凸版印刷内定者インタビュー(前編)「自分が何者なのかをつかめないと就活は闘えない」

文 小元佳津江
凸版印刷に内定した(左から)伊藤秀真さん、伊原礼華さん、伊藤和真さん=東京都文京区
凸版印刷に内定した(左から)伊藤秀真さん、伊原礼華さん、伊藤和真さん=東京都文京区

2020(令和2)年に創業120周年を迎えた凸版印刷。長きにわたり日本の印刷業を支えてきた技術を起点に、「情報コミュニケーション事業」「生活・産業事業」「エレクトロニクス事業」など、幅広い分野に事業の幅を広げている。総合印刷会社から情報産業へと変容しつつある凸版印刷に入社を決めた3人が、就職活動を振り返った。

凸版印刷 公式サイト

インターンに行くだけで満足してはダメ

―― 就職活動を始めたのはいつごろからでしたか?

伊藤和真さん「僕は3年生の7月ごろです。周りの学生もインターンに参加し始め、僕もいろんな企業にESを出したんですが1社も通らなくて。それで、夏から秋ごろはESなしで参加できるワンデーのインターンにだけ行きました。あの頃は行くだけで満足してしまっていて、今振り返るとダメダメだったなぁと思いますね」

伊原さん「私は理系で、いま大学院の修士2年なんですが、始めたのは修士1年の4月ごろです」

伊藤和真さん「へえ、早いですね」

伊原さん「私たちの場合、早めに始めないと研究がとてもつらくなるし、就活も不利になってしまうので、修士の人は全員早めに始めるんです。私の研究室では、研究に専念するために長期のインターンへの参加は禁止されていたので、修士1年の12月ごろまで、ひたすらワンデーのインターンに参加していました」

伊藤秀真さん「すごいな。僕は、大学3年生の10月くらいからですね。僕は美大なんですが、美大の就活では基本的に、作品のポートフォリオを作ってそれをアピールするんです。ポートフォリオは作品を撮影するところから自分で行うので、結構早いうちから動こうと思い、そのくらいから始めました」

―― 就活を開始して、初めの頃に取り組んだのはどんなことですか?

伊藤秀真さん「僕の場合は、とにかくポートフォリオを仕上げることでしたね。1年から4年までの作品だと100点くらいあるので、その中から20点くらいを選んで」

伊藤和真さん「え~、20点分も作るんだ。作品はどんなものを作っていたんですか?」

伊藤秀真さん「僕は専攻がプロダクトデザインという、ものを作るところだったので、例えばスピーカーとか」

伊原さん「え、作っちゃうんですか?」

伊藤秀真さん「作ります。自分で設計して、3Dプリンターで刷って、実際に音が鳴るようなものを。製品だけでなく、パンフレットやパッケージ、売り方、プロモーションまで含めて作るんです。ほかに、広告のグラフィックや、熊本地震で被災してしまった南阿蘇村の町おこしプロジェクトなどもあるので、本当にいろいろなんですが」

伊藤和真さん「めちゃくちゃ大変じゃないですか」

伊藤秀真さん「めちゃくちゃ大変でした(笑)」

伊原さん「ES書くよりも大変そう……」

伊藤和真さん「僕は、さきほどお話ししたように、初めのうちは、とりあえずESなしで参加できるインターンに参加していました。業種も絞らず、鉄道やメーカー、貸会議室の企業など、目についたところに片っ端から参加していたら、だんだん自分が何をしたいのかわからなくなってきちゃって。で、『これはまずい』と思って、まず自己分析や企業分析に力を入れました。そうしたら、自分のやりたいことが見えてきて、ESも通るようになっていきました」

▼参加するだけでは意味がない インターンシップの意味と目的

「三者三様! 凸版印刷に引かれた理由」

―― 志望業界や志望企業はどのように決めましたか?

伊藤秀真さん「僕の場合、元々デザイナーになりたくて美大に入ったので、希望職種がデザイナーやプランナーというのはほぼ決まっていました。でも業界は全く絞っていませんでした。大学でデザインシンキングを学んでいたので、それを生かしてコンサルティングができるかもと思い、コンサル会社も見ましたし、制作会社も見ました。『興味ないな』というところでも、行ってみないとわからないことが多いので、とにかくいろんな企業の説明会に行っていました」

伊藤和真さん「僕は、自己分析をしていったら、組織変換とか仕事の何かを変化させる、ということに興味があると気づき、人材やコンサルティング業界に引かれるようになったんです。でも、選考を受けるなかで多くの会社で言われたのは、組織に携わるにはまず組織を理解しないといけないから、5、6年くらいは経験を積んでからでないとできないよね、ということでした」

伊藤秀真さん「そうか、たしかに……」

伊藤和真さん「僕は、社員みんなに自分の仕事を好きになってもらいたいと思っていたんですが、『多くの企業でそれができないのは、その余裕がないからだ』と、ある企業の方に言われて。そのとき、『それなら会社に余裕ができるしくみをつくりたい』と考え方が変わったんです。ちょうどその頃に参加した凸版印刷の説明会で『デジタルトランスフォーメーション(DX)』という、データやデジタル技術を活用し組織やビジネスモデルを変革していくことにすごく力を入れていると聞き、ここならできるかも! と。それで凸版印刷に魅力を感じるようになりました」

伊原さん「そうだったんですね。私は、理系に在籍しつつ学芸員の資格も持っているので、その二つを生かせる場ということで、元々、博物館での資料の取り扱いなどに興味がありました。そんな矢先、東京国立博物館のミュージアムシアターのデジタルアーカイブなどを全部手がけているのが凸版印刷だと知ったんです。それで興味がわいて説明会に参加してみたら、『うわ、楽しい!』ってなっちゃって。その時点で第一志望になり、大学の推薦枠から応募することにしました。なので、この会社に入る努力しかしていないです」

伊原さんの就活ノート。参加した説明会やインターンシップで聞いた内容が、びっしり書き込まれている
伊原さんの就活ノート。参加した説明会やインターンシップで聞いた内容が、びっしり書き込まれている

―― 説明会やインターンに参加してみて、どんな点がよかったですか?

伊原さん「自分が心引かれるかどうか、すぐにわかる点がいいですね。私は、普段の研究で顕微鏡を作ったりしているので、光学機器メーカーなども見たんですが、全然心引かれなくて。でも、凸版印刷の説明会のときは本当に面白かったんです。生活・産業分野の包装材や建装材を見せてもらったんですが、レンジ加熱後、自立してそのまま器代わりになるような食品用パウチとかもあって。そんな、ちょっとした工夫で日常生活に役立つものを作れるのって、すごく面白そうだなと思いました」

伊藤和真さん「僕も説明会で、凸版印刷のDXへの考え方を知って興味をもったし、説明会が面白いかどうかって大事だよね」

伊藤秀真さん「うん、大事。僕も実は、凸版印刷は、たまたま大学に説明会に来てくださった社員さんがとても話し上手で興味を引かれたんです。それで11月ごろ、4日間のインターンに参加しました。凸版印刷のインターンは、実務に近い形でやってくださっていたので、自分がどう貢献できそうかもイメージできたし、働いている方の様子も見られて、『この方たちと働きたい!』って思って。インターンに参加してすごくよかったですね」

伊藤秀真さんは就職活動の期間中、毎日同じ缶コーヒーを飲むことから始めた。「ルーティンを作ることで心が落ち着いた」という
伊藤秀真さんは就職活動の期間中、毎日同じ缶コーヒーを飲むことから始めた。「ルーティンを作ることで心が落ち着いた」という

▼「eスポーツ部」が凸版印刷にできた!

「自己分析はかなり重要」

―― 自己分析はどんなふうに行いましたか?

伊藤和真さん「僕は『メモの魔力』という本の付録の『自己分析1000問』や、『絶対内定』という本を使いました。あとは、就職支援会社などが行っているセミナーを利用したりしました」

伊原さん「私は、大学で配られるプリントをやった程度ですね。自己PRがほとんど研究そのものなので、研究のアピールに時間を費やしました」

伊藤秀真さん「僕もしてないですね。なんか、自己分析って正直よくわからなくて(笑)。でも、形式的なものじゃなくて、自分を知ることだとすると、自分の『好きなもの、嫌いなもの』、『得意なこと、不得意なこと』などをすごくかみ砕いて考えることはしていたかも。それって結局、何かに挑戦したからこそわかることですよね。だから、自分がこれまで挑戦してきたことを考え、そこから自分について突き詰めていた気がします」

伊藤和真さん「めっちゃ、やってるじゃないですか」

伊藤秀真さん「そうなのかなあ。本には何が書いてあるんですか?」

伊藤和真さん「例えば、子どもの頃に好きだったことは、とか。やってみて思ったのは、小さい頃って考えが直接的に出やすいから、実は自分のことを理解しやすいのかなということでした。過去の自分を知ることで、今の自分が理解できる。あと、自分に変化が起きた転換点がわかると、より自分を理解しやすくなると感じましたね」

伊藤秀真さん「なるほど」

伊藤和真さん「秀真さんみたいに、高校のときからプランナーになりたいとか、明確に未来が見えている方には、多分そこまで重要じゃないと思うけど、僕みたいにやりたいことすら何もわかってないような人間には、自己分析は結構重要だと思います」

伊藤秀真さん「いやいや……。でも、今のお話で何となくわかりました」

伊藤和真さん「ほんとですか。よかった、うれしい(笑)」

伊藤秀真さん「振り返ってみると、僕は今までずっと、何かしら理由をつけて行動していたんです。学校に行くのもなんでだろうとか。あと、デザインって何かしら理由をつけないといけないんです。『いま、世の中の人はこういうものを求めている』とか。デザイン時に、自分の好きなものもわかっていないといけないし。だから、これまで自然にそれを考えていたのかもしれない、といま気づきました」

伊原さん「ずっと自己分析していた感じですよね、きっと。そう考えると私、全然自己分析してないな。幼稚園のとき、何になりたかったんだろう……」

伊藤和真さん「いやいや、お二人みたいにやりたいことが明確な、優秀な方は必要ないですよ。でも、僕みたいな一般の大学生は絶対したほうがいい。自分が何者なのかつかめないと、就活は闘えないです」

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▼自己PRと志望動機のつなげ方 将来の人生像、描けてますか?

(後半に続く)

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