大成建設内々定者インタビュー(後編)「自分と企業、どこがリンクするかを考えて」

文・構成 小元佳津江
同社は、東京都庁舎の建設や新宿住友ビルの改修などにもたずさわった。ポスターにある同社CMは、世界各地での取り組みを題材にしたものだ。<br>大成建設に内々定した(左から)山口智実さん、内田貴大さん、堤慶介さん=東京都新宿区西新宿1丁目
同社は、東京都庁舎の建設や新宿住友ビルの改修などにもたずさわった。ポスターにある同社CMは、世界各地での取り組みを題材にしたものだ。
大成建設に内々定した(左から)山口智実さん、内田貴大さん、堤慶介さん=東京都新宿区西新宿1丁目

1873(明治6)年に創業し、社名に「建設」という文字を採用した最初の企業にして、いまなお日本の建設業をリードしている大成建設。「地図に残る仕事。」をキャッチフレーズに、超高層ビルやスタジアムの建築工事から、人々の生活を支えるトンネルや橋などの土木工事、さらには街の再開発まで、建設業ができることの可能性を広げ続けている。そんな大成建設に入社を決めた3人が、就職活動を振り返った。

※注:お話をお伺いしたのは、2021年7月16日時点です。この時点で3人は同社の内々定者・内定予定者です。今回のインタビューにつきましては、コロナ禍ということもあり、シールド・マスク着用やついたてを使用し、参加学生とインタビューアに一定の距離を置くなど最大限の配慮をしながら実施いたしました。

(前編はこちら)

「面接では自分の素直な思いをぶつけよう」

―― 業界や企業の情報収集はどのようにしていましたか?

堤さん「僕は、建設業界やディベロッパーさんの記事を電子版の新聞で読んでいました」

内田さん「僕も建設業界全体や大成建設の記事をネットでチェックしていましたね」

山口さん「私は研究室で、木造でどのくらいの高層建築物が建てられるかの解析を行っているので、その関連記事をよく読んでいました」

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国立競技場の観客席を覆う大屋根。木材と鉄骨が使われている(C)朝日新聞社
国立競技場の観客席を覆う大屋根。木材と鉄骨が使われている(C)朝日新聞社

内田さん「木造が専門なんですね」

山口さん「そうなんです。昔から木造の触り心地がすごく好きで(笑)。その最先端である中高層の木造の研究がしたくて院に進んだんです」

堤さん「へええ。そうだったんですね」

―― 大成建設さんは今年行われた東京オリンピックの晴れ舞台である「国立競技場」も造られていますね。「国立競技場」に対して、何か抱いている思いはありますか?

山口さん「国立競技場には多くの木材が使用されていますが、やっぱり木を使うことによって、建物にぬくもりが出るのではと感じました。就活中は、国立競技場の設計者の方が手がけた、ほかの建築物も調べたりしていました」

堤さん「やはり、日本を代表するシンボルとしての建物ということで、社会に与える影響力について考えました。僕は都市開発志望だったので、都市との調和などに意識が向いたのですが、木材を多用したことは、周辺の環境となじむという意味でもよかったのではないかと思いますね」

―― 大成建設の面接で、印象に残っているやりとりはありますか?

堤さん「印象的だったのは、最終面接などを含め、どの面接もほとんどが会話形式だったということです。他社ではわりと、一問一答みたいな形で進んでいくことが多かったんですが、大成建設では会話に発展するケースがほとんどで、すごく自然に話せました」

内田さん「僕も、すごくフランクな雰囲気で話せたのが印象に残っています。あと、ちょっとしたことを言ったら笑いが取れ、リラックスして話せました」

堤さん「どんなことで笑いが取れたんですか」

内田さん「自分で言うのもなんですが……、僕、高校も大学も、いわゆる名の知れた進学校と大学だったりするので、『すごいね』と言っていただけたんですが、実は1年浪人していて地方の寮にいたんです。なので『勉強が好き過ぎて1年多めに勉強しました!』と言ったら、笑いが取れて場が和みました(笑)」

堤さん「いいですね、それ(笑)」

内田さん「ああ、よかった~って一気に緊張が解けました。それが一番印象に残っています」

山口さん「私はやっぱり、木造の研究の話をしたときのことですね。あまり木造に興味のない会社だと、そんなに盛り上がらなくて悲しい気持ちになりましたが、大成建設の面接では、『私たちもいま盛んに行おうとしているので、ぜひあなたの研究内容を生かして、どんどん関わっていってほしい』と言っていただけて。『ぜひ参加したいです!』と、もう意気揚々答えちゃいました」

山口さんが、母親から譲り受けた時計。母親と同じ仕事をしたいと活動中はお守りとしてずっと大事に持っていた=山口さん提供
山口さんが、母親から譲り受けた時計。母親と同じ仕事をしたいと活動中はお守りとしてずっと大事に持っていた=山口さん提供

「コロナ禍の面接、相手の表情をつかむのに苦戦」

―― 皆さんの就活はかなりの部分がオンラインで行われたと思います。オンラインならではの大変さはありましたか?

堤さん「対面と違って、相手の方へのリアクションが取りづらいのが大変でした。相手の方の様子を見るには画面を見なきゃいけないけど、画面を見ると自分の目線がカメラから外れるので、なんだかカンペを読んでるみたいになっちゃうし」

内田さん「それあるよね。やっぱり雰囲気がつかみづらかった。ただ、オンラインでなく実際にお会いすると、今度は皆さんマスクをしているから、これまた表情がわかりづらい。オンラインだと、1対1の面接ならマスクなしなので、表情はわかりやすいという面もありました」

山口さん「グループの面接やディスカッションが一番大変でしたね。インターネット環境がよくない方もいるので、限られた時間の中で通信が途絶えちゃったりすると、みんなでドキドキしながらフォローしたり工夫したり。そういうのが結構大変でした」

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―― 就活全体を通して、一番大変だったことはどんなことですか?

内田さん「僕は、最初の頃の面接です。面接って人生初だったので、どうすればいいかわからなくて。聞かれそうなことをまとめてから臨んだんですが、自分の中のテンプレートにこだわりすぎて、ちょっとでも間違えたら『あ、ミスった』みたいな顔をしてしまったりして。テンプレを暗記とかはNGです(笑)」

山口さん「院生だと研究のほうも忙しいので、私は就活と研究の両立が大変でした。あと、元々すごく緊張するタイプなので、私も、最初の頃の面接が大変でした。台本を読んでいるみたいな話し方になっちゃって(笑)、慣れるまで大変でしたね」

堤さん「僕はディベロッパーや都市開発志望でしたが、この業界はそもそも、採用人数が少なめだったりして、正直自分には難しいかもと思っていました。実際、書類落ちや、うわべの質問だけで終わってしまう面接も多くて。でも、僕は『人と向き合う』が軸で、人間性で勝負! と思っていたので、そこを見てくれる会社もあるはず、と粘りました。その結果、内面をきちんと見てもらえる大成建設に出会うことができた。粘ってよかったし、本当にありがたいと思っています」

「ガクチカや自己PRは“すごい話”でなくてもいい」

―― 「ガクチカ」ではどんなことをアピールしていましたか?

堤さん「僕は先ほど少しお話しした学習塾のアルバイト経験です。一人のプレイヤーとして、リーダーとして、また、ほかの組織に入ってチームを動かすコンサル的存在としてなど、いろんな経験をしたので、それをアピールしました。大成建設の場合は求める人材像の一つに「異なる価値観の仲間を尊重できる」というのがあったので、アルバイトでの話をエピソードを交えて話しました」

アメリカン・フットボールの仲間たちとともに=内田さん提供
アメリカン・フットボールの仲間たちとともに=内田さん提供

内田さん「僕はアメフト部の話ですね。主将や副将ではなかったんですが、トレーニングの長みたいな役をやっていたんです。トレーニングを通して後輩を成長させ、組織を強くしていくために、どんな工夫をしたかを話していました」

山口さん「私は学部生のころに、研究室のみんなでフルマラソンに参加して完走したので、その話です」

堤さん・内田さん「おお~、すごい!」

山口さん「いえ。でも、私はタスクを一つ一つこなしていくのがすごく好きなので、完走を成し遂げた計画性や粘り強さをアピールしていました」

―― 最後に、これから就活する学生の皆さんに、メッセージをお願いします。

山口さん「就活は、自分ひとりでやらないほうがいいと思います。長所や短所って自分では意外とわからないというか。自分が短所だと思っていたことも、人から見ると長所という場合もあるし。友人、家族、キャリアセンターの方など、いろんな人を頼ったほうが、客観的に見られるし、つながりもできます。圧倒的に就活が進めやすくなるので、一人で抱え込まず、周囲に相談しながら頑張ってください」

内田さん「就活は、面談など緊張する場面も多いと思いますが、当然ながら、自信がもてればだんだん緊張しなくなっていきます。自信をもつためには、自分がどんな人間で、何がしたいのかを明確にすることが大切。あとは熱い情熱をもって臨めば大丈夫! 悔いのないように頑張ってほしいです」

コロナ禍の中でのため、ついたてやシールドをした上でのインタビューだった=東京都新宿区西新宿1丁目の大成建設本社で
コロナ禍の中でのため、ついたてやシールドをした上でのインタビューだった=東京都新宿区西新宿1丁目の大成建設本社で

堤さん「ガクチカや自己PRというと、『自分にはそんなものないよ』と悩む人も多いと思います。それは、圧倒的な成果や、すごい話をしなきゃいけないと思うからですよね。でもそうではなく、自分の信念や、自分のいろいろな要素の中から志望企業とリンクするものを出せれば大丈夫です。それなら絶対誰の中にもあるはずなので、自分を信じて頑張ってほしいと思います」

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