― オンラインでの面接。背景は、壁紙とリアルな部屋の風景の、どちらがいいですか。

 壁紙を使わない学生が多いですが、どちらでもよくて、採用には関係ありません。ポイントは、相手の立場に立っているか。社会通念上で問題のないデザインなら壁紙だって問題ありません。

 オンライン面接でアドバイスをするなら、1回は友達と練習したほうがいいということ。選考前にリハーサルをして、微調整したほうがいいです。

―― オンライン面接は企業側にとって、どうでしたか。

 オンラインの面接になり、会話の内容により集中できるようになりました。対面式の面接と比べると、周辺情報がない分、学生の話す内容に没入でき、その人の本質的なことを確認できるようになったと思います。22卒採用も面接はすべてオンラインでおこないます。

―― 22卒生の採用がまもなく始まります。インターンシップへの参加の有無は採用に影響しますか。

 今年は夏と冬、いずれも1日か2日間の短期インターンシップを実施しました。これらに参加してもしなくても、本選考には関係ありません。

 インターンシップに参加した人は、ベネッセの事業内容を理解してくれたと思います。そのときに考えた教育サービスへの課題について、ちょっと考えてみたというレベルで終わらず、自分のなかで深く考えた内容を、志望動機に書いて欲しいです。

 インターンシップを受ける機会がなかった人は、ベネッセに入社して何をやりたいか、いったん妄想してもらい、自分の中で新しいことにチャレンジしたいという情熱がわくまで考えて欲しいです。

▼参加するだけでは意味がない インターンシップの意味と目的

―― 新しいことにチャレンジすることは大事ですか。

 大事です。教育事業にはゴールがない。ベスト・オブ・ベストは、永遠に求め続けることが出来る。百点満点というものはなく、「もっとこうした方がいい」という理想を求める姿勢があるかが大事。何も変わらなくても良いと思っている人は、もうちょっと考えて欲しいと思います。

オンライン教育プラットフォーム「Udemy」とは2020年に資本提携を結び、社会人向け教育事業に注力している(ベネッセ提供)
オンライン教育プラットフォーム「Udemy」とは2020年に資本提携を結び、社会人向け教育事業に注力している(ベネッセ提供)

―― エントリーシートの設問は去年と同じですか。

 設問は去年とちょっと変えます。内容は3月1日までお待ちください。でもベネッセとして見たいもの、目的は変わりません。本質的には一緒だが、聞き方は変えます。字数はこれまでと同様に、ある程度の分量になります。

―― 面接も変わらないですか。

 基本的には変わりません。ただし、仕事に対する本気さを求める思いは強くなっています。コロナ以降、わが社では在宅勤務と出社がおり混ざる勤務形態をとっています。そうしたなかでは、今後より一層、自律的に関わる、自律的に働く必要があります。たとえば家からリモートで仕事をしていると、分からないことは自分からどんどん聞いて、すすんで関わっていくことが必要になります。

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