「Z世代のコロナ禍就活」意外な傾向…企業絞って何度も接点

<第74回> 文 木之本敬介
パソコンとタブレットを使ったオンライン面接(C)朝日新聞社
パソコンとタブレットを使ったオンライン面接(C)朝日新聞社

 2022年卒の就活は終盤戦に入りました。コロナ禍の就活の最新事情を探ろうと、今年の就活生を対象に学情が緊急アンケートを実施したところ、「コロナ以前」の就活の常識を覆すような結果が明らかになりました。新型コロナの影響で、それ以前の「超売り手市場」は終わったといわれています。学生にとって厳しい「買い手市場」では、できるだけ多くの企業の選考に参加するのがこれまでの傾向でした。ところが、今年の就活生は企業を絞り込み、1社1社の選考に丁寧に取り組んだことが分かりました。複数の内々定を得たら企業や他の就活生に迷惑をかけないよう早めに辞退、企業のSDGs(持続可能な開発目標)に対する姿勢や社会的意義を重視……コロナ禍の特殊な状況に加え、「Z世代」(10代~20代半ばのみなさんの世代)ならではの特徴も浮き彫りになりました。就活のやり方に「正解」はありませんが、先輩の体験はとても参考になります。いつから何社にどう接点をもったのか、どう不安解消に取り組んだのかなど、いま3年生(大学院1年生)のみなさんは、このアンケート結果を参考にこれからの本番に備えてください。

セミナー参加後に企業絞り込み

(C)学情
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 調査は6月4日から18日、2022年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生で「あさがくナビ2022」を訪れた学生を対象にWEB上で行われ、981人が回答しました。

 まず、プレエントリーした企業の数は「21~30社」が最多の2割で、「21社以上」の学生が半数を超えました。調査時点で内々定を得ている学生では「21社以上」が6割超を占める一方、まだ内々定がない学生は4割ほど。積極的なプレエントリーが内々定ゲットにつながったことが分かります。

 プレエントリーした企業をどこで知ったか複数回答で尋ねたところ、最多は「ナビサイト」の7割弱でした。次いで「就職活動の前から企業(サービスや商品)を知っていた」の4割強。さらに「オンライン開催のイベントで話を聞いて知った」「スカウトメールの案内を受けて知った」「リアル開催のイベントで話を聞いて知った」が続きました。もともと知っていた企業へのプレエントリーが多いのは当然ですが、サイトやイベント、スカウトメールなどによる「偶然の出会い」がきっかけになったケースもかなり多いことが分かります。

セミナー参加しても選考には進まず

(C)学情
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 リアルやWEBによる企業セミナーの参加者数は、「11~20社」が2割強で最多でした。「11社以上」が7割近くを占め、「21社以上」も4割を超えました。「11社以上」は、内々定を獲得した学生では8割近くにのぼった一方、内々定のない学生は6割に満たず差がつきました。

 ただ、セミナーには参加したのに選考には進まなかった企業がある、と答えた学生が9割近くいました。「WEBセミナー・WEB面接で不安なこと」を複数回答で尋ねた質問では、半数以上の学生が「画面越しだと、企業や社員の雰囲気が分かりにくい」をあげました。コロナ禍でWEBセミナーが多くなって気軽に参加できるようになったものの、会社をリアルに体感できないため選考参加には慎重になった学生が多かったようです。

 選考に参加した企業数は、「10社以下」との答えが6割近くを占めました。「5社以下」が4割弱、「6~10社」が2割強と、企業を絞り込む傾向がはっきり出ました。

「当社の志望度は何番目?」への答えは

(C)学情
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 第1志望ではない企業から「当社の志望度は何番目ですか?」と聞かれたら――就活生にとって悩ましい質問です。「第1志望だと伝える」が6割超を占め、「第1志望『群』だと伝える」が3割弱、「他の企業が第1志望だと正直に伝える」が約6%でした。

 内々定を得た学生にその社数を尋ねたところ、「1社」が5割近く、「2社」が2割強と多数でしたが、「3社以上」も3割にのぼり、2021年卒生と比べると4.8ポイント増えました。内々定企業のうち特に入社を希望する企業と出会った時期は「3年生の4月から2月まで」が半数を占め、「1・2年生」と答えた学生も約7%いました。企業広報解禁の「3年生の3月以降」は4割強で、大半の学生がルール上の就活解禁前に出会っていたことになります。その企業と接点を持った回数を聞いたところ、「4回以上」が6割近くで、もっとも多かったのは「4・5回」の4割。「6回以上」の学生も2割近くおり、志望度の高い企業とは何度も接点を持っていたことが分かります。具体的には「面接で具体的に志望理由を話せるように、より詳しく企業のことを知りたいと思った」「入社後にギャップがないように、オンラインでのOB・OG訪問を積極的に行った」などの声があがり、接点を増やして企業理解を深めようとしていたことが分かります。

他の学生や企業に配慮して内定辞退

(C)学情
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 複数の内々定をもらった学生に「内々定を辞退せずに保有している社数」を聞いたところ、「1社」が6割にのぼりました。入社するつもりがない企業の内々定は早めに辞退したことが分かります。

 同時に複数の内々定を保有しておくことについては、「やや」を含めて「抵抗がある」人が4割近くを占めました。理由は「自分が内々定を持っていることで、他の学生が採用されるチャンスを奪うことになってしまう」「企業に迷惑がかかると思う」など。コロナ禍で「内定取り消し」をする企業もある中、複数の内々定を保有し続ける学生が多いのではとみられていましたが、他の学生や企業の採用計画への影響を考慮している誠実な姿勢がうかがえます。

企業のSDGs取り組み重視

(C)学情
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 企業選びでもっとも重視する点は、「職種・仕事内容」が3分の1を占め最多でした。次いで「人事や社員との相性」で、「企業の雰囲気やカルチャー」「自身の価値観に合うか」「企業の理念に共感できるか」など企業との相性に関する項目を選んだ回答が3割を超えました。

 「企業のSDGsに関する取り組みや社会貢献活動を就職活動で意識するか」を尋ねたところ、「どちらかと言えば」を含めて「意識する」との回答が半数超に。SDGsへの姿勢から、「誇りを持って働けるか」や「中長期的に成長する企業か」を判断しているのが特徴です。

不安・疑問はネットとリアルで解消

(C)学情
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 就職活動が不安かを尋ねると、「とても不安を感じる・感じていた」が6割超を占め、「やや不安」を含めると9割近くにのぼりました。不安解消の取り組みについての質問(複数回答)には「複数の企業の説明会に参加する」が7割弱で最多。「複数の企業にプレエントリーする」「複数の企業の選考に参加する」が続きました。不安解消のために企業との接点を増やしていたことが分かります。

 就活の不安や疑問を解消する方法(複数回答)を聞いたところ、「インターネットで検索する」が半数を超えて最多で、「友人や先輩に相談する」「家族や親戚に相談する」が続きました。「インターネットはすぐに結論を知りたいときに便利」「エントリーシートの書き方や面接対策などはYouTubeで動画を見て情報収集した」といった声がありました。「自己分析は家族や友人から客観的な意見をもらいながら進めた」「最近就活をしたばかりの人の意見が一番参考になると思い、先輩に相談していた」との声もあり、ネットの情報とリアルな人間関係での相談を使い分けていたことがわかります。

木之本敬介(朝日新聞社 就活コーディネーター)
プロフィル 木之本敬介(朝日新聞社 就活コーディネーター)

1986年入社。政治部記者、採用担当部長などを経て就職情報サイト「あさがくナビ」編集長。「朝日学生キャリア塾」を立ち上げて就活生の指導も。サイト「就活ニュースペーパーby朝日新聞」では就活に役立つ情報を日々発信中。大学などでの講義・講演多数。著書に「最強の業界・企業研究ナビ2017」(朝日新聞出版)がある。

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