バンダイ内定者インタビュー(後編)「つらい先に最高の未来がある」

仮面ライダーにウルトラマン、たまごっちやプリキュアなど、誰もが一度は手にしたことのあるおもちゃの数々。終戦直後の1950年に創業した玩具メーカー「バンダイ」は、毎年2万点を超す商品を生み出す、日本を代表するエンターテインメント企業だ。ESはデコレーションOKという独特の採用試験を勝ち残った3人が就職活動を振り返った。
(前編はこちら)
誰かを楽しく笑顔にさせられる仕事
―― バンダイを意識した時期と理由を教えて下さい。
加藤さん「理由が2つあるんです。実は高校1年生の時、『仮面ライダー』の出演者になりたかったんです。オーディションに応募したことがあって、落ちちゃったんですけれど。次は大学3年生の夏の終わり頃の合同説明会で、たまたま入ったブースがバンダイでした。すごく明るい雰囲気でいいなあと思い、『仮面ライダー』に憧れていたこともあるし、行きたいなと思いました」
繁松さん「夢があるね!」
山崎さん「私はもともとぬいぐるみやカプセルトイが好きだったので、就活を始めた最初の頃からおもちゃ業界に興味がありました。なかでもバンダイを意識したのは8月ごろです。きっかけは、『トイジャーナル』というおもちゃ専門誌を読んでいるときに、バンダイのトイ事業に関する記事を読んだことがきっかけです。小さい頃から、男の子向けのおもちゃで遊びたいけど、「男の子向け」という表記を見て、私は女だからダメなのかなとモヤモヤする気持ちがあったんです。もっとみんなが遊べるおもちゃを作れたらと考えていました。記事で、自分の目指す方向性とバンダイの方向性が近いと感じて、そこから第一志望になりました」

加藤さん「業界誌を読んだっていうのがすごいね」
山崎さん「受ける業界の雑誌は結構読んでいました。他にも、その会社の社長や役員が書いた本は、自分が選考を受ける会社は全部読むようにしていました」
繁松さん「私は小さい頃からエンターテインメントに触れる機会が多くて、小学生から歌舞伎をやっていたり、留学している時にブロードウェーの舞台を見に行ったりして、エンターテインメントって人をこんなに幸せにできるんだ、という気持ちが根底にあるんです。就活を始めてからバンダイを調べていたら、玩具だけじゃなくて生活用品やお菓子、アパレルなど、エンターテインメントという軸で幅広い展開をしているところがすごく魅力的に感じました」
―― 玩具業界に入ってどういうことをやりたいと思っていますか。
山崎さん「私が生まれた時から大切にしているぬいぐるみがあるんですけれど、そんな家族の一員のような商品がつくれたらと思います」
加藤さん「僕には5歳下の妹と10歳下の弟がいるんですけれど、彼らの笑った姿を見るのがすごく好きなんです。そういう風に、誰かを楽しく笑顔にさせられる仕事がしたいと考えています」
繁松さん「私は玩具に限らず幅広くエンターテインメントを届けたいと思っています」
バンダイのESはデコレーションOK
―― バンダイはESを出した全員と必ず1対1で社員に想いを伝えることのできる『ES受付会』を実施しているそうですね。その受付会で特に印象に残っているやり取りがあれば教えてください。
繁松さん「まず、ESって硬いイメージがあると思うんですけど、バンダイはデコレーションしてもOKなんです。いろんな色を使ってカラフルなESを出しました」
山崎さん「線を引いたり、絵や文字を書いたり。皆それぞれ、オリジナリティーあるESを書いているよね」
加藤さん「ESに写真を貼るスペースがあって、僕の場合は仲間がたくさんいる写真だったので、面接ではそれについて聞かれました。OBの先輩が、お前はありのまま明るさを出せば行けるよと言ってくれていたので、時間も短いし印象しか残らないならと、とにかく楽しそうにするしかないなと思って、それを前面に出しましたね。伝われ! っていう気持ちで」

繁松さん「他の会社では、面接だからちょっとおとなしくしなければいけないということを意識していたんですけれど、バンダイではありのままを見せることにしました。自分が笑いたいと思ったら笑ってしゃべるとか。最後に、明るいね、いいと思うよ、と言ってもらえて、自分を出して良かったなと確信しました」
―― 「ガクチカ」でどういう部分をアピールしましたか。
山崎さん「私は『やらない後悔よりやる後悔』という言葉が好きで、行動することをすごく大事にしているので、その行動力をアピールしました。例えば文化祭で、オーガニックコットンのトートバッグの生産から販売までを皆でやった時に、突然工場に生産を停止されてしまい、納期に間に合わなくなってしまうということがあったのですが、その時に私の起こした行動によって無事販売にこぎ着けた話をしたりしました」
繁松さん「私は大学時代、海外に家を建てに行く建築ボランティアサークルに力を注いでいました。そこで海外に家を建てに行くんですが、チームで動くことや人が好きだなと思ったことと、もうひとつは留学の経験から、外から見た日本は素晴らしいということに気づいたのでこの2つの話をしました」
加藤さん「僕はサークル活動でバスケットボールをずっとやってきていて、小学生の頃からバスケットサークルをキャプテンとしてまとめてきたということを話しました。楽しい感じのキャラを出すしかないかなと思って」

周りのアドバイスに流されすぎない
―― これから就職活動に取り組む後輩たちへのメッセージをいただけますか。
加藤さん「私は友達と励まし合いながら進めていったのが良かったと感じています。何社も受けるので、喜怒哀楽が目まぐるしいスピードで訪れると思うんですね。朝喜んだと思ったら夜には落ち込むみたいなことが何度もある。だから、やっぱり友達が近くにいることでメンタルのケアができるのが大事だと感じます。今、ここまで進んでいるという近況報告をしあえたり、良い時も悪い時も一緒に涙を流してくれたりする相手がいたのが心強かったので、そういう相手を見つけて一緒に話をしながら頑張って欲しいです」
山崎さん「私は、周りのアドバイスに流され過ぎないようにしてほしいということを伝えたいです。周囲に、就活は楽しかったとか、就活は余裕でしょ、などと言う人がたくさんいると思うんですけれど、その人たちの言葉はいったん、気にしないでほしいと思います。就活が楽しかったと思えるのは、満足いく企業に就職できたほんの一握りの人です。先輩や周りの人のアドバイスを聞くのはすごく大事なんですけれど、そこになぜ、という気持ちをもってほしいんです。OB訪問が大事だよと言われたら、なぜOB訪問が大事なんだろうと考えてみたり、先輩にやっぱり大手企業がいいよと言われたらなぜ大手がいいんですかと聞いてみたりしてください。理由に納得のいかないアドバイスや意見に流されて焦る必要は全くないと思います。他人の就活の成功は自分とは全く関係がないですから。ただ、人の就活の知識やテクニックは自分に生かせる可能性があるので、いろんな人のアドバイスに流されるのではなく、それはなぜなんだろう、という気持ちを忘れずにぶつかっていってほしいと思います」
繁松さん「私はこれまであまり挫折した経験がなかったんですけれど、就職活動には挫折って絶対に避けられないものでした。本当につらくて長く感じるかもしれませんが、最後に内定者同士で会った時に、この人たちに会えたんだな、こんなにがんばったからこそ今があるんだなと必ず思えるので、どんなにつらくても、その先に最高な未来があるよと伝えたいです。もうこんな経験は一生ないですし、絶対にいい仲間といい会社が待っているので、前を向いて駆け抜けてくださいと伝えたいです」

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