バンダイ内定者インタビュー(前編)「とにかくESをたくさん提出」

文 池田美樹
バンダイに内定した(左から)繁松果林さん、山崎夏海さん、加藤拓真さん。人気キャラクターの「まめっち」と=東京都台東区
バンダイに内定した(左から)繁松果林さん、山崎夏海さん、加藤拓真さん。人気キャラクターの「まめっち」と=東京都台東区

仮面ライダーにウルトラマン、たまごっちやプリキュアなど、誰もが一度は手にしたことのあるおもちゃの数々。終戦直後の1950年に創業した玩具メーカー「バンダイ」は、毎年2万点を超す商品を生み出す、日本を代表するエンターテインメント企業だ。ESはデコレーションOKという独特の採用試験を勝ち残った3人が就職活動を振り返った。

バンダイ公式サイト

本・ネット・友達に直接…自己分析法あれこれ

―― 就職活動を始めたのはいつごろからでしたか?

山崎さん「3年生の5月から、合同説明会や合同グループディスカッション会に参加し始めました。その頃はまだ進みたい業界を決めていなかったので、複数の企業が集まったものに参加することが多かったです」

加藤さん「僕は大学3年生になる前から意識し始めていました。先輩が、内定が決まったという話をしていたからです。実際に行動に移したのは、3年生の夏前ぐらいから。インターンシップのESを出し始めたり、説明会に行き始めたりしました。ぼんやりとこんな業界が良いという気持ちはあったんですけど、まだそんなに絞ってはいなかったです」

繁松さん「私が意識し始めたのは大学3年生の春なんですけど、ちゃんと始めたのは冬ごろからでした。最初は合同説明会への参加から始めました」

―― 自己分析はどういう風にしましたか?

加藤さん「前田裕二さんの『メモの魔力』という本に自己分析に使える1000問の問いが載っているんですが、それを使って、自分はどんなことにやりがいを感じているんだろう、ということを考えていきました」

繁松さん「何から始めていいかわからないから、質問がたくさんあるのはありがたいよね」

山崎さん「私は『絶対内定2021』という本で、質問の多さに圧倒されて、そのやり方をやめてしまいました。そこで、幼稚園の時から大学生までの自分に起こったプラスの出来事とマイナスの出来事をひたすら書いていき、その中から就職活動に使えそうなものを選んで使うようにしました」

加藤さん「自己分析って、やり始めたら終わりがないからね」

繁松さん「楽しんでやりたかったので、ネットで心理テストを検索してやったりしました。人前に出る時にどうやって自分を表現したらいいんだろうという答えがほしかったので、自分を本当はどういう性格なのかなと心理テストで探りましたね」

山崎さん「私は他己分析もやりました。匿名で回答できるアプリがあって、友達とか家族、バイト先の人など知っている人にアンケートを送ると私の分析を誰かがやってくれるんです。言いづらいことも友達が書いてくれて、そうなんだ、そこを改善しようとか、いいところはのばそうとか。バイタリティーや、信頼性、スピード感などがグラフになる機能がよかったです」

繁松さん「山崎さんがやっていたようなアンケートが友達から送られてきて協力したことはあったんですけれど、やっぱり、素直に書けなくて。友達でもそうなんだろうなと思ったので、私の場合は、一緒にご飯に行ったりして直接聞くようにしていました」

山崎さん「確かに、ちゃんと意見をくれて良かったはずなんだけど、そんなふうに思われてるんだなと、新しい発見もあって、改めて自分を見つめ直すきっかけにもなったかな」

1996年に発売された「たまごっち」はわずか2年間で国内外4,000万個をうりあげた。写真は2008年発売の「たまごっちプラスカラー」(C)BANDAI,WiZ
1996年に発売された「たまごっち」はわずか2年間で国内外4,000万個をうりあげた。写真は2008年発売の「たまごっちプラスカラー」(C)BANDAI,WiZ

インターン不合格、「かなりめげた」

―― 時事問題の勉強や企業の情報収集はどうしましたか?

山崎さん「新聞のアプリを有料で契約して企業名と業界名を検索し、業界の資料などを見るようにしていました。もともと新聞をあまり読んでいなかったので、就職活動のために3年生の夏ぐらいに契約したんです。自分のお金で払っていたから、意識してけっこう見ていました」

加藤さん「僕は経済ニュースのアプリを有料で登録しました。時事問題対策というよりは、話のネタになるかなと思って」

繁松さん「私は必要なウェブサイトをスマートフォンのホーム画面に追加してみたり、LINEを開いたらニュースを見たりしておこうという感じでした」

【連載】就活生のための簡単ニュース解説

―― インターンシップの参加経験について教えていただけますか。

繁松さん「3年生の12月、1月あたりに選考型のワンデーインターンシップにエントリーしましたが、落ちてしまったところがすごく多いです。最初は不動産やディベロッパーを探していたんですけれど、インターンシップの時点ですごい量のESを書かなくてはいけなくて、ちょっと難しかったですね。インターンも受からないのに、会社なんて受かるのかと、かなりめげました」

加藤さん「僕もめちゃめちゃ落ちました。行けたのは結局1つだけで、生命保険会社の5デイズの秋のインターンシップのみ。それ以外、夏に応募した会社も全部落ちて、そこからは、ワンデーのインターンに行くくらいなら説明会に参加したり就活サイトを見たりしたほうが時間を有効に使えるという先輩の言葉を聞いて、納得するようにしていました。合同の会社説明会は、いろいろな企業のブースがあるので効率が良かったですね」

繁松さん「私は逆に、会社が主催している個別の説明会にたくさん行きました」

山崎さん「私はなかなか業界をしぼりきれなかったので、おもちゃなどのエンタメ、印刷、ディスプレー、化学、建設機械、小売り、住宅など、本当に幅広い業界のインターンシップと説明会に参加しました。12業界で47企業です。インターンシップは他の大学の学生達との課題解決型のグループワークや、集団面接の練習になるものに参加するようにしていました。そこで知り合った人に、この業界のおすすめのインターンやおすすめの企業を聞いて、そこをまた受けに行くようにしていましたね」

繁松さん「いっぱい行くっていうのを途中で飽きずに続けられたのはなぜだったの?」

山崎さん「友達づくりも兼ねて行っていたからかな。そこで仲良くなった人と情報共有をしながらやっていたから、モチベーションはずっと高いままでした」

加藤さん「就活中、ずっと助けてもらったりもしていたってこと? 説明会より価値があったの?」

山崎さん「私にとっては価値ありました! 人と知り合うという価値が」

繁松さんが就職活動を通して読み込んだ1冊。限られた時間の中で、話したいことをうまく伝えられるよう意識したという
繁松さんが就職活動を通して読み込んだ1冊。限られた時間の中で、話したいことをうまく伝えられるよう意識したという

企業選びは身近な情報から

―― みなさん最初は業界を絞り切れていなかったそうですが、企業選びはどういう風に進めていきましたか?

加藤さん「僕はまず、名前を知っているところから考えていきました」

山崎さん「私は名前を知らない会社も受けていたんですけれど、まず会社のホームページを最初に見て、社長の言葉に共感できたら受けようかなと思っていました。その会社の方針が社長の言葉に表されているのかなと思っていたので」

繁松さん「私は、建物を見て、この建物を建てているのはこの会社なんだとたどってみたり、この商品を作っているのはこの会社だと考えたりするようにしていました」

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―― OG・OB訪問はしましたか?

加藤さん「僕は高校の部活の先輩に話を聞きにいったくらいですね。主に会社の雰囲気を聞きました」

山崎さん「私は、ゼミの先輩に教授を介してフェイスブックでメッセージを送ってお願いしたり、友人の知り合いを紹介してもらったり、それこそ就活する中で出会った友達に紹介してもらったり、OB訪問アプリを使って会ったりしました。面接の時に心がけていたことや、周りで働いている社員はどういう方たちなのか、また会社の良い点だけじゃなくて、悪い点も聞くようにして、ESの添削をしてもらったりもしました」

繁松さん「けっこう盛りだくさんでお願いできたんだね」

山崎さん「そうですね。私は食事に行って、その中で話す感じにしていました。ただ、バンダイの同期の中では、OB・OG訪問している人の方が少ないと思います」

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ESを出しまくって自己分析につなげる

―― 3年生の秋冬からはどんな風に動きましたか。

繁松さん「仕事というものが何なのかあまりわからなかった時期なので、仕事とは何かということをいろいろな人に聞く時期でした」

山崎さん「私は、ある程度自分の受けたい企業の優先順位を付けて、第一志望群の企業のESはすぐに提出できるように、書く内容を整理する作業をしていました」

加藤さん「とにかく、ESをたくさん提出していました。出していればある程度傾向みたいのが見えてくるし、自己分析は終わりがないですし。それが、志望業界を絞るにも早い方法なんじゃないかなと思います」

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―― 今回はコロナ禍での就活でした。オンライン就活の苦労話や逆に良かった点を教えてください。

加藤さん「カメラの写り方によっては、手元の原稿を見ているように思われちゃうかな、などとすごく視線の位置を気にしてしまいました。逆に良かった点は移動時間ですね。上だけ着替えればいいし、移動時間も必要ないし、その時間を明らかに減らせたのが大きかったと思います」

繁松さん「上だけ着替えれば済むので肩の力が抜けたのは良かったなと思います。一方、グループ面接では誰がしゃべって良いのかというタイミングの取り方がとても難しかった。呼吸が合いづらいんですよね」

山崎さん「人間味を出しにくいというか、画面が相手だとどうしても文章を読んでいるみたいな話し方になってしまうと感じました。良かった点は、表情を画面越しに見ることができるところ。集団面接が多かったので、自分がどういう顔つきでしゃべっているのかが見えるという点ではオンラインはありがたかったです」

(後半に続く)

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